目標の話
さっきまでとは一転とてもまじめな話にアメジが移す
「お2人はどうしてこの学校に入学したのですか?」
まるでどこかのご令嬢のようにきれいなしぐさで聞く
「私は、この国、この世界最強と呼ばれる人間、皇女殿下に勝ち、建国以来一度も変わっていない、皇族の座を奪う、ただそれだけですよ」
そう返すと先ほどまでの柔らかい表情から一気にまじめな、人を見極めるような目でアメジが聞く
「本気で言っているのですか?皇女殿下を倒すと、皇族の座を奪うと」
「『皇女殿下を倒す』これを冗談で語るようなアホ、スラム街にも、腐った貴族にもいませんよ」
とこちらも真剣な顔と声で返す、すると本気だというのが伝わったのか表情が柔らかくなる
「それもそうですね、それで、その後はでどうするつもりなんですか」
「私の最終的な目標、それは、世界平和そのためのバトンを繋ぐことです」
それを言うと、ありえないことを聞いた、と言うような、顔を見せた
そりゃ、こんなこと聞いたらそんな顔もするよね~、なんたって人類の歴史は戦争の歴史、常にどこかで大国と呼ばれる国が戦争していた、そして、この世界の戦争、紛争のほとんどに、ここ、ネオプロトス帝国は何らかの形で必ず関係している、しかもそんな戦争だらけのこの世界で唯一、ネオプロトスの歴史は戦争の歴史と呼ばれる国、その頂点を取り、世界平和を目指そうというんだから、そんな反応にもなるよな
「ならまずは、私を超えられるよう、頑張ってくださいね、できればですが」
そういって手を差し出す、俺はその手を取り、力強く握る
「ええ、今年、いや、今学期以内に越してあげましょう」
すると、アメジも同じく力強く握り返してきた
数秒後握手をやめ、手を少しほぐす
うう、痛い
「次は・・・えっと」
ロラの方を見る
「ああ、オーロラ・クリスタル、ロラでいいよ」
「ロラさんはなぜこの学校に入学したのですか?」
「義兄様の隣をずっと歩いて、ずっと支えるためかな、私は義兄様が居なきゃだめだし、義兄様も私が居なきゃダメ、だから、一生、恋人、妻という立場から支えるために、2人の夢である世界平和を、この夢をかなえるために、そのバトンを繋げるように、かな」
ちょっと赤くなりつつもアメジの顔をまっすぐ見てそう答える、そしてそれを聞き少し驚いた顔をしつついう
「つまり、2人で同じ夢を、一緒にかなえるために来たんですね、とても素晴らしい目標ですね」
「ありがとうございます、アメジ様はどうしてこの学校に入学したんですか?」
ヘマがそう返すと、聞かれた嬉しさによりアメジの口角が無意識に上がってしまう
「私はこの国を、全ての面で世界トップにしたいんです、魔学、科学、生産能力、特にこの三つが他の列強諸国と比べて低い、そんな現状を変えたいんです、私の手で、そのためにこの学校に来ました」
「アメジ様の目標も素敵ですね」
そうできるだけ礼儀正しく返すとアメジが笑顔で言う
「様はつけなくても大丈夫ですよ、呼び捨て、ため口で構いません」
「それなら、俺たちも呼び捨て、ため口で大丈夫だよ」