来訪際
それからその日は命綱なしで崖を登ったり、そこから滑空したりして楽しんだ
そしてまたその日も夢を見た、昨日と同じような夢なのに全く違う夢
昨日と同じ少女を追いかけている夢だけど昨日はなかった周りにある、そこも見えない闇とそこから出てくる無数の手、そして恐怖と焦りがあったがなぜかどちらも周りの闇や無数の手ではなく目の前の少女に追いつけないことへのものに感じた
目が覚めると当然いつもの天井が見え、恐怖も焦りも消えていた
朝起きて窓の外を見ると色とりどりの花や草で埋め尽くされた家々と人の通る幅を残し花と草が広がる道、それは花神たちが暮らしているという花の都フィレッテンと見紛うほど可憐で美しかった
ああ、そうか今日は来訪祭の準備の日だったな
もうそんな時期かと思うと同時に俺は一体どれだけ寝ていたんだと花に覆われている町を見ながらそう思う
来訪祭神様がいたといわれる数億年前、この大陸の中心に16の神と天使が降り立ち、それぞれ16の方角に分かれて1か月かけて危険がないか直接見に来てくださることに感謝し、担当する神様への感謝を込めて大陸の中心から神様の見る順にリレーのように各地で2日ずつ祭りをするという1大イベント
この町の方角は花神フーローラ様が担当することから花の都を再現することになっている、そのため魔法使いがいないか足りない町では花屋が儲かるらしい、その分かなりの重労働らしいが
「おはようございます、ヘマ様」
「おはよう、レイン」
あくびをしながらそう返す
時計を見ると短針が11と12の間を指し、長身が重力に従い頭から垂直に落ちようとしている、ちょうど11時半だ
「レインなんでおこしてくれなかったんだ?」
着替えながらレインにそう聞くとこちらに背中を向けて町を見ながら部屋の奥に移動しながら応える
「来訪祭の前日ですので」
「おい待てそれって」
そう言い終えた瞬間、着替え中の俺に滝の花が襲い掛かる
来訪祭の準備期間と本番の2日、片付けの日に寝坊したものには大量の花がぶつけられる、昔花神フーローラ様が寝坊したときにほかの神々に死んだのではと勘違いされ、フーローラ様に言葉が届くようにと花に言葉を託し、フーローラ様のいる花の都にげたことが由来となり、寝坊した人を殺す勢いで大量の花をぶつけることが風習となったらしい
まあこの話も来訪祭も何億年も前の話で事実かすらもわからない、こともが寝る前に話すおとぎ話みたいなものなんだが




