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水無月蔵光の冒険譚  作者: 銀龍院 鈴星
第六章 絶対悪との対決
136/164

第136話 サウザンドラの伝説【後編】

伝説後半です。

第136話 サウザンドラの伝説【後編】

ノワイヤの街に入ると七つ首のヒドラは炎の息で、街を一瞬にして炎の海にした。


燃え盛る家屋の中を、サウザンドラが駆け抜ける。

もう少しでヒドラにたどり着こうとしたその瞬間であった。

サウザンドラの前に、凶悪な姿をした『悪魔落ち』と呼ばれる怪物が立ちはだかる。


魔族が濃い負の魔素を取り込み、その結果、『魔界』に送られ異形の姿に変化した者達だった。

普通の魔族の十倍の力はある。

だが、聖剣を手にした勇者サウザンドラには、どの悪魔落ちも敵わなかった。

物凄い速度で切り裂かれていく。

瞬きする間に全ての者を倒してしまった。


そして、七つ首のヒドラの前に辿り着く。

炎の息や氷の息でサウザンドラを攻撃するが、超人的な力を持ったサウザンドラにはそんな攻撃はスローモーションでしかなかった。


だが、七つ首のヒドラの恐ろしいところはそんなものではない。


怖いのは『呪いの声』と『石化の瞳』である。


とうとう、ヒドラは六つ目の首と七つ目の首を使い始めた。

しかし、サウザンドラにはそんな攻撃は効かなかった。

それは、勇者の力の根源である『聖神力』の力によるものであった。

彼女は、それらヒドラの攻撃を聖剣の力で跳ね返しながら最後には、ヒドラの首の全てを跳ね落としてしまう。


再び、ヴェネシア王国に平和が訪れたと思われたが、違っていた。

ヒドラは『悪魔落ち』の魔族の者達と同じく、『絶対悪』の手先であった。

ヒドラを倒されたことを知った『絶対悪』はさらなる軍勢をマーリックに送り込んできた。

魔界から送られてくる悪魔落ちは日毎に増えてきた。

だが、『ヴェネシアに勇者(あらわ)る』のニュースは近隣諸国に知れ渡った。

彼女は、自分をサウザンドラ・カース・ヴェレリアントと名乗り剣を振るった。

それは、アズマエラの意思を継ぐ者として他の者に知らしめるためと、心は常にアズマエラと一緒であるという気持ちの現れであった。

そして、彼女の戦は連戦連勝、彼女の前に立ちはだかる悪魔落ち達は為すすべもなく全て彼女の剣の餌食となっていた。

やがて、このサウザンドラには『平和を導く者』として、彼女に付き従うものが出てき始めていた。


それは大きな波となり、うねりとなって、その後、七日七晩に渡り、悪魔界の者達とサウザンドラ達による凄絶な戦いが繰り広げられた。

その中に『ミナヅキ』と呼ばれる強戦士がいたことはあまり知られていない。


この戦いは、ヴェネシア王国の周辺諸国にも波及し、西の大陸に拡がった。

そして、最後には『絶対悪』が倒され、本当の平和が訪れた。


しかし、勇者サウザンドラはヴェネシア王国に捕まってしまう。

彼女の罪状は貴族の名『ヴェレリアント』を(かた)ったことによるものであった。

結婚の届け出をしてもいないため、ヴェネシア王国の貴族であるヴェレリアント家の名前を勝手に名乗ってしまったサウザンドラには、弁解の余地はなかった。

そして、最後にはヴェネシアの南部にあるギルレア洞窟というところに幽閉されてしまうこととなる。


それは、彼女の勇者としての人気が当時のヴェネシア王国の根幹を揺るがすほどのものであり、彼女に脅威を感じた王国が、適当に理由をつけてやむ無く拘束しただけのものであって、本当のところは、ヴェネシア王国が王国としてメンツを保つためという理由と、身柄を拘束することによりサウザンドラと、彼女に付き従う者達とを切り離し、彼女の勢力を削ぎ落とそうと画策したためでもあった。

だが、もし、これでサウザンドラの命を奪おうとでもしていれば、それこそヴェネシア王国内に内乱が起きていたであろうと言われる程の人気であったのだ。

したがって、王国は勇者サウザンドラの命をどうこうするつもりもなく、逆にサウザンドラを拘束して王国の傘下に入らせるためであったのでは、とも噂されていた。


しかし、事態はとんでもない方向に急転する。

それは、彼女を拘束、幽閉した後、すぐにヴェネシア王国がサウザンドラの周辺調査をした結果、彼女には同国の貴族、アズマエラ・カース・ヴェレリアントとの間に子供ができていたことが判明したのだ。

彼女には、正規の結婚の届け出はしてはいないものの、れっきとした貴族との間にできた子供がいたのだった。

いくら、王国でも、理由も無しに自分達の王国内の貴族の身内に手を出したら、只では済まない。

王国がサウザンドラを拘束した理由が『貴族の名前を騙った』と言うものであるならば、サウザンドラがヴェレリアントの名前を出したことが嘘ではなかったことになる。

それであれば、ちゃんとした調査の元、身柄を拘束すればいいだけの話であり、不十分な調査の結果、あらぬ疑いをかけて、サウザンドラの身柄を拘束してしまった王国に非があるのは明らかであった。

