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水無月蔵光の冒険譚  作者: 銀龍院 鈴星
第六章 絶対悪との対決
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第157話 ゴーレム暴れる

名前の割には…と思わないように。

第157話 ゴーレム暴れる

「さあ、()が息子ワイルドバンドよ!(われ)の命によりこのゴーレムに乗り、その者どもを殺せ!」

ガロヤスミカンダが国王の体に入った状態から命令をした。

すると、何故かワイルドバンドがそれに従ってしまったのだ。

ワイルドバンドは、操られたようにゆっくりと『天光神プルトニューダス』の方へ歩いて行き、機体の胸の部分の搭乗口から、それに搭乗する。


「えっ?どういうこと?」

蔵光が驚く。

「こ、これは『死霊(しりょう)言霊(ことだま)』や!気を付けえ!」

ゼリーが叫ぶ。

ヘルメスもガロヤスミカンダが全員でなく、個別に言葉で操っている事に驚く。

『死霊の言霊』は、普通の人間の場合は、その声を聞いた者の精神に作用し、術者のいいなりとなってしまう。

それは本来、その言葉を聞いた者全てが対象となるが、ガロヤスミカンダはワイルドバンドだけに『死霊の言霊』を使っていた。


ワイルドバンドは『天光神プルトニューダス』に搭乗した後、ゴーレムを起動し始めた。


「う、動き出したぞ!」

蔵光が叫ぶと同時くらいに、『天光神プルトニューダス』の頭部付近からレーザービームのような光の筋が放たれた。

そして、それは蔵光のいた方向に向けられていたが、蔵光は直ぐに反応し、それを躱す。

そして、レーザーの当たった場所の地面が焼かれて(えぐ、)れる。


「こいつは、名前のとおり光で攻撃するタイプやな!」

とゼリーはそう言いながらオルビアを体内の空間に避難させる。


「国王の命を受けた者だけしか、このゴーレムを動かせないとは考えたものだな!だが、このとおり我がその者達を操れば事は足りる!見よ!」

ガロヤスミカンダが操る国王の指し示す方向を見た。

「あっ!ゼルフィーナ姫!それに三従士!?」

ディノが驚く。

「誰や?」

ゼリーがディノに聞く。

「ワイルドバンド様の妹君と、魔装ゴーレムのパイロット達だ!」

ディノが答えるとヘルメスも驚きながら、その異様な様子に戸惑う。

「なんか、様子が変?もしかして、姫様達も操られているの?!」

もしかしなくても、操られていた。

四人もそれぞれ、ゆっくりと歩いてゴーレムに搭乗する。

生身の人間だ、全てヴェネシア王国の関係者であるため、うかつに傷付けたり出来ず、蔵光もされるがままの状態であった。

というのも、ガロヤスミカンダは亜空間の中に入り込み、中々出てこようとしないくせに、『死霊の言霊』を行使する時に、一瞬だけ姿を亜空間の外へ体の一部を出し、言霊の行使後はすぐに亜空間に戻るという『チキン作戦』を展開したため、流石の蔵光も、それを国王の体でやられてしまい全く手出しが出来ない状態となっていたのだ。


ただ、その間にも、その他のゴーレムからの攻撃はヘルメス、ザビエラ達にも開始されていた。

ただ、いくら格納庫が広いと言っても所詮は建物の中である。

彼ら巨大なゴーレムの動きは制限されていた。


「しかし、おかしいな?」

とゼリーにある疑問が出来る。


「ゴーレムが『聖霊力(せいれいちから)』を使うてるんやったら、ゴーレムの中で操っている人間は、ゴーレムの躯体の中に入った時点で死霊の言霊の効果が切れると思うんやがな…」

ヘルメスがゼリーの言葉を聞き、あることに気付く。

「確かに…えっ?ちょっと待って、ここのゴーレムって過去に高名な聖魔導士が聖霊王と契約し、ゴーレムに魔力と聖霊力を込めて造り上げたとか言ってなかった?魔力と聖霊力と言ったら…」

