20.魔王と魔王様の邂逅
「マオ!?久しぶりだね!」
「お会いしたかった…!」
見た目は私と同じ。けれど格好はあれからかなり変わっていた。魔王らしい服装になっている。
「お久しぶりですね、マオ。息災ですか」
「クロード様!クロード様もお元気そうで何よりです!」
……何だかこのマオ、最初設定した時に比べ随分と会話がスムーズな気がする。7年も経てばこうなるのか??
「最初の頃より喋り方がすごく自然だけど…。あと成長もしてる?」
「魔力で成長速度を合わせてます!もちろん幼少期に戻すことも出来ますよ。会話も、幹部達に怪しまれないよう自然体でいけるよう学習しております。今では完全に魔王として御命令を遂行しております!」
褒めて!と言いたげな顔に、「マオはすごいなぁ」と頭を撫でる。まるで双子の妹だ。
「あれだけ造った迷宮をこの速さでクリア。さすがはマスター、感服いたしました!」
「いや、あの迷宮を造ったマオもすごいよ。可能性の幅が広がって楽しめた。ありがとね」
「ふふ!楽しんでいただけたようで何よりです!…しかし、グリフォンとフェニックスには少々悪いことをしてしまいました、申し訳ありません」
二匹に向き合ったマオが申し訳なさそうに悲しむ。造った主として、恐らく様子をずっと観ていたのだろう。もちろん、重力で抑えられていたところも、感染にかかったところも。
「大丈夫だよ、二匹とも。ほら、もうピンピンしてる」
マオが恐る恐る二匹に近付いて、二匹は起こる様子もなくマオに懐いた。それを実感してか、マオの表情に安堵が見えた。
「…しかしながら、改めて迷宮クリア、誠におめでとうございます。どうでしょう、マスターが、この迷宮の主になるというのは」
「えっ? いや、マオと闘うって話は?」
そう、この迷宮のことを聞いたとき、クロードが言っていた。
最強の敵はマオだと。
「…迷宮の完全攻略のルールも報酬も、迷宮の主がその内容を決められます。なので、主であるマオが決めたなら不戦勝、事実上の迷宮の主に魔王様がなることも、実質可能なのです」
「あ、そうなの」
マオにはどうやら闘う気はなかったらしい。私を楽しませるための迷宮、ただそれだけ。
…………だが、全く興味が湧かない、なんて言ったらマオは泣くかしら。この場を丸く治める返答を考えていると、クロードが助け舟を出してくれた。
「…ふふ。魔王様は迷宮より娯楽施設の建設の方に興味がおありのようで」
「あっちょっ」
「娯楽施設?」
「魔力を持たない一般人向けの、遊び場です」
にこにこと、迷宮の中で話していた内容をあっさりマオに漏らす。
「一般人向け。…ということは、我々は入れない…?」
「いえ。魔力の制御装置を思案中ですので、それを装着すれば可能、という風に考えておられます」
するとマオがキラーッと輝き出した。
「わっ、わたしも、マスターのお造りになる娯楽施設、行ってみたいです…!」
「……だからごめん、この迷宮は、特に要らないというか…」
良い言い回しが見つからずモゴモゴ。
「迷宮を造るのに、我らは思い入れがあるわけではありません。必要がないと言うのなら片付けるまで。マスターが気にされる必要などないのです!」
瞬間、マオは迷宮をギュオ!!と凝縮した。小さな小さな球体。迷宮の中にいたはずなのに、一瞬で外に出た。
行動が早い。
「……いいの?そんなあっさり」
「全く問題ありません!!」
満面の笑みである。




