第06話 異世界ウォーズ 前編 - 21 - 捕獲開始
第06話 異世界ウォーズ 前編 - 21 - 捕獲開始
ここまで敵を粉砕しながら、どうすれば機能停止させることができるのかを調べていたので、やり方は分かっている。一つ一つの円盤の中にはコアがあり、ここを破壊すると活動は停止する。だが、それをやっては意味がない。調査するために最も必要なものが、そのコアであることが明白だからだ。
つまり、コアを無傷のまま円盤本体から切り離す必要がある。
もちろん、円盤そのものも出来る限りダメージが少ないことが望ましいことは言うまでもないだろう。
ということで、俺はこのミッションにおけるトライを開始する。チャンスは三回だ。円盤は連携しながら攻撃を続けてきているので、その内の二回で練習しながら完全に邪魔の入らない三回目、すなわちラストに勝負を賭ける。
背後と頭上と真下。死角を狙っての遠距離からビーム状の攻撃がくる。避けることは難しくないが、嫌らしい攻撃であることは確かだ。ここまでの戦いで、こいつらも学習していたのだろう。近接戦闘はしかけてこない。だが、俺の方はそう言うわけにはいかない。捕獲するためには、どうしても近接戦闘が必要となる。
最初のターゲットは背後だった。ミリ秒単位だが少しだけ攻撃が早い。つまり、最初に攻撃が終わった直後に、他の二機とミリ秒単位のラグが生じる。
俺は間合いを詰めると、円盤の下から貫手で装甲を突き破り、中心部にあったコアを引き抜いた。
コアを失った円盤は大きく穴の空いたボディを晒しながら、地上へと落下する。
コアは無事取り出せたが、このやり方だと円盤本体へのダメージが大きすぎる。
残りは二機。頭上の円盤は俺の背後に、足元の円盤は左へと動いていた。攻撃は来ているが、すでににオールレンジとは言えない状況である。俺は普通に左側へと向かう。近づいたことで、円盤は急に回転を初めて、近接攻撃モードに入った。俺の体を切り割くつもりなのだろうが、俺にしてみればわざわざ相手からやって来てくれることになるので、とても助かる。
魔力を動力にしていても、高速回転を始めたことでジャイロ効果が働き、軸が固定化するのでコアを狙うのにはとても好都合だ。
俺は残り1機からの遠距離攻撃を交わしながら、距離が詰まるのを待つ。
できるだけ俺の動きを少なくして、狙いを正確にするためだった。
円盤が皮膚に接触する寸前まで待ち俺は動いた。