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異世界傍観伝  作者: 譽任
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一章幕間 其之ニ 寵愛



その日もハビンガム王朝の都の一つであるシャリーブでは奴隷市場が賑わっていた。


南ガルバギアならばその小都市群やプルタニアと様々な場所から奴隷が集められる。略奪を逃れたは良いが、路頭に迷い自ら奴隷になる者も絶えない。その女もハビンガム国境付近での紛争に巻き込まれ、住み家を失った奴隷の一人であった。親と兄、弟達はすぐに殺され、美しかった姉は、自分のすぐそばで何度も犯された挙句、自ら壁に頭を激しく叩きつけて死んだ。自分だけが生き残れたのはその様子に怯えた暴漢達がその場から離れた隙に全力で逃げ出したからである。


だが結局、女も自ら奴隷に身を売った。美しかった姉とは違い、女の顔は丸く、鼻も団子のように丸い。お世辞にもけして美しいとは思えず、醜女よりであった。女もそれは自覚していたから娼婦と言う道は選ばず、奴隷として一生召使いとして働ければいいと考えながら狭い檻の中で主人を待っていた。


そして女はそれほど待たずして、とあるハビンガムの貴族に買われる事になった。その男はまだ若く、生気に溢れた若者で、服装はやや乱れているがその風貌は確かに貴族の面影があった。


男は女を連れて、すぐさま屋敷に戻る。そこには何十の召使いが主人の帰りを待つと言う豪華な宮殿であったのには女も驚いた。男は人払いを済ませると女を力強く抱き寄せ、激しく女の唇を奪った。女の口は男の舌で何度も犯され、その度に女は戸惑い、下を濡らす。こんな醜女にここまで性欲をむき出しにしてくる男に女は一目惚れした。


男は全身を使って女を愛撫する。時には激しく、時には優しく、まるで女の体の反応を確かめて満足するように女を抱きしめ、そしてまたしつこいぐらいに口づけをした。とうとう女の性感帯を発見するも、程よくそれを刺激させ、女は今まで味わった事の無いような絶頂を何度も迎える。だが女のそれはけして屈辱では無く、寧ろ幸せに満たされた顔であった。


最後に男も達するが、女の中で果てる事は一度も無かった。そこはやはり貴族と奴隷、そこで生まれた子の運命を思えば仕方ないのかもしれない。それよりも女はこの男に抱かれた事を嬉しく思っていた。


男に抱かれた後、女は他の召使と同様に宮殿で働き始めた。だが女は何をさせても容量が悪く、飯一つ運ぶ事さえも足がおぼつかない始末であった。その苦情を聞いた男はすぐに女を呼び寄せ、顔を自分の口元まで寄せるとこう言った。


「お前は俺のはけ口なのだから余計な事は一切しなくていい」と。


それから女は半ば側室のような待遇になった。男に抱かれる以外の時間は自由が許され、服も装飾も望むままに与えられた。男には正室はおろか他に側室も居なかったので女のみが男の寵愛を一身に受け、男と一生を共にする事を誓い、そして改めて男に深く感謝した。


一方男の方は、女の事をそれ程深く愛してなどいなかった。否、男は人を愛するなどと言った事にまるで興味がなかった。正室さえ取らないのだからそれは真なのだろう。男が女を買った理由は女に言ったよう、自らの性欲のはけ口としてのみの行動であった。美しく、そして気高い女など男にとっては面倒なだけで何の価値もなく、それよりも醜女で己に自信も無く、触ればそこに女の体の全てがこの手に届くような

従順な女を男は求めた。抱ける時に抱き、側で眠らせて暖代りにし、他愛のない話の後でまた情事に耽る。そんな楽な女を男は求めていたのだ。


男はその女以外に女を娶ろうとは一切考えてなかった。居心地の良い温もりをわざわざ変えることなど馬鹿馬鹿しいとさえ思っていた。


「なに、世継ぎならば兄者が勝手に用意するだろうさ」


男はそう言いながら、酒を飲み干すと隣にいた女にも同じように酒を飲ませた。そしてまた気の済むまで女を激しく抱き、女もまたそれを受け入れた。



その男の血は男の代で途絶えたと言う...。


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