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第06話 異世界ウォーズ 前編 - 11 - 宴の準備

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 11 - 宴の準備


 俺は、今度こそ別れを告げると、指揮所に向かうために勇者のいる穴に背を向ける。

 すると、


「てめぇ、ぜってぇぶっ殺す!」


 また穴の底から、物騒な声が届いてきたが、もう俺の関心はそこにはなかった。

 指揮所に入るとレヴン王女が不機嫌さを露わにして立っている。

 不機嫌な理由は概ね想像はつくが、特に害はないので放置しておけば問題ない。

 すぐに伝令が俺の所に集まるが、その大部分は前線で勝利を収めたという報告であった。敵部隊はすでに敗走を初めており、壊滅状態に陥っている。この状態から敵が巻き返すには、大規模な増援でもこない限りまず不可能だ。かりに来たとしても、敗走を始めた軍を立て直すことなど容易ではない。もちろん、俺が黙ってみているはずもない。

 ということで、魔王軍の勝利はもう確定していた。今後は、残党処理へと移っていくことになるが、これに関しては俺でなくても対処は可能だ。

 とりあえず、これでこの場で俺がなすべき役目も終わることになる。

 ということで、最後の仕上げの準備にかかることにする。

 現在俺がいるのは、異世界マドゥフ。通称魔界と呼ばれる場所だ。敵は異世界ルワースからの侵攻軍。魔王退治にやってきた、ということになっている。もちろん、そんなものは建前であり、実際には異世界マドゥフでの領地確保が目的である。ようするに、植民地を作るつもりだったのだ。

 個々の戦闘力においては異世界マドゥフが勝っているが、軍事力では異世界ルワースが圧倒的に優っていた。

 誰も想像しなかった軍勢を送ることが可能なゲートを開き、侵攻と同時にゲートの周辺に拠点を築いてしまう。その後は一方的に領土を拡大されてしまった。このままでは、魔界は異世界ルワースの植民地になるだろう。そう思われたところで、魔王軍は反転攻勢にでる。それから、ルワース軍に占拠された土地を転戦して、ようやく決定的な勝利を収めるに至ったのだ。

 レヴン王女本人は忸怩たる思いがあるようだが、魔界において彼女は常勝の英雄と呼ばれている。

 もちろんそれは、俺がそう仕組んだからなのだが。

 実体はともかく、レヴン王女には戦勝宣言をしてもらう必要があった。

 その上で、末端のコボルトに至るまで美酒を振るまい、魔王軍の勝利に酔いしれさせるのだ。

 むろん、それはレヴン王女の名の下で配給され、否が応でもその名をしらしめることに繋がる。


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