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第06話 異世界ウォーズ 前編 - 02 - レヴン王女

第06話 異世界ウォーズ 前編 - 02 - レヴン王女


 ここで説明しておくが、俺が今いる陣営は魔物と魔族の混成軍団である。そして、王女殿下は最強の魔王と称されたゼグルスの一人娘であった。

 一体どうしてこうなったのか、特に興味はないが、徹底した博愛主義者である。ことあるごとに、『誰かを殺すくらいなら、殺されるほうがましです』という危険思想を振りまいている。

 平和原理主義者とも言える思想の持主である王女殿下の言い分は、平和な時代ならともかく、戦争中で敵が全力で戦いを挑んできているときに賛同することはいささか難しい。ただひたすら、虐殺されておしまいになることが確実だからだ。

 できれば、こういうある主の宗教家には関わりたくはないのだが、俺にはそうもいかない事情があった。

 そのことに関しては、後で説明するとして、当面はこのやっかいな王女殿下をなんとかしなくてはならない。


「すぐ戻ってくる」


 俺は配下の者にそう言い残して指揮所の天幕を出る。

 王女殿下の天幕はすぐ隣に張られているので、移動は簡単だ。


「レヴン王女、入る」


 俺がいきなり入ると、レヴン王女は仁王立ちになり俺のことをにらみつけてきた。

 おそらく俺が来ることを承知で、待ち構えていたのだろう。

 見た目は実に美しい人間の女性であるが、艶のあるダークブルーの髪と、金色に輝く猫のような瞳孔が人とは違う存在であることを示している。


「お父上の名できましたが、このような争いに手を貸すなどと約束はしておりません。ですので、ここから一歩も動くことはありません」


 その美しい顔に不動の意思を漲らせてレヴン王女が言い放つ。

 平和主義を唱える割には、じつに好戦的な女である。

 まぁ、そんなことなど今はどうでもいい。


「俺がその気になったら、抵抗などしたところで無駄なことですよ?」


 一応釘を刺しておくつもりで俺はそういった。

 ちなみに王女殿下は俺と魔王ゼグルスが手合わせして『互角』の戦いであったことを知っている、俺との力の差は承知しているはずだ。

 すると、レヴン王女はより一層厳しい視線を俺に送りながら、微塵もぶれることなく答えを返す。


「たとえ、あなたにどんなにこの身を汚されようとも、私の意思はけして屈することはありません」


 言い切ったレヴン王女の金色の瞳は、それはそれは美しいものであった。だが、そんなことは俺には関係ない。しいていうならば、この女は俺のことをけだもの扱いしてやがったのか、と思った程度には関係はあるが。


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