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4.魔王のおしごと



火山に近付いて、結構な熱風に襲われる。


あっつ…」

「魔王様、大丈夫ですか?」


人間である私を気遣ったクロード。こういうところは本当に優しいんだよな。


「ん、平気。結界張るから」

「あまりご無理なさらず」


フェニックスごと自分を結界で包み込む。クロードは人間界の物質全てに耐性があるので火山如き熱風などへっちゃらなんだとか。やっぱ魔物ってすごいな。


「そういえばフェニックスって不死鳥で火の鳥って言われてるよね。最初に生まれたのって火山の中とか?」

「人間界でのフェニックスの言い伝えは存じ上げませんが、私どもの魔界では地獄の炎から生まれたと言われております」

「地獄の炎…。めっちゃくちゃ熱そう」

「“熱い”のひとことで済む熱さでもないですがね。人間に分かるように形容するなら、“灼熱”でしょうか」


フェニックスの炎は触れるだけで対象を燃やし尽くすと言う。私が平気なのは、フェニックスに認められているから。

生き物としての温もりは感じるが、炎の熱さは感じない。


「あったかくてふわふわするの、言っても誰にも通じないんだよね」

「本来人間が魔物に好かれるなんてあり得ませんからねえ」

「こんなにカッコよくて可愛いのに…」


フワフワなでなでしていると、グリフォンが私にその体を押し付けてきた。お、なんだ嫉妬か?可愛いやつ。


「グリもカッコよくて可愛いよ!」


頬ですりすり、手で撫で撫で。犬みたいに「くぅん」と鳴くので母性がくすぐられる。


「魔王様、わたくしも…」

「………」


やたら忠誠心の高いこの魔物も無言で撫でてやる。


満足気に笑うクロードだが、何かを感じ取り急に真顔になった。その変化に一瞬ビクッとなるが、「ああアレか」とすぐ理解した。


魔族にだけある念派。思念エネルギーと呼ばれるものだがつまりはテレパシーの一種で、魔界にいる配下がクロードへメッセージを送るとこうなる。


「どしたのクロード」

「…魔界のスケルトン達が、暴動を起こしたようです」

「スケルトン?あのガイコツ?」

「はい。あのガイコツです」

「えっと、暴動を起こすような連中だっけ?てか、管轄は誰なの」

「スケルトンはいわば死者アンデッドなので、死者蘇生のスキル持ちであるハワードが管轄ですね」


ハワードは吸血種。それも高位の。ハワード自身は女好きで遊び人。魔物にしては珍しく争いを好まないタイプ。

そしてスケルトン自体は考える脳みそがないので、あいつら自身が暴動を起こすはずがない。

そうなると誰かの陰謀説が濃厚だ。


「ハワードはどうしてるの」

「現在愛人達とバカンスへ行ってますね」

「しっかり楽しんでやがる。で、首謀者は?」

「恐らくスケルトン・キング」

「…あー、幹部不在を狙ったな」


どれだけ低脳でも、ランクアップすればそれだけの知能は付く。例え脳がなくても。

スケルトン・キングは、そのランクアップで知能が付いた、種族の長ということである。


「仕方ない、エクセルに対処させといて」

「かしこまりました」


エクセル。魔族のなかでもかなり頭のキレる魔人。正直そんなに頭が良いなら彼が次の魔王で良いんじゃないかと思ったが、それじゃダメらしい。

何せ実力至上主義。頭の良さより魔力量。エクセルは頭は良いが魔力はそこそこだそうだ(それでも魔人のなかでは高魔力の持ち主)。


こんな感じで、連日魔界から緊急の連絡が入る。

新魔王軍発足はしたが、幹部内で片付けられそうなこともこうしてクロード経由で来るため、最近その多さに少しウンザリしてきた。魔界の魔物達血の気多過ぎん?



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