ヴェレリアント家は支配地を余り持ってはいなかったが、当主アズマエラも伯爵の階級に陞爵し、有力な貴族としての仲間入りは果たしていた。

元々ヴェレリアントの家柄は、小さくはあったが当時のヴェネシア王国でも、かなり古い名家であった。

なので、下手をしたら王国に反旗を翻し、内乱になることは必至であり、それどころか、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気者であるサウザンドラの夫となるアズマエラなら、民衆の気持ちも、そちらへ傾き、内乱等の事態になれば国家転覆などということになりかねないことは、火を見るより明らかであった。

それを知った王国は、アズマエラに知られる事を恐れ、手荒な真似どころか、ギルレア洞窟での幽閉をひた隠しにしようとした。

だが、当時、伯爵家の当主という地位を持ちながら戦地で片足を失い、その後、婚約解消という不遇から『療養』という理由で、王国を離れ、サウザンドラの住む村に住んでいたアズマエラが配下の者からサウザンドラ拘束の報を聞き、その子を連れてヴェネシア王国に急遽帰還することとなった。

そして、王国にその事をねじ込んだため、事態が急変する。

サウザンドラには、ヴェネシア王国の貴族アズマエラ・カース・ヴェレリアントとの間に子供がいたという事が、アズマエラの帰還で公になり、大衆の知るところとなった。

これにより、勇者サウザンドラを不当に拘束したと民衆が大騒ぎしだしたため、ヴェネシア王国は事態を収拾するため、大慌てでサウザンドラの身柄の拘束を終了させ、アズマエラに謝罪するという事態となった。

ただ、王国が一貴族に頭を下げたということは公に出来ないため、極秘裏に事が進められたのは言うまでもない。


こうしてサウザンドラは、程なくアズマエラの正式な妻として迎え入れられ、ヴェネシア王国に認められることとなった。

その後、サウザンドラはヴェレリアント家の正室として、幸せな一生を送ることとなる。


また、アズマエラに対しては、王国が謝罪の意味も込めて当代侯爵の地位を与えられ、辺境地であり、荒れた土地ではあったが、サウザンドラの故郷であった現在のヴェレリアント領を支配地として譲り渡した。

以後、アズマエラのヴェレリアント家は辺境伯として、広大な土地を統治する事となった。


こうして、ヴェレリアント家に平和が訪れたかに思われたが、実はそうではなかった。

サウザンドラは『絶対悪』を倒した後、『絶対神ラー』から神託を受けていた。

それは、彼女が持っていた不思議な力は、今後も彼女の子孫に現れる事があるという。

そして、それは今回と、同様に『絶対悪』が現世に現れる時であるということを教えられるのだった。

また、聖剣『ヴォルガナイト』はその物自体を指すものではなく、今後は覚醒した勇者に呼応するように『聖剣の意志』により復活するものであると教えられた。

そして、この事実は、『絶対悪』も知っていることであり、この世に『悪魔落ち』の魔族が増えてくれば要注意であるということを教えられるのだった。


そういった訳があったため、その後のヴェレリアント家には、本当の伝説が語り継がれていた。

また現れる『悪』に対抗するための盾となるために。


バジルスは、こうやって自分達ヴェレリアント家の当主となった者が代々伝えられてきた話をヘルメスに話したのだった。


「勇者サウザンドラが幸せな生活を送ったというのも本当だし、洞窟に幽閉されたという話も本当の事なのだ。長い年月の間に世間が伝えてきた話はバラバラとなり適当な話にまとまってしまったがな。ははは」

とバジルスは苦笑いをしながら話した。

「それが、本当の勇者サウザンドラの伝説だっのですね。」

ヘルメスは自分の先祖が勇者サウザンドラであることに多少驚きはあったが、バゾニアルアジカンから言われた『ヴェレリアントの眷属』という言葉を聞いていたため、もしやとは思っていたのだ。

そして、今回、父バジルスから聞かされた話で全ての話が繋がった気がした。


自分は、勇者になるために剣の道に進み、冒険者となり、蔵光達と出会ったのだと…


「では、今度は私の番ですね。」

と言うとヘルメスは自分達のクランズのメンバーの紹介をした。

蔵光とヴィスコ以外のメンバーの紹介をしたが、エイダーの時の空間魔法を使って行った。


バジルスもエイダーと同じく、腰が抜ける程の驚き様で、ギルガとザビエラが変化を解いたときは大変であった。

また、ゼリーの正体を聞いた時や、オルビアがメトナプトラの最長老の孫娘と知った時の驚き様もすごくて、ヴェネシア王国の貴族として平身低頭の状態であった。

オルビアから、

「誘拐された時は、ヘルメス率いるプラチナドラゴンズのメンバーにより救出され、非常に感謝しています。」

と言われると、バジルスは、

「全てはスプレイド家の大馬鹿者がやったことであります。非難はされても礼を言われるようなことはありