第06話 異世界ウォーズ 前編 - 26 - ルーファに説明
第06話 異世界ウォーズ 前編 - 26 - ルーファに説明
バケツサイズのアイスを抱えたルーファが、風呂あがりのタオルを首に巻いてテレビの前のベストポジションをキープしている。
シリンは今風呂に入っているところで、他の連中はスマホやらパソコンを見ていて娯楽はもっぱらネット中心なので、今のところテレビは独占状態であった。
「そっちは、うまくいったの?」
あまり興味のなさそうなルーファの質問に対して、俺は真面目に答えておくことにする。
この後頼みごとをするのだ、あまり上からでてへそを曲げられて困るのは俺だ。
「うまく行ってるとも言えるし、厄介な状況とも言える」
俺は端的に答える。
「へぇ?」
ルーファが若干興味を示すが、どちらかと言うとまだまだ興味はテレビとアイスに向かっている。
俺は、かまわず話しを先に進める。
「まず、結論から伝えることにしよう。今まで、君がゲートを探してくれたのはどうやら無駄だった。それが分かったので、やり方を変えることにした」
自分がやってきたことが無駄だったと聞いて、さすがにルーファも俺の方を見る。
「どういうこと?」
胡乱そうな目で俺を見ながらそう言った後、ルーファはスプーンでアイスをほじくりだして口の中に突っ込んだ。
どこまで真剣味があるのはか謎だが、まぁ俺の方を見ただけでもよしとしよう。
「アレは非常に高度な魔法技術によって生み出されたものであることが分かった。さらに、送られてくるゲートはその魔法技術によるセキュリティで保護されている可能性が高い。なので、それをつきとめるのではなく、回収用のゲートを開かせてそこから乗り込むことにした」
俺は要点だけを伝える。どだい回りくどい説明をしたところで、推測域をでない要素があまりに多すぎるので、話しが迷走してしまう危険性があったからだ。
「魔法技術……ってなに? それに、回収ゲートを開かせるといってもどうやって?」
ようやく、まともな反応が返ってくる。もちろん、話した後ひとすくいのアイスを口に放り込んでいるが、このさい目をつぶろう。
「これは、あくまでも推測だが、アレを送り込んできた連中は、どうやら魔法言語を使ってプログラムを作ることができるらしい。それを、魔力供給ゲインに組み込むことで、アレを兵器として稼働させていた。敵がどういう存在なのかはわからないままだが、少なくとも軍需産業レベルで魔法という技術を扱える相手ということになる。もちろん、兵器はアレだけではないだろう。俺の感触としては、量産化へ向けた実戦データ収集を行っているのではないかと見ているが、これはあくまで推測にすぎない。人間の介在なしに軍事目標を設定しさえすれば、それを自動的に達成してくれる。端的に言えば、そういう技術のことだろうと考えられる」