第06話 異世界ウォーズ 前編 - 23 - 分解
第06話 異世界ウォーズ 前編 - 23 - 分解
もちろん、他の手段を模索していないわけではない。ようするに、転送ゲートを開いて、攻撃用の円盤を送り込んでくるわけだから、転送ゲートを捉えればいいということになる。問題なのは、そのゲートが開かれている時間はせいぜい数秒で、しかも毎回違う場所に開かれる。場所を特定して急行したところで、とっくにゲートは閉じた後である。大量の円盤と戦うだけで他にできることはない。ゲートが何処に開くのかを予め知っているならともかく、そうでなければ偶然を宛てにする他なかった。
その偶然狙いでルーファが動いてはいるのだが、宝くじを買うようなものでそれを前提にして動くようなことはするべきではなかった。
とにかく、今は目の前に純然たる手がかりがあるわけだから、これの分析に全力を尽くすべきだろう。
というわけで、俺はノラに協力することにする。
必要そうな工具をホームセンターに行って揃えて、円盤の解体にとりかかる。
解体にあたっては元の状態がわかるように、部品一つ一つに番号を振り、隣接する部品のナンバーを書き込んでいった。手間はかかったが、おかげでどういう原理で動いていたのかということが、徐々にわかってきた。
極めて精密な部品によって構成されてはいるが、作り自体は非常にシンプルであり無駄な部品がなかった。量産化できるということは、こういうことなのだろうと素直に思える作りになっていた。
回転するためのモーターやアウトレンジからの攻撃に使われると思う発信機が取り付けられている。だが、動力源と思われる部品が見当たらない。ただ、この円盤には欠けているものが存在する。もちろんそれは、俺が戦いの中でひっこぬいたコアのことだ。
ということは、コアがエネルギー源の役割も果たしているということになる。
やはり、コアこそが核心となる技術なのだ。
ところがだ、コアはそう簡単に調べることができるような代物ではなかった。縦の長さが十五センチ、横幅が十センチほど。厚みは一センチに満たない大きさであった。
色は黒だが、角度によっては無数の光が見えることもある。
明らかに、俺のいるこの世界のテクノロジーとは異なったテクノロジーによって作られたものだとわかるが、わかったのはそれくらいで根本的な解決にはならない。
俺の方から偉そうな助言までしてしまつている手前、簡単に諦めてしまうわけにはいかなかった。