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第06話 異世界ウォーズ 前編 - 34 - 模索

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 34 - 模索


「そうだ。連中の手を借りることなく、ルワース軍を撤退させるための手立てをさぐっている」


 その言葉は切実であった。


「それだけの力を持っているなら、さすがに勇者とも互角に渡り合えるだろう。なぜ戦わない?」


 それでも、俺はあえて訪ねる。


「勇者は確かに強い。だが、余は負けないだろうとは思っておる。ただし、かならず勝てると言い切るまでの差はないかも知れぬ。もし、勝てたにしても余が深手を負ってしまえば、ルワース軍に蹂躙され魔界は滅びる」


 ここが、戦争と戦闘の違いであった。いくら、局地戦の勝利を積み重ねようが、そのことが戦争における勝利に結びつくとは限らないのだ。

 そして、勇者と魔王の戦いも所詮は局地戦の一つにすぎない。

 ましてや、魔王が負けることでもあれば、それこそ魔界は破滅する。つまり、勇者との直接対決は勝利した場合のメリットに比較してあまりにリスクが大きすぎるのだ。

 この判断は、魔界を統べる王として当然の判断だろう。

 だが、戦局が一方的に傾いてきたら、いずれはその判断を迫られる可能性もでてくる。なので、その時の準備も必要だろうと思い俺は聞いている。


「後継者はいないのか?」


 俺は、その言葉の意味を理解してもらえるであろうと確信した上で、わざと短く尋ねる。


「余には娘がいる。レヴンという名の娘で王位継承者だ。ただこの娘には問題がある。あり過ぎるくらいにな。もしこの状況でレヴンが魔界の王となればマドゥフは滅ぶ。確実に、な」


 レヴン王女の名を口にしたマドゥフの表情は、これまで以上に硬かった。


「なぜだ?」


 俺がさらなる説明を求めると。


「レヴンは……いや、余が説明するより直接わが娘と会うといい。すぐに、理解できるであろう」


 俺はこの場ではもうこれ以上、この話題に触れることはしなかった。この後レヴン王女と会うことになり、想像していた何倍もヤバイ王女であるということを理解したのだが、それはまた別の話しだ。


「なるほど。では、こちらの情報も開示しよう。おそらく、連中は高度に魔法技術マジック・テクノロジーを発展させた世界の兵器産業の人間たちだろう。俺たちがやってきたのは、科学技術サイエンス・テクノロジーを発展させた世界からだ。どちらもやれることはほぼ変わらないだろうが、あの円盤を解析した限りではどうやらあちらの世界の技術のほうが少し先を行っているような印象を受けた。むろん、実際にはこの目で連中がいる世界を見たわけではないので、確定はできん。ただ、これだけは言える。このままでは、どうやってもこの世界……マドゥフに勝ち目はない」


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