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理想の結婚を求めて

作者: 村松希美

 ジミナ村に、直樹という1人の青年がいました。


 直樹の家はとても貧しく、直樹が進学したくても、経済的な理由で大学に行けませんでした。


 だから、仕方なく高校を卒業して、地元の小さな会社で働くことにしました。


 でも、直樹には野心がありました。こんな貧しい村を出てみんなが羨むような女性と結婚して、財を築きたいという野心が。


 努力家ですが、性格に難がある直樹でしたが、直樹には、幼い頃から直樹を一途に想っている香純(かすみ)という幼なじみの女性がいました。


 直樹は高校を卒業してから就職して2年が経った頃に、上京したい思いを我慢できなくなって、香純(かすみ)をおいて上京し、何とか上場企業で就職することができました。


 直樹は元々まじめだったので、東京のその企業でも頭角を現し、みるみるうちに出世しました。


 そんな頃、直樹は前から買ってみたかった宝くじを1万円分買いました。すると、その中の1枚で3億円が当たり、直樹の野心はみるみるうちに叶ったのでした。


 ある日、居酒屋で、直樹は同僚とお酒を飲んだ時に、宝くじで3億円が当たったことをお酒に酔った勢いで話してしまいました。


 直樹が宝くじで3億円当たった噂はみるみる社内に広がりました。


 それからというもの、直樹は、大勢の女性たちに囲まれることになりました。


 東京の女性なので、とても、きれいな女性たちばかりが直樹をとり囲みました。


 直樹は始めは宝くじの噂だなと警戒していましたが、女性たちといろいろ話をするうちにとても気分が良くなって、宝くじ効果のことは、頭からすっぽりなくなり、1人の美人の女性に夢中になりました。


 その女性の名前は、百合といいました。百合の目的は勿論、直樹との玉の輿結婚でした。本当は直樹なんてどうでも良かったのです。


 そんなことも知らずにというか、疑念を抱かなかった直樹は、百合に一途になりました。2人はもうすぐ結婚というくらいとても親しくなりました。


 ある時直樹と百合は、シングル最後の旅行に伊豆に行きました。伊豆の旅館に2人は泊まり、夜になって、直樹は、連日の仕事の疲れでいつしか眠ってしまいました。


 何時間かして、直樹がうっすらと目を覚ますと、百合がスマホで、誰かと会話している声が聞こえてきました。


 直樹は、布団の中で、百合に起きたことを悟られないようにして、じっと百合の会話を聞いていました。


 「3億円入ったらどうする?和幸?」

 「☆△☆△・・・△☆△☆★」

 「そうだよね。あんなダサ男をうまくあしらって、和幸に貢いであげる」


 百合の声は、直樹の前での清楚さとは全く違い、どこかのお水の姉さんのような話し方でした。


 直樹はもう、これ以上、百合の話を聞きたくありませんでした。旅行も取りやめにして、今すぐ帰りたいくらいでした。


 翌朝から直樹は何も聞いていないふりをして、百合とのこの旅行をやり過ごしました。


 直樹の前では清楚な百合が怖ろしく嫌でたまりませんでした。


 旅行を終えて、直樹は普段どうり勤めに出ましたが、日が経つ毎に何だが虚しくなってきて、百合に腹立たしくもなってきたので、結婚も会社も辞めて、またジミナ村に戻ることにしました。


 ジミナ村に戻ると、野鳥の声や川のせせらぎなど、豊かな自然がここにはあったんだと、改めて築きました。


 自分は何てバカなことをしていたのだろうと河原に佇んで考えていました。東京でのことは、すべて、泡となって消えてしまったのでした。


 直樹が河原に仰向けになって、空を眺めていると、


 「直樹!、なおきだ~! 何で?!」


 とはしゃいだ女性の声が近づいてきました。その声の主は、香純(かすみ)でした。


 香純(かすみ)は、満面の笑顔で、直樹に手を振っていました。


 直樹は、


 俺はなんてバカだったんだ。


 としみじみかみしめたのでした。



      ーおしまいー

 読んでいただき、ありがとうございます。


 すべて、即興ですが、こんな目には遭いたくないですね。


 野心は考えて持ちましょう。


 ※ジミナ村の名前は、アニメ魔法陣グルグルからいただきました。

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