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2話
あれから幾つもの月日が流れた。ショーウィンドウに映る少女の姿は昔と変わらず、少しばかり髪が伸びたものだと笑っていた。
いつもと変わらぬ日々に少々、退屈ではあったものの、何かを求めることもなくただ平穏に過ごしていた。
突如、誰かに手を掴まれ振り返ってみる。そこには少女より遥かに背の高い青年が立っていた。
「やっと会えたね」
瞳を輝かせながら手を握る青年を見上げる。爽やかな黒髪の青年はどこか見覚えのある顔立ちだった。
「約束通り、食べられに来ました」
その一言で、少女は彼がいつぞやの少年だと気付く。
少女は少し後退りし、顔をひきつらせる。
「ふん、逃げずに来るとはな…。良いだろう、その強さは私の役に立つ。名を教えなさい」
強がって見せたものの、少女は目の前に立ち塞がる少年にたじろぐ。
それでも青年はあの時と変わらない笑顔を向けた。
「理栖だよ」
「そうか。私の元に来い、理栖」
差し出された自分の小さな手を、彼はしっかりと握った。初めて感じる温もりに少々戸惑う。
ふん。こんな餓鬼、散々扱き使った上で食ってやる。
そう胸に誓ったはずだった。