表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/550

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 09 - 告知

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 09 - 告知


「今は暇つぶしをしている時間はないので要点だけ話すが、君のいた軍は敗れた。ここから君がどんなに頑張ったところで、それを覆すのは無理だろう。そこで君の処遇だが、此処に放置されるのと、おとなしく捕虜として連行されるのとどちらがいい?」


 実に単純な二者択一であった。本来なら捕虜なのだから、有無を言わせず連行すればいい話しなのだが、正直こんな危険物を持ち帰っても後々めんどうなことになりそうなので、できれば関わり合いたくないというのが本音だった。


「わ、我が軍が負けた? 嘘だ、貴様は嘘を言っている!」


 見た目だけは美少女の綺麗な顔に、驚愕したような表情を浮かべて勇者タリィが喚くように言った。

 今更、誤魔化したところで仕方ないので、俺は正直に話すことにする。


「君のおかげだよ、勇者さん。君が突出してきてくれたおかげで、敵陣が伸びきった。その側面を攻撃して分断を計ると、増援を送ってきたので、再度これを叩く。これを何度か繰り返すと、敵陣に大きな傷ができた。そこに総攻撃をしかけると、敵軍は陣形が保てなくなった。壊滅状態となるのも最早時間の問題だろう。今の戦況はこんなところだ」


 俺は、現状を簡単に説明すると、一拍間をおいたところでもう一度尋ねる。


「で、どうする? その穴の中で余生を過ごすか、捕虜になるのか。ちなみに、俺としてはぜひその穴の底で、余生を過ごしてくれることを願っている」


 俺はこれ以上はないというほど、心からの言葉を届けた。

 それに対する答えは。


「今すぐここから出せ。真っ先に貴様の口を塞いでやる」


 なんとも物騒かつ実りのない言葉であった。

 せめて、交渉をする気があるなら、俺としても利用価値を見いだせるのだが、これではおそらく敵軍内でも持て余していたことだろう。

 突出した戦闘力を持っているということで、好きにさせていたのだろうが、戦局が大きく魔王軍に傾いた今となっては利用価値はほとんどなくなっている。

 俺が捕虜にしたくないと考えたのもそれが大きい。カードで言えば、こいつはジョーカーだ。手持ちにあれば強力な切り札になるが、ルールが変われば厄介の元となる。

 そして、今のこいつは厄介の元そのものでしかなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