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水無月蔵光の冒険譚  作者: 銀龍院 鈴星
第六章 絶対悪との対決
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第156話 魔装ゴーレム

巨大ロボット、いや、巨大ゴーレム降臨!

第156話 魔装ゴーレム

ヴェネシア城は、遥か数十km四方を見渡すことが出来るほどの高さを誇る巨大な城である。

小高い丘から基礎を造り、何年もかけて作られた城壁と更に拡げられた城下町によって国と城は発展していった。

城は主となる塔の他にいくつもの塔を持ち、それを壁で連結させた複雑な構造により、外敵からの侵入を困難にしていた。

さらに城を守る堅固な城壁と、城下の街を守るため、街の周囲に巡らされた長く巨大な外壁は難攻不落の城を印象付ける。

また、城を守るための兵器が凄かった。

城の外壁に開けられた魔導砲の発射用の壁穴が壁に沿ってぐるりと開いている。

この魔導砲は通常の鉄の砲弾に魔力を付与し、破壊力、殺傷力を飛躍的に向上させたものを使用している。

また、魔導戦車と呼ばれるものや、魔導戦闘機と呼ばれる飛行挺も完備されていた。

そして、一番の強力兵器は魔装ゴーレムである。

聖霊王との契約により作られた5体のゴーレムは、一体が15~30mの大きさを誇り、魔力を持つ者が乗り込んで操作する巨大ロボのようなタイプのゴーレムと思ってもらえばいいだろう。

操作といっても魔力で簡単な命令を下せば、思い通りに動かすことができるという優れものだ。

ただ、これは国王の承認が無ければ起動すらしないという特徴があり、例え敵に奪われたとしても、国王の許可が無ければ動かない仕組みとなっていた。


ディノがワイルドバンドの部屋から出てきた。


「入って下さい。」

当然ながら蔵光の身分を知っているため、ジパング王国の公爵クラスの家柄の息子である蔵光にはかなり丁寧な応対をしている。


簡単に説明すれば、水無月一族はジパング王国では、王族の家系にあたる『公爵(デューク)』という家柄になる。

公爵とは、王族に連なる者、または、それに匹敵する程の大貴族であり、身分で言えば『大公(グランドデューク)』の次に偉い家系だ。

ヘルメスの父バジルスが『辺境伯(マーキス )』であるのに対し、地位的に水無月家は二階級も上のクラスの家系になる。

まあ、正確に言えば蔵光はその息子なので、その間の階級である『公爵(プリンス)』に落ち着くことになるだろう。

ちなみにエイダー伯爵は『伯爵(アール)』なので、バジルスのひとつ下の階級となる。


まあ、そんなことは置いておいて、話を元に戻そう。


蔵光達がワイルドバンドの部屋に通された。


「よくぞ参られた、水無月殿。」

とワイルドバンドが蔵光に頭を下げる。

「王子!」

デビッドとディノが驚く。

国王の息子が格下の者に頭を下げるなど、本来あってはならないことだからだ。

だが、ワイルドバンドは王家の者である。

国家を統治する者にとって『水無月』の名前は絶大である。

下手な事をすれば国が潰される程の力を持っている事を代々伝えられてきている。

実際にジパング王国に攻め入って滅亡した国もあるくらいだ。108

だが、味方に付ければこれ程心強いものはない。

それが、今、国の危機に際して、自分の目の前に現れたとなれば頭を下げたくもなるというものだ。

そんな事情を知らないデビッドやディノはワイルドバンドの行為にあたふたしていた。


「まあ、こちらにお座り下さい。さあ、ほかの皆さんも。」

そう言ってワイルドバンドは部屋の中にあるソファーに案内する。

ここは王子専用の応接室といったところか、室内は流石、王子の部屋である、壁、床、天井など、至るところに豪華な造りが施されていた。

壁や床には最高級の大理石が使用され、綺麗な絵が描かれた天井からはきらびやかな魔石灯のシャンデリアが下がっている。

柱にも細かい細工がしてあり、高級感が溢れていて、室内の調度品も一目で高価なものだとわかる。

まあ、当然と言えば当然なのだが…


全員がソファーに座ると話が始められた。


「大体の話は、デビッドさんから聞きました。王様を探していると…」

と蔵光がワイルドバンドに尋ねた。

「ええ、先程そちらの話をデビッドから伺いました。まさかあの声の主が邪悪の神の声であり、父が化身の受け皿に選ばれていたとは…」

とワイルドバンドは両手で頭を抱え下を向く。


「私達は国王がこのお城の中におられることを突き止めやって来ました。」

とヘルメスが伝えると、

「なんと?!それは本当ですか?!」

とワイルドバンドは驚いた顔をして顔を上げる。


「本当です、あの魔装ゴーレムが置かれている場所ではないかと思われるのです。」

とデビッドが説明した。

「なんと、ゴーレムの…?」

「はい、恐らく王の体を奪ったガロヤスミカンダが魔装ゴーレムの力を奪おうとしたのだと思いますが、どうも上手く奪えていない様子で、未だに安置場所にいるようです。」

ディノも説明する。

「わかった、では、下へ確認に行こう。」

ワイルドバンドはそう言うと、すぐに立ちあがり、壁に掛けられている剣を手にする。


こうして、全員が、『格納庫』と呼ばれる城の地下にあるゴーレムの安置場所に向かった。


『格納庫』は、城の地下にあるとは言っても、実際は、外へ出動する事もあるため、ゴーレムが出入りするための地下通路は広く設計されており、外部へはその地下通路を通り、巨大な鋼鉄の門を開いて飛び出せるようになっていた。


