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第06話 異世界ウォーズ 前編 - 03 - 進撃の勇者

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 03 - 進撃の勇者


「そういうことなら仕方ない。時間がないですから、悪く思わないように」


 俺は微塵も心にも無い言葉を吐きながら、軽く気合いを放つ。フェイズ・シフトもしていない程度の弱い気合いだが、今いる天幕を吹き飛ばす程度の威力はあった。

 ついでに、レヴン王女もひっくり返る程度のことは期待したのだが、さすがに魔王ゼグルスの娘。仁王立ちになって耐えてみせた。

 少し残念だが、そもそもそれが目的ではないからここはこれでよしとする。


「どういうつもりです!?」


 レヴン王女は、あからさまに敵意むき出しの目で俺のことを見ている。気にならないと言えば嘘になるが、とりあえずどうでもいいことなので触れないことにする。


「レヴン王女は、しばらくの間、ここに立っていてくれればそれでいい。後のことは、俺の方でやります」


 今、俺が指揮している魔王軍に対して、敵の勇者がほとんど無双状態で快進撃を続けているところだ。魔王軍とは言っても、軍律の守れない魔物で軍編成などやれるわけもなく、実態は魔族が部隊の主力であり個々の戦闘力が高い魔物を、各部隊に言い訳程度少数配置しているのが実態である。

 その中でも戦闘力の高めのトロールを集中して、勇者の前に配置している。

 もちろんそれは、勇者の進撃を阻もうとしているわけではない。いくら、戦闘力の高いトロールだからと言って、勇者にとってはザコに過ぎない。

 俺自身の戦闘力は次元が違いすぎるので比較の対象からはずすとして、この世界の勇者の実力は圧倒的に抜きんでている。直接勇者と闘ったわけではないのであくまで直観だが、俺の感覚では魔王ゼグルスと拮抗しているように感じられる。どちらが強いかは、闘って勝った方としか言えない程度には際どい実力差だ。

 基礎的な身体能力の高さに加えて、おそらく強力な魔法兵器で武装している。こんなチート全開の怪獣を相手に、いくらトロールを並べてみたところで、あっさりと踏みつぶされて終わりだ。ゴジラと戦う自衛隊よりも一方的な闘いが展開されることになる。

 もちろん、一方的に虐殺される行為を戦闘と表現してよければの話だが。

 だが、一瞬で散っていったトロールは無駄に命を散らしているわけではない。俺の作戦通りに殺されてくれているのだ。

 もちろん、そんなことは博愛主義者の王女には伝えていない。

 全身で俺への敵意を剥きだしているレヴン王女は、俺のことを睨みつけたまま動かない。


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