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14.束の間の休息



静観していた母が、正論を並び立てカッコよく啖呵を切った。

父は「それもそうだな」と納得し、冒険者へ告げる。


「冒険者よ。今王妃の言ったことに異論はあるか?」


母としては、遠回しの“却下”なのだが、その真意を知らない冒険者はきっとこう思っているのだろう。


––––やった!俺も王族の仲間入りだ!!


だからこそ、返事した。


「いいえ!異論はございません!必ずや勇者として魔王を討ち果たして参ります!」


あー、これ、都合良く曲解してるなぁ。

母も「あ、こいつ理解してないな」って顔してる。

よくよく見てみたらこの冒険者、全く鍛えられていない。全体的にヒョロヒョロしてるし、そんなんで剣が振れるのかってくらい腕は細い。

ほんとに勇者か???


『え。私こんなヒョロっちいのと結婚しなきゃいけないの?』

『魔王様が負けるわけがないので心配なされる必要もないのでは?』

『それもそっか』


あまりにも不安になってきてクロードに相談したが、一瞬で安心した。

全ては冒険者が自信たっぷりに言うのがいけないんだ。








そこから数週間が経ち、自称勇者に“討伐報酬・姫(仮)”を与えたことが噂で広まり、冒険者達は魔王を討伐すれば王家から何でも望むものを貰えるというある意味間違った情報が流れた。


しかしそのおかげで、迷宮ダンジョンへ挑戦する冒険者が急増。マオからも、「冒険者達が皆やたらやる気に溢れています」と報告を受けた。

…まあ、それで魔界の統治が安定するならいっか。


その更に数日後、マオから速報が入る。

偶然、迷宮ダンジョンに視察に向かったときだそうだ。


突然、思念伝達テレパシーが来たかと思えば。


『マスター。不届者を成敗しておきました。御命令通り、命は奪っておりません』

『おっ。お疲れー、ありがと。ちなみに誰?冒険者?』

『自らを“勇者”と名乗っておりました』

『へっ笑』

『魔王を倒してシイユ姫と結婚するんだ!とかほざいてましたので、死なないギリギリを狙いました』

『私の分身優秀すぎwww』


たぶん、人生で初めて爆笑したと思う。

それくらいお腹抱えて笑ったし、面白かった。








…あれから。ひょんなことから魔王を継承し、ドタバタと過ごしてはや7年。

そう7年。経ったのだ、7年。

気付けば冒険者登録出来ちゃう年齢になりました!!!いやしないんだけどね!!!


でもマオが造った迷宮ダンジョン、どんなのか気になる!!我が子の作品を見たがる親の心境!!!そしてあわよくば探索してみたい!!!体験してみたい!!!!(クソデカボイス)


「魔王様。ご用意が整いました」


7年前と全く姿の変わらぬクロードが、横にドレスを纏った少女を連れてやってくる。

マオに見えるが全くの別人。まあようは、分身2号である。


街への散策は許されたが、冒険者になるのは断固として許可が降りなかった。そりゃそうだ、魔王だが私は一国の姫君なのだから。大事な大事なお姫様を、危険地帯に送り出す親なんていないだろう。…いくら強くても。


そこでこっそりと迷宮ダンジョンへ潜る方法はないかと悩んだとき、思いついた。


そうだ、もう一体造ればいいじゃないか。

人造人間ホムンクルスを。


善は急げと、また山脈へ行き鉱石を取ってきて人体錬成。二体目の完成となった。

そして名前は。


「よし。私が戻るまで、お留守番よろしくね、ユイ」

「かしこまりました」


“ユイ”。これは私の名前から取った。王女の影武者なので。


「さて。マオが造った迷宮ダンジョン、どんなのか楽しみだ!」

「分身体とはいえ、魔力は魔王様とほぼ同等です。期待してよろしいかと」

「マジで!!!?」


7年前、偶然魔王と闘って以降私はどデカい魔法は撃ってない。その機会がなかったのだが。

その絶好の機会が!今である!!

マオにはすでにアポを取ってある。マオが造った迷宮ダンジョンを体験してみたい!そう言ったら「是非いらしてください」と快諾してもらえた。


一般の冒険者は組合ギルドに登録したり、迷宮ダンジョンに入るための依頼を受けたりなどめんどくさい手続きが必要らしいが、私は何と顔パス。

すごいね、これが身内の特権てやつ? 身内っていうかほぼ本人なんだけど。



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