6.手術、怖いよね-自分の……いや、カズの為だもん-
全44話予定です
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レイリアは着ていたもの脱がしてもらい、裸にされてから手術着に着替えると手術台の上に乗せられた。
「これから、全身麻酔をかけます。大尉からどの程度聞いたかは分かりませんが、大まかに言えば腕と首の手術です」
「はい」
素直に答える。
――手術、怖いよね。でも自分の……いや、カズの為だもん。
「それでは始めます」
チクリと痛みが走ったあと少ししてフラフラになっていく。
「レイリアさん、聞こえ……」
そのあとは記憶にない。
次に目が覚めた時は相変わらずうつぶせの状態で寝かされていた。
「終わった、の?」
レイリアが声を発すると、
「目が覚めましたね。発声が出来ているという事は、頭部の方は問題ないみたいですね。一つずつやって行きましょう」
付き添いの看護師にそう言われて、助けを借りながらまずは手術台に腰掛ける。両腕はまだくっついていない。
「あれ? 腕は」
そう言うレイリアに、
「一つずつ、と言いましたよ」
看護師にたしなめられてしまう。
――そうだよね、今さっき言われたばっかりなのに。
「すみません」
思わず謝る。
そんなレイリアが腕の付け根を見ると、焦げた部分はきれいに切除されていた。そして厚さ一センチかそこらの、レイリアの腕と同じ色をしたプレートが傷口を覆っている。
「傷口に気が付きましたね。そのプレートは腕をくっつける為に必要なのです。中心部に神経系が集中して出ています。そこにこの腕をくっつけるんです」
そう言ってレイリアに見せられたもの、それは義手、と言われなければ分からないほどのものだ。
事実、看護師はその義手をぷにぷにしながら、
「今の時代、人工皮膚の模写はかなりのレベルにあるのです。そんな技術が進歩した今でも、広範囲の皮膚移植は出来ないのですが……」
――ん? この看護師さん、何か思う事でもあるの?
そうレイリアに思わせるほどには付き添いの看護師は複雑な表情をしている。それは、まるで[とても悔しそう]とレイリアに思わせる、そんな表情だ。
だが、それも直ぐに元に戻り、
「ではくっつけます」
そう言って左腕を取り付ける。痛みは感じない。こういう義手、しかも神経が通っている義手を接続する時は[神経を逆なでされるような]痛みが出るはずである。
「痛みは、ありませんね。では」
そう言ってもう片方の腕を取り付けるが、やはり痛みはない。
最後に少しだけ露出しているスライドスイッチのようなものを横に動かす。
――あ、動く。
スライドした途端に皮膚感覚が脳に伝わる。
「この義手はレイドライバーの技術の一端が使われています。接続した時に痛みが出なかったのは、スイッチを付ける事で接続時の衝撃を抑えているんです。そして、スライドする事で神経系が繋がり」
そう言いながら看護師はレイリアの手を腕から指先まで撫でる。
「すごい、感覚がある!」
それ程に自然な感覚なのだ。
全44話予定です