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38.王子と 勇者が 仲間になった!





「シイユ。まさか見合いで従者を増やしてくるとは思わなかったぞ」

「私も予想外でした」

「しかもうち一人が勇者とは…」

「本人たっての希望です」


自称勇者の件が落ち着いて、見合いの報告をしようとして。父はてっきり私の婚約が順調に進んだと思っていた。

そしたら王族装束を脱いだ王子が横にいるのだからびっくり仰天である。


あまりに驚いて、二人きりで話し合い。


「…そんなに見合いが嫌か」

「偶然です。私だって王族の義務としてやらねばならぬことだと理解してますから」

「……そうか」


初っ端から見合いでとんでもない成果を叩き出し、父は深いため息を吐く。

国王も大変だなぁ…。


「…………勇者がいるのなら、いっそ勇者と婚姻…いや…」


ボソボソと独り言。

これはおそらく、伝承の勇者のこと。

勇者に魔王討伐を正式に依頼し、その褒美に王女との婚姻を成立させようとの目論みだろう。


だがしかし!!


その討伐相手は目の前の王女だということを忘れてはいけない。つまり!!


魔王討伐での褒美は私が魔王である限り叶わない!!!


「…お父様がお望みであれば、またお見合いしますが」

「………それもなぁ…」

「…? 何か問題でも?」


意外な反応だった。てっきり、私の意思次第では次のお見合いの話を持ってこられると思っていたのだ。


「…王妃が、見合いに苦言を呈しているのだ」

「お母様が?」


あれま。どうやら、母の方が見合いに否定的らしい。

自称勇者の一件で、相当ご立腹だったのだ。


「幸い、お前はまだ13。成人まであと5年はある。その間に自分の力で相手を見つけることもあるだろう」

「…そうですね…?」

「そこでだ。一度王妃と話し合ったのだが」

「はい」











「えっじゃあお見合いはもう無しですか?」

「うん。少なくとも、私が自力で見つける方向に落ち着いた」

「ようございました。王族といえど、全員が眉目秀麗であるとは限りませんので」

「なかなか辛口だねユイ」


父からの方針発表をクロード達に伝えると、明らかに安堵していたのはユイで、王子改めケルヴィンと、勇者改めアルファは満足そうに頷いていた。


結局男性二人を呼び捨てにしてるんだなって?

しないとその度に笑顔で圧かけられるんだよ!!

イケメンの笑顔はすごいオーラがある。そこに笑顔以外の意味を乗せられると途端に恐怖に変わるくらいには。


「…なるほど、俺が見合いに漕ぎつけられたのは、ユイ殿のお陰だったわけですね」

「………ユイの判断基準がクロードでして」

「…とても納得がいきます」


そしてケルヴィンは一人称を「俺」へと変えた。「私」というのは王子として表向きの呼称、王子でなくなった今、堅苦しいのは辞めて本来の姿でいくことにしたらしい。


「ああでも王室を抜けて一つだけ心残りはあります」

「何です?」

「シイユ様と友人以上の関係になれない、ということです」

「」


思わず固まってしまった。


「ははは、従者になったのは自分の意思なので、ご安心を」

「……おふざけがすぎます」


その後、新しい従者としてメイド達に紹介したが、片っ端から卒倒するという大惨事に。

まあ、二人ともタイプの違うイケメンで、ケルヴィンは傾国顔、アルファは建国顔なので仕方ない。


「一番オトしたい人には全く通じないのが難儀だな」

「激しく同意する」

「? なんて?」

「何でもないですよ」

「どうぞお気になさらず」





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