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第06話 異世界ウォーズ 前編 - 29 - お出かけ

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 29 - お出かけ


「サンキュー」


 美咲は急に笑顔になって、諭吉さんをポケットにしまった。

 現金なやつである。


「それでは、でるぞ。いいな?」


 チロとルーファが頷くのを見て、円盤解体に使った部屋に入る。


「行かれますか?」


 部屋にはノラがいて、円盤とコアを抱えて待っていた。

 俺はそれを受け取りながら答える。


「ああ、すぐにでる」


 するとノラがすっと近づいてきて、俺のジャケットの内ポケットに何か入れた。


「これはなんだ?」


 当然の俺の質問に。


「お守りです。何かお困りになられたら、お使いください。それでは、ご武運を」


 それだけ伝えて一歩引き、さっと敬礼する。みごとなものだ。

 こういう所を見ると、端くれとは言ってもさすがに軍人なのだとよくわかる。

 もっとも、俺に武運が必要な状況というのは、宇宙そのものがかなりヤバイ状況ということになるのだが、わざわざ伝えるほどのことではないだろう。


「ああ、後はたのむ」


 俺はノラに言い残して外に出た。

 後にはチロとルーファが続いている。


「二人とも、俺の横にこい」


 俺が命令口調で言うとチロはうれしそうに、ルーファは嫌そうにその言葉に従った。

 円盤をひっくり返すと開いた穴からコアを挿入する。穴は空いたままだが、駆動システムに影響はないので問題はないはずだ。

 しばらくの間は何も起こらなかったが、いきなり俺の腕にかかっていた荷重が消える。

 そっと手をどける、円盤は落ちることなく空中に浮かんでいた。

 どうやら、再起動に成功したようである。

 さて、ここからが問題だ。再起動した円盤が戦闘を優先するのか、それとも帰還を優先するのかという問題である。

 戦闘を再開するようならば、帰還するまであしらい続けなくてはならないのでけっこう面倒くさいことになる。

 ただ、それに関してはすぐに結論がでる。

 円盤は上昇を開始して、一気にこの場から離脱する様子だった。

 俺は、すぐに両脇の女二人を両手に抱えて、それを追いかける。

 だが、ここで想定外のことが起きた。

 というのも、円盤の上昇がまったく止まろうとはしなかったからだ。

 とうに雲を突き抜け大気は相当薄くなっている。俺とヴァンパイアであるチロは問題ないが、ルーファはかなり苦しそうな表情になっている。

 周囲は昼間なのにもかかわらず暗くなって来ており、成層圏に達しつつあることが分かる。


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