ゼリーも気付く。

「『聖神力』や!?…それって勇者の力やないか!?」

「そんな…邪悪の神の化身が勇者の力を使うなんて…」

「『聖神力』やったらヘルメスやザビエラの力も相殺されるで。それに…」

「でも、ヘルメス達の方が魔力値は高いから何とかなるか…あ、いや、ダメだ…」

蔵光が、途中までいいかけて止める。

そうなのだ、相手はヴェネシア王国の人間なのだ。

それも、ヘルメス達兄弟の国の王族達が乗っているから、いくら操られているからと言えどもうかつに攻撃は出来ない。


「ガロヤの奴、考えよったな!まんまとやりやがったで!」

とゼリーが言う。

その間にもゴーレムの攻撃は止まない。

氷や炎、風の攻撃が次々と襲ってくる。


蔵光やヘルメス達は魔力がゴーレム達よりかなり上であり、その分動く速度等も格段に速いため、やられることはないのだが、こちらから攻撃が出来ない。

こちらが攻撃すれば、蔵光なんかだと、一撃で終わってしまうし、それだと搭乗者の命も奪ってしまう可能性は大であるだろう。

なので攻撃は躱すか、弾く程度しか出来ないのだ。


次第に格納庫が崩れていく。

このままではヴェネシア城が根元から崩壊してしまう。

だが、外で戦闘は出来ない。

外には多くのヴェネシア国民が住んでいる。

一般人を巻き込むことは出来ない。

蔵光達はジリ貧状態であった。


「どうすれは、…」

みんながそう思っていた。

だが、ヘルメスは戦いながらも少しだけ引っ掛かっていた。


『でも、オルビアが大丈夫、ゴーレムは指一本動かせないって言ってたのって…どういうこと?』

オルビアはゼリーの体内空間で沈黙している。


「オルビア!あなた、大丈夫って言ってたわよね?これって…?」

ヘルメスはたまらずゼリーの体内にいるオルビアに尋ねる。

「大丈夫です。ちょっとズレましたけど、もうすぐ…」

「大丈夫って…ズレた?」

ヘルメスがオルビアの言葉に戸惑う。


だが、その時であった。


ゴーレム達の動きがおかしくなる。

全部のゴーレムが急に停止したのだ。


「と、止まった?!」

蔵光達も動きを止める。


「くそ、やはりここまでか…仕方がない…」

亜空間の中にいた、ガロヤスミカンダはそう言うと、亜空間の中に入ったまま、その空間の口を閉じ、消えてしまった。


「あっ!消えた!」

デビッドが叫ぶ。

格納庫の横にあった調整室に逃げ込んでいたデビッドとディノだったが、ゴーレムが急停止したため、部屋の外へ出てきていた。

調整室はゴーレムの管理をする担当者達の待機室であるが、ゴーレムが暴走したとき用の避難場所にもなっていて、かなりの耐久力があった。


「また、どこかに行ったな。」

蔵光が格納庫の天井を見上げる。

格納庫は頑強な造りをしているとはいえ、壁や床の石はえぐれたり割れたりと、かなりボロボロになっていた。


「これは…」

ワイルドバンドがゴーレムの中で正気に戻っていた。


「なるほど、聖神力がようやく効いてきたっちゅう訳やな。」

ゼリーがその様子を見て納得する。

「効いてきたって?」

蔵光がゼリーに聞く。

「おそらく、ガロヤは『死霊の言霊』を使うときに、王族らの体の表面に普通の魔力でコーティングしとったんやろな…それで聖神力の影響をしばらく受けんようにしてたんやと思うわ。それに『やはり』と言っていたから、多分こうなることは予想しとったんやろ。」

