第06話 異世界ウォーズ 前編 - 18 - 魔王ゼグルス
第06話 異世界ウォーズ 前編 - 18 - 魔王ゼグルス
俺としては、最後に一言余計なことを付け加えられたことよりも、俺のことを認めたと言ったことに驚いた。もっとも、少しも嬉しくはなかったが。
なんにせよ、これでようやく俺は、自分の仕事に戻ることができる。
もちろん、逐次残党との戦闘報告が入ってきていて、その処理もあったが、マニュアル対応ですむことなので特に問題にはならない。
俺は期待の半分の仕事しかしない魔物連中をなんとか働かせて、どうにか日が落ちるまでに宴の準備を整えることが出来た。
奇跡とまでは行かないとしても、我ながら良くやったなとは思う。もちろん、鑑賞にひたることのできる余裕はないので、すぐにレヴン王女を引っ張ってきて勝利の宴を開始した。
その次の日、俺は魔王城にいた。レヴン王女の父親である魔王ゼグルスと会うためだった。
「それで、原因は突き止められたのか?」
部屋中に散らばった本に埋もれている魔王に向かって尋ねる。
「どうやら、勝利したようだな。助かった。ついでに、あれの面倒まで押し付ける形になって、返す返すもすまないと思っている。だが、君ならやってくれると信じていたよ。それと、ゲートのことだが、やはり魔法技術というものが係わっているらしい。こことは違う異世界の技術らしいのだが、詳しいことは調べようにも手がかりすら見つからん」
目の前の資料から目を離して魔王ゼグルスが俺に向かって報告する。
「やはり、行くしかなさそうだな。だがそうなると問題は……」
俺の言葉の後を引き取って魔王ゼグルスが続ける。
「どこに、ゲートが開くかということだな」
その言葉には陰鬱な響きが感じられる。
もともと、魔界の王などやっているのだから、ノリがいいとは言えないだろうが、それにしても暗い。
「それで、チロとルーファはどうしてる?」
俺はどちらかというと、気軽な感じで尋ねる。俺まで暗くなったら、それこそ救いがないだろう。
「ああ、彼女らか。それぞれ、ゲートの探索にあたっているはずだが、連絡がないところを見ると苦戦しているようだ」
俺も予想していたことだが、やはり簡単にはいかないようであった。
「想定の範囲内だが、やはりこのやり方では効率が悪すぎる。やり方を変えた方がよさそうだな」
俺の言葉に、魔王ゼグルスは不審げな表情を見せる。
「なにか、アイディアでもあるのか?」
魔王の質問に対して、俺は頷いた。