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19.魔王様、無双する3




次の部屋に入った瞬間、上から何か圧を感じて。


「お、!?」


立てなくなった。


「魔王様!? ぐ、!?」

「お、ぉぉおおっ?」


クロードも同じなようで、グリとフェニも地面に伏してしまう。


これは…。


《第五ステージ・重力場グラビティ


やっぱりか!!!


「すごい、重力です…、ぐ、動か…ッ、これは、本当にマオの魔力ですか…、この私が、全く、…くそっ」

「……クロードが悪態ついてるのめっちゃ貴重…」

「言ってる場合ですかっ!」


普段礼儀正しい奴の口の悪さほどギャップ萌えはない。

けど、クロードの言う通りそんなことに気を取られてる場合ではない。何しろグリとフェニが辛そうなのだ。「クゥン…」「キュウ…」と鳴き声がとても痛々しい。


「じゅ、」


重力魔法・重力操作

私達の周囲の重力を元に戻す。


「…マオの魔力がここまでとは…」

「大丈夫? グリとフェニも、平気?」

「クゥ…」

「キュア!」


グリは疲れたようだ。フェニは回復が早いけど。


ボスが現れる。球体の格好をしているが、惑星を模しているのか。


重力魔法・重力崩壊


「攻撃するのは私だけでいいんだよ」


私の周りの重力が変わる。球体を私の魔力で包み込み、重力場の嵐を作り上げた。まあつまり、中から崩壊するようにしたのだ。


「………エグい」


クロードがポツリと呟く。おい聞こえてるぞー。

惑星が崩壊するとこんな感じなんだろうな、とどこか人ごとのように見ていた。亀裂が走り、裂けたところから崩れていく。

裂け目は段々と広がり––––球体はバキン、と二つに割れた。


《第四ステージ・クリア》


「……さすがです、魔王様」

「うーん、私だけが攻撃対象じゃないのは予想外なんだよな」

「魔界の存在である我らもしっかり影響を受けてますね」

「次のステージで最後か。ちょっと気を付けとこ…」



第六ステージ・感染大流行パンデミック



「ギュ…」

「ギャゥ…」

「ちょっと待て!!!」


入った瞬間とんでもない毒と疫病の空間に、グリとフェニが一瞬で感染を起こした。

大急ぎで結界を作り、二匹に浄化魔法をかける。


「ク、クロードは平気なの」

「…平気ってほどではないですが、一応魔族ですので。迷宮ダンジョンの主がマオというだけあって、結構強いですね」

「平気じゃないんじゃん!!こっち来て!!!」


クロードにも浄化魔法。「魔族が浄化魔法で治療されるとは…」とかボソボソ言ってるけど、そんなの関係ない。

浄化っていうのは、術者の認識によってその効果はかなり違ってくる。


魔族や魔物にも効く毒と疫病とは。マオ、恐るべし! てか、ここに来る前の地上の毒はみんな平気だったのに、何で急に。あれか。地上のはあくまで人間が近寄れないレベルってだけか。なるほど!!


奥から毒を纏った植物が近づいてくる。毒と疫病の権化みたいな、食虫植物だ。

茎だかつるだか分からない触手をウネウネと伸ばしてきて気持ち悪い。あれ絶対触ったら駄目なやつ。


神聖魔法・完全浄化


近寄ってくる前に、処理。私を中心に神聖魔法のエリアが急速に広がり、その魔力の強力さに植物は“ジュッ!!!”と一瞬で消えちゃった。燃えたというより、まさに浄化されたのだ。


部屋全部に浄化が広まって、毒と疫病だらけだった空間に花畑が埋め尽くされる。


《第六ステージ・クリア》


「…これで終わったのか」

「………楽しめましたか?」


たぶん、あまりにあっさりクリアしたので、物足りなさを心配したのだろう。

けど、私なりに収穫もあった。


「うん、楽しかったし、勉強にもなった」

「…それはようございました」


しばらくするとまたピコン、と表示が出る。


《…少々お待ちください》

「?」


次のシステムの準備中なのか、少し待つと。


《魔王の間へと移行します》


「マスター!」

「おわっ!?」


部屋がパッと変わり、懐かしのマオが抱擁に飛びついてきた。




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