ゼリーが言うと、ようやく蔵光も理屈がわかったようで、

「あっ、そうか、魔力と聖神力は融合や干渉はしにくいのか!」

「多分な…聖霊力と魔力の融合が簡単に出来るんやったら、それこそ、そこら辺に人造勇者がいっぱい出来とるわ!」

以前、チャルカ村で蔵光が聖霊力と魔力を引っ付けて『水化月・無限斬+聖霊力version』を放っていたが、それは蔵光の魔力値があまりにも高いために起こったイレギュラーだと思ってもらいたい。103


「それで、ゴーレムの聖神力が王子達の魔力を取り込んで、かけられていた死霊の言霊、つまり邪悪の神の力を打ち消したと…?」

「そうやな。」

「なるほど…」

デビッド達もようやく理解したようだった。


少し解説するが、魔装ゴーレムの聖神力は聖霊王との契約とヴェネシア王国聖魔導士の力により作られたものであり、契約が出来なければ『聖神力』はゴーレムの躯体内に存在出来なかったのである。

なので、当時、聖霊王と契約したという聖魔導士はめっちゃスゲエ奴なのだ。


「何とかなったけど、まだ国王が奴に操られてたままだ。何とかしないと…」

と蔵光がザビエラに目を向ける。

ザビエラもそれに応える様に頷く。


そして、再び『聖槍デスフレア』を上に向けて掲げる。

だが、全く反応がなかった。


「どういうこと?」

ヘルメスが困惑したような表情になる。

「恐らく、亜空間におるか、魔界に戻っとるかのどちらかや。」

とゼリーが言う。

「そうか、こちらの世界にいないとデスフレアも反応しないのか。」

蔵光もすぐに理解する。

「そういうことや、まあ、それやったら一旦、こっちも休憩や、多分アイツもバゾニアルアジカンから色々聞いてたんとちゃうかな、ヴェレリアントの眷属とか勇者の誕生とか…また何か考えて来よるで。」

とゼリーが言うと、ヘルメスも頷き、

「そうだな、一旦、我々も体制を組み直そう。」

とリーダーとして皆に言う。


しかし、タイミングの悪いことに、格納庫にワイルドバンドの異母兄弟の次兄フォルガイムスと三男シャークライドが先程の音を聞き付けて現れたのだ。


「兄上!これは一体何事ですか!!?こんなことをして只ではすみませんよ!」

とフォルガイムスが言うと、シャークライドも同じように、

「そうです、父上が大変なときに、こんな騒ぎを起こして、私達はもとより、家臣や国民も許してはくれませんよ!」

二人は、自分の兄が国を守るために戦っているにも関わらず、こんな騒ぎを起こした兄を王位継承戦から蹴落とす事しか考えていなかった。


「いい加減にしてください!」

ヘルメスだった。

「何だ、お前は?!」

シャークライドが怪訝な顔をして、ヘルメスを見る。

貴殿方(あなたがた)は、自分達の兄上様がこの国を守るために戦っているのに、まだそんな事を言っているのですか!?」

「はあ?何だこいつは?」

フォルガイムスもヘルメスの言っている事が全く理解できていないのか、急に話に割り込んできた変な女としか見ていなかった。


「ふん、とりあえず、兄上、貴方はこの格納庫で乱心し、ゴーレムを使って騒動を起こしてこのヴェネシア王国に危害を加えようとした罪で一時拘束させてもらいます。」

「なっ?!」

フォルガイムスのこの言葉にヘルメスも驚くが、彼らの後ろに控えていた兵士達がワイルドバンドや蔵光達を取り囲み、全員を拘束する。


「全員を牢獄へ入れておけ!」

シャークライドの言葉で全員が引き立てられる。


主人公の蔵光が牢屋に入れられてしまった。

この物語はどうなっているだ?





ト「皆、捕まっちゃいましたよ!」

ヴ「まあ、蔵光さんがいれば大丈夫でしょうけど…」

マ「これは、絶対やりますね。」

ト「やるな。」(・д・)ノ

やるな……って、おい!そんなこと言って、違って…まあ、やるね、で、何を?


まあ、それは次回を見て下さいね。


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