複雑に絡む想い.
リリスとの冒険が続く中、俺たちの絆はますます深まっていた。互いに言葉は少なくとも、その距離感は縮まりつつある。焚き火を囲んで話す夜、戦闘中にふと交わす視線、そして彼女が時折見せる優しさに、俺は心を奪われていた。だが、そんな日常は思わぬ形で変わっていく。
ある日、ギルドから新たな依頼が舞い込んだ。巨大なダンジョンの調査だ。この冒険で、俺たちの旅路に新たな仲間が加わることになる。
「あなたがアレン?」
ギルドの受付で俺たちを待っていたのは、輝く銀髪を持つ美しい女性だった。彼女の名はセリーヌ。高名な魔術師として名を馳せているが、彼女の容姿と気品は、それ以上に人々の目を引くものだった。
「私もこのダンジョン調査に同行することになったわ。よろしくね。」
彼女は優雅に微笑み、俺に手を差し出した。その瞬間、リリスが少しだけ眉をひそめるのが見えたが、すぐに元の表情に戻る。
「アレン、セリーヌはこの街でも名の知れた魔術師よ。強力な助っ人になるわ。」
リリスが言うように、セリーヌは冒険において頼もしい存在だ。だが、彼女の瞳には、ただの仲間以上の何かが宿っている気がした。俺と目が合うたびに、彼女は意味深な微笑を浮かべる。そのたびに、リリスの視線が俺に向けられるのがわかった。
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三人での冒険
ダンジョンに入ってすぐ、セリーヌの実力が明らかになった。彼女の魔法は圧倒的で、俺の力と合わせてモンスターを次々と撃破していく。リリスの剣さばきとセリーヌの魔法、そして俺のチート能力。この三人の連携は完璧だった。
だが、戦いの合間に感じるセリーヌの視線が気になっていた。彼女はことあるごとに俺に寄り添い、時折、彼女の手が俺の腕に触れるたび、俺の心は揺れ動いた。
「アレン、あなたの力は本当に素晴らしいわ。こんなに頼りになる人、初めてよ。」
セリーヌは俺に甘い声で囁く。彼女の手が俺の肩に軽く触れ、その柔らかな感触に心が揺れた。リリスはその様子を見て無言だったが、その表情には微かな嫉妬の色が見えた。
夜、ダンジョン内で休んでいる時、リリスが突然立ち上がった。
「アレン、ちょっと外に出よう。」
彼女に促されて焚き火を離れた俺たちは、外の冷たい空気に触れた。リリスはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「アレン、セリーヌ……彼女のこと、どう思っているの?」
その質問に、俺は少し戸惑った。セリーヌは確かに魅力的だし、彼女の実力も尊敬している。だが、俺が本当に心を惹かれているのはリリスだった。
「俺は……」
その時、背後からセリーヌが現れた。彼女はリリスの言葉を遮るように近づき、俺の腕を軽く引っ張った。
「アレン、あなたも感じてるでしょ? 私たちの間に、何か特別なものがあるって。」
その言葉に、リリスの目が鋭く光った。二人の間に、張り詰めた空気が漂う。セリーヌの手は俺の腕に絡み、リリスの視線がそれを鋭く追っていた。
「アレン、選ぶのはあなたよ。」
二人の女性が俺を見つめる。どちらも俺にとって大切な仲間であり、惹かれる存在だ。だが、この瞬間、俺は初めてその想いが複雑に絡み合っていることを感じた。