勝利
とうとう、待ちわびたこの日が来た、今日この日俺の入学が決定する日が
待機所に置かれている鏡に映る俺の姿は、この国では珍しい黒色の背中の半分まで届く髪に、黒い目、平均に近い172㎝の身長、そしていつもより少しいいくらいの顔色
うん、不調はなさそうだな
コンコンコン
「ヘマタイト様、順番が来ました、フィールドへ移動してください」
タキシードをつけた茶髪の女性が扉越しにそういうのを聞き
「はい、今行きます」
そう返して部屋から出てフィールドへと向かっている途中、ピンク髪の腰まである髪の前髪以外を一本の三つ編みにしている、可愛い義妹、オーロラ・クリスタが壁にもたれて遠足前の子供のような笑顔をして待っていた
こっちに気付くとプレゼントを目の前にした子供のように無邪気な笑顔をして向かってくる
「頑張って、義兄様」
「ああ、ロラと同じく俺も勝ってくるよ」
「それじゃあ、私はお父様、お母様と応援してるからね」
フィールド入口につく
一度深呼吸をして息を整え、フィールドへと足を運ぶ
その瞬間鳴り響く、俺ではなく、俺の今回の試合の相手、双子の元弟、エルピス・プラミヤに掛けられる黄色い声援が
まあ当然だろうな、下級貴族の子供の俺と上級貴族の中でも上位の武を誇るプラミヤ家の長男なんだから
まあ、そでも勝つけどな、少しむかつくし
そう思いながら、白髪で短い髪、白い眼の活発そうな元弟と目を合わせる
「そっか、そういや試合相手はあんたか、なあ棄権してくれないか?さすがに俺も心が痛むんだ、雑魚をいたぶるのはよ」
こちらを見下すように笑いながらそういう
なんだこいつ、久しぶりに会うはずなのに思ってたよりも成長して(かわって)ないな
「すまないがそれは出来ないな、勝つて約束しちゃったからな」
「あっそ、それならせめて、楽に負かしてやるよ!」
「レディー、GO‼」
その審判の掛け声と同時に観客が沸き上がった、その少し後にエルピスが火球をいくつか放つ
手加減してきてるなあいつ、とりあえず水で迎撃して、いくつか石を放つ
相手が打ってきた属性に強い魔法で相殺、そして適当な魔法で迎撃、それを互いに何回か続ける
「しっかり成長してるね、じゃあこれはどうかな?」
そういってクラス妖怪級の炎魔法、火の鳥を放ってきた
すごいな、そこら辺のやつらが打ってるのとは全く違う、綺麗な火の鳥だ、まあ壊させてもらうけどな
それならこちらは風属性の、風の鳥で対抗して打ち消す
「なぜ、なぜお前がそのクラスの魔法を使える!しかも風属性の魔法を!」
「魔力をコントロールして出しただけだよ」
魔法を使う方法は主に二つある、一つは前もって魔力を流す形、流れ、量を決める方法、定番型、これだと前もって決めてるからコントロールの必要がほとんどなく、手間を省いて使える
ただ、定番型は前もって準備した物を使う、この前もって準備したものというのは、自分で準備、何てことは基本できない、大体は研究者が何年、何十年かけて作った魔法を使うことになる、だから自分のステータスに完璧にあったものを使うことがなかなかできない
だから俺みたいに適正が低い人だと使えない魔法が多かったりする
だから俺はもう一つの方法、流す形、流れ、量を使うその時に決める方法、汎用型を使っている、これだとコントロールを正確にやらなきゃいけない、だから発動が遅くなる者が多い上、ミスして魔法を放てないこともある、だから基本使われない
だが俺は、魔力のコントロール能力、発射速度がずば抜けて高い、つまり汎用型に適正がある
つまりさっき放ったあれは即席で作った魔法ってことだ
「ならこれならどうだ」
そういってクラス世界樹級の雷魔法、地を駆ける稲妻を放つ
トラのように地を駆ける稲妻、早いねえ、まあとりあえず
そじゃあこっちも雷属性、地を駆ける稲妻で対抗させてもらおうといっても定番型の真似をしてるだけだけど
その後もエルピスが放って来た魔法を全て同じ魔法の相殺して防いだ
「もういい、これで本当の最後だ‼」
そういって出してきたのは、クラス神級の炎魔法、炎龍
細長く綺麗な炎龍が出てきた
とうとう本気を出したか、それならこちらも、とっておきを出そう、俺の知っている魔法のトップ
九属性混合魔法、九色龍
炎、水、草、雷、土、風、毒、闇、光の全属性を同時に使った魔法、属性の割合、魔力の量全て均等じゃなければ放てない、難しさ、強さどちらもトップレベルの魔法だ
「どうする?まだやるか?」
「黙れーーーーー!!!!」
「それならこちらも、全力で行こう!!」
顔がぐちゃぐちゃになるほどむかついているエルピスと余裕そうに笑うヘマ、表情も強さも双子とは思えないほど違っていた
二つの龍がぶつかり、フィールドを埋める規模の爆発が起こり、爆破の中ヘマの放った九色龍がエルピスへぶつかる
砂埃が晴れるのを待つまでもなく結果を皆が察していた、元弟エルピスがフィールドの端まで飛ばされ気絶、そして俺はフィールド真ん中で立っていることを
そう、俺の勝ちだ