第06話 異世界ウォーズ 前編 - 36 - 力の証明
第06話 異世界ウォーズ 前編 - 36 - 力の証明
「場所を変えよう。地上では片鱗しか見せることはでない、それでもこの場所では影響が大きすぎる」
ここは城だ。ここまで攻め込まれるようでは、まず勝ち目はないだろうが、それでも破壊されてしまうと兵たちに与える影響が大きすぎる。
「ほう? こう見ても、魔王城は頑丈にできている。ナルセだったな。貴様が強いのは見てわかるが、さすがにそこまでとは思えんが……まぁ、いいだろう。この城の東方に魔物も近づけぬ呪われた大地が広がっておる。そこなら問題あるまい?」
まるで、挑発するかのように魔王が言ってくる。魔界を統べる者としてずっと指揮を摂り続けていたが、それでも根っこの所は戦士なのだろう。
まぁ、俺としてはどうでもいいが。
「それでいい。案内はして貰えるのだろ?」
俺が当然のようにそう尋ねると。
「むろん。今、天窓を開く。貴公も飛べるのであろう?」
魔王ゼグルスもまた、当然のように答えてきた。
「ああ。案内してくれ」
浮かび上がり、そのまま飛行を始めた魔王ゼグルスの後に続いて俺も飛ぶ。
魔王城の天井が開き、そこから外に出ると魔王は加速する。むろん、俺はなんなくその後についていく。
結構な速度で飛び続け小一時間ほどすると、明らかに地上の様子に変化が見られるようになる。
一見すると沼地のように見えるが、それは地面の色が紫がかった、ヘドロめいた感じに見えるからだ。植物の姿はなく、かといって砂漠のように砂地でもない。
本当にただただ生命の姿がない不毛な大地が続いていた。
「ここは、魔力が強すぎてな。地上には余とて長くとどまることはできん。他の生き物は、落ちた瞬間に死を迎える。すなわち、ここでならどのように力を開放しようと影響はない。存分にやってもらってかまわん」
おそらく、この不毛の大地の中心部まできたのであろう。魔王ゼグルスは空中で静止して、誘うように俺に言った。
この配慮はありがたいが、俺の場合だと惑星規模で影響が及ぶ話しである。とてもではないが遠慮なしに、というわけにはいかない。
「まずは、軽くいかせてもらおう」
俺は、様子見としてフェイズ1へと移行した。
「ぬっ? これは、力が膨れ上がった?」
フェイズ1の衝撃はそれほどでもないのだが、魔王ゼグルスにははっきりと違いがわかるらしい。やはり、かなりの実力の持ち主のようだ。
「どうした? 手合わせしてくれるんだろう?」
今度は俺から誘う。