『格納庫』は高さが40m以上の巨大なドーム状の部屋になっていて、石壁に沿って作られた階段を降りて下まで行く。

地下であるが採光の魔石が機能しているのか、かなり明るい。


「おお、凄い。」

ザビエラがそこに並べられた巨大なゴーレムを見て声をあげる。

魔族の文化にはないものだ。


魔装ゴーレムは何百年も前に作られたと言うのに、まるで昨日作ったと言っても信じられる程、美しいものであった。

土や石で出来た泥人形の様なモノではない。

まるで、アニメに出てくる様な巨大なロボットだ。

機体内に取り付けられた大型の魔石を動力として、可動し、その機体毎に特徴のある装備がしてある。


「気配は…無いなあ…」

蔵光が生命体感知をするが、ドーム内には何も感じられなかった。

「恐れをなして逃げ出したとか?」

ヘルメスが言うとゼリーが、

「ワイらがこの城に来た事を知らんのに逃げ出さへんやろ?」

「うーん確かに。じゃあどこへ?」

「まあ、このゴーレムはそれぞれ魔法使いか魔力を持っている者が搭乗しないと起動せんタイプやから、操縦士(パイロット)を探しに行ったんとちゃうか?」

とゼリーが言うと、ディノが、

「操縦士は、国王の指名を受けて決定した者しか動かすことが出来ないようになっています。」

「ふーん、そうなんや。」

時々思うがゼリーのしゃべりは従魔というか魔物にしてはあまりにも敬語が無さすぎて、偉い人にも関係なくタメ口を叩いているので、そこのとこどうなのと言いたくなる。


「その、操縦士とは、私と…そして、妹ですね。」

とワイルドバンドが言う。


「なるほど、魔力を持つ王家の者で操縦士を…他の兄弟は魔力を持たないため指名されていないと言う訳ですか…ではあとの3体は一体誰が?」

と蔵光が尋ねるとワイルドバンドは、

「他の機体は国王が自分の部下として信任している者しか扱えない様になっています。」

と答えた。

「なるほど、それならば勝手にこれを動かすことは出来ませんね。」

ザビエラが納得する。

「丁度、いい機会です。魔装ゴーレムを紹介しましょう。」

とワイルドバンドが蔵光達に言うとゴーレムの方へ歩き始める。


「まず、最初は『火焔の王アルカディア』ですが、これは名前の通り『火炎』を得意とするゴーレムで、人間が保有する最大魔力の50倍以上の出力を持っています。また、一機を除き、どの機体も共通して、魔鉱石から抽出される魔鉄鋼を躯体に使用しています。」

と紹介されたのは鮮やかな紅蓮色をしたゴーレムで背中部分には巨大な剣が装備されていた。


「次は『絶対零度カメリオーラ』と言われるゴーレムですが、これは、氷魔法と凍結魔法を得意とするゴーレムで、両腕の先端に開けられている5つの穴から氷の槍を飛ばします。また、胸の辺りにある金属板から超高速の凍結魔法が発せられ、あらゆるものを瞬時に凍らせます。」

そう紹介されたのは、水色の機体のゴーレムであり、説明のとおり、円筒状の両腕の先端部分に、丸い穴が5つ開けられていた。

また、胸の部分には小さな五角形の金属板がいくつか組み合わされたようなプレートが取り付けられていた。


「次の『ミスリルの魔鋼騎士ラダマンティス』については、他のゴーレムと違い、躯体の部分にはミスリルと魔鉄鋼を使用したゴーレムで、左手にはミスリルと魔鉄鋼の合金で造られた盾を、右手は幻の金属ヘストロンを使用した槍を手に持っています。」

と説明する。

確かにラダマンティスのボディはミスリル特有の鈍い青色に虹色の光彩が浮き出るという特徴的な表面をしていて、加えて、かなりの硬質(かた)いボディをしていた。

「『真空の風神グリフキング』は風の聖霊王の加護を持ち、その風の刃は無数の真空波を起こし、魔力を帯びたその風は鋼鉄をも引き裂くと言われております。そして、その躯体の移動速度は、これまで作られてきたゴーレムの中でも最速を誇ります。」

と説明されたゴーレムは濃い緑の体に同色の巨大な翼を持つ機体であった。


「そして、最後の魔装ゴーレムである、『天光神プルトニューダス』は全てのゴーレムの能力を上回る機能を有し、その最大の武器は…」

とワイルドバンドが説明していた、その時であった。

突然ドームの床に亜空間の出入口が現れる。


そして、そこからヴェネシア王国の国王ウィルドネス・クライス・ヴェネデシアンが出現する。

「父上!」

ワイルドバンドが叫ぶ。

「フハハハハハ!よくぞ現れた!」

ウィルドネスの体に乗り移っているガロヤスミカンダの声が格納庫のドーム内に響き渡る。

流石の蔵光も、国王の体ごとガロヤスミカンダを退治することは出来ない。


そして、更にこの後、蔵光達の目の前でとんでもない事が起こるのであった。







ト「ヴェネシア王国はこんなとんでもない兵器を所持していたのか!?」

マ「王国が、国を維持するためにはある程度の国力が必要だからなあ。」

ト「でも、スゴすぎないか?下手をしたらコレ魔族より強いぞ?よく攻めてこないな?」

ヴ「人間も負の魔素の関係で魔族の住む『魔の大森林地帯』へは攻め込めないし…」

ハイハイ、そこー!また、核心を突く話をしないで下さい!それは本編で!

ゼ「ちょっとくらいエエやん、減るもんやないし。」

う、久しぶりの登場やないか、どないしてん?

ゼ「本編の出番が少ないからな、スピンオフも終わったし、ワイの出番が減ったからな!」

そういうことか!それで今までおとなしかったのか!

ゼ「そういうことや、また頼むで。」

(* ̄∇ ̄*)


ではでは、また、次回をよろしく。

(´・ω・`)/~~

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