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平等でなくても支え合うことのできる生き物。

あなたには心の底から大切だと思うことのできる人がいますか?


その人を最後まで愛す勇気が、 あなたには本当にありますか?






 君と僕は共に病院で暮らしている。

 けれども、別に僕らが病院の経営をしているというわけではない。

 言うなれば、僕らは経営を支える側・・・患者様なのである。




 だけど、そんな患者である僕らは、  決して平等ではない。




 なぜなら、僕は軽い骨折で入院をした。  ほんの小さい病院にだ。

 だが、しかし、 君はとても重要な時期に ここにいる。  死ぬ寸前にだ。








 ではなぜ、君はそんな時期に こんな病院にいるのだろうか?


 僕は気になって、 失礼とは思いつつも、君に直接訊いてみた。

 「なぜ、大きい病院に移らないのか?」って。



 すると、君は笑って答えた。


 「別に いいのよ」 「死ぬのは怖くないから・・・」 「それにね? 私だけじゃなくって、お母さんも病気なんだ・・・」 「なのに、私の病気は治りもしないのに駄々をこねると、迷惑をかけることになっちゃうでしょ?」 「ただでさえ、私にはお父さんがいなくって迷惑をかけてるのに、これ以上は・・・」 「だからね?  そんな私に無駄なお金を使うくらいなら、お母さんには幸せになってもらいたいの・・・」 「だから、私は病院を移ろうとしないのよ」っと。



 そして、付け加えた。

 「ありがとね?  心配してくれて・・・」 っと、少し涙を浮かべながら。





















 『さぞかし、君は優しい子なのだろう』

 全然、僕は君のことを知らないけれど、確かにそう思った。


 だから、僕は君に言った。


 「君はお母さん想いなんだね・・・」って。





 それが、君にどう届いたのかはわからない。

 ただ、僕は君の言葉を聞いて、君の表情を見て、そう思ったのは確かなこと。


 だから、僕は君に そう言ったんだ。


 そして、僕は 他にも君に対して言葉を告げた。



 「君にもし、やり残したことがあるのなら、僕に教えてくれないかな?」 っと。






 すると、君はニコッと笑う。  そして、僕に話す。


 「あなたは優しい人だね・・・」 「こんな もうすぐ死ぬような女の話をわざわざ聞いて、それでいて軽蔑せずに私のことを見てくれている・・・」 「あなたって、とても優しい人・・・」


 「だからね?  私が今から話すことを、静かに聞いてみてください・・・」




 それから、僕は その言葉に頷き、  君の言葉を真剣に聞くことにした。











 「私は、小さい時から病気になりがちだった」 「まだ、その頃には、お父さんもいた」 「だけど、私が小学校に入学してすぐ、お父さんは交通事故で死んじゃった」 「それから、お母さんはお父さんの代わりに働くようになって、次第に私よりも病院に通うようになった」 「でも、ある日、私は学校で倒れるの・・・」 「最初は貧血だと思ったわ」 「けどね、検査すればするほど悪性なものだってわかっていって、手術には膨大なお金が必要で、 でも だからと言って、手術したからって絶対に治るわけじゃないって言われて・・・」 「私もお母さんもパニックになったわ」 「沢山 泣いたりもした」 「だけど、ふと気付いたの」 「泣いていてもどうにもならないって」 「だから、私は泣かないと心に決めた」 「そして、今までの人生を振り返ってみた」 「するとね、すごく寂しかったことに気付いたんだ・・・」 「たぶん・・・それが、私のやりのことしたことだと思う・・・」


 「私は、男の人を知らない・・・」 「誰とも付き合ったことがないの・・・」



 「それが、私のやりのことしたことだと思う」 「それだけだと思う・・・」




 「だけど、私はお母さんにも、 先に死んだお父さんにも愛されていた」 「それに、あなたみたいに優しい人にも出逢うことができた」 「だから、私は十分幸せよ・・・」 「もう、思い残すことはない・・・」 「私の人生に悔いはないわ」 「だから、ありがとう・・・あなたの優しさを素直に受け取っておくね・・・」











 君は そんなようなことを言ったけれど、君が最後に言った「ありがとう」が、僕の耳には何だか寂しそうに聞こえた。

 だから、僕は君に言ったんだ。  「本当に、それでいいのか?」って。


 それと、もう僕は君のことが好きだったから、「僕でよかったら・・・」って。




 すると、君は言ったんだ。

 「私もあなたのことが好き・・・」

 「だけど、 だからこそ、私が死ぬところなんて背負わせたくない」って。






 僕はそれを聞いて、何も言い返すことができなかった。

 それは、一番辛いはずの君が泣きながら笑っていたから・・・。























































やらなきゃいけないじゃなく、しなきゃいけないじゃなく、


俺が、私がしてみせる。 そういう強い意志を持って。。。





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