第06話 異世界ウォーズ 前編 - 24 - 解析
第06話 異世界ウォーズ 前編 - 24 - 解析
ここで、ノラによる解析で面白いことがわかる。動力は魔法なのだが、そのゲインとしてこのコア自体が使われているというのだ。ときおり光って見えるものが視覚化されたスペル、すなわち魔法の呪文でありそれらが複雑な動作を行っているというのだ。
普通の魔法は、一つのスペルで一つの現象がおきるが、このスペルはその現象がおこらない。それが意味するものといえば……。
俺は一つの推論にたどり着いた。
このコアは一種のコンピュータなのではないだろうか。魔法のスペルをプログラム言語のように使って稼働しているのではないか。つまり、簡易的なAIであると考えられる。そうであるなら、数千もの円盤がみごとに連携し、集団としてオールレンジ攻撃を行うことができたことにも説明がつく。
こうして調べていくと、一つの結論が見えてくる。この円盤を送り込んできた敵は、極めて高度なテクノロジーを有している。ただし、それは俺のいるこの日本における科学技術とはまったく異なった原理に基づくテクノロジーで、今の俺達には完全に理解することは無理そうであった。
ただそれは、ノラが所属していたファーベル皇国においても同じことだろう。むろん、ファーベル皇国が攻め込もうとしていたザイルブルケン共和国同様である。魔力の存在していない世界であるならば、これほど高度なテクノロジー、魔法テクノロジーとも言える技術が発展することなどありえない。
だとすればザイルブルケン共和国はこの兵器の開発など行えるはずもなく、どこか他の異世界から送り込まれたという結論にたどり着く。
供与とは言っても、量産している兵器であることを考えれば、おそらくは購入したのだろう。この兵器を作った異世界には魔法テクノロジーを使った軍需産業が存在していて、兵器を輸出しているのだろう。
だとすれば、かなり事態は厄介なことになっていると見ていい。
そもそも、この兵器を送ってよこしているのも、ノラを狙ってのことかということすら怪しくなる。
さらに、兵器を転送してくるやり方も、独自のセキュリティに基づいてやっているのだろう。俺が手に入れたコアにも、なんらかのセキュリティが掛けられていると見ていい。だとすれば、セキュリティという概念が理解できていないノラがいくら調べようが解析などできるわけがない。
俺は、ここまで考えて、一つの可能性に気付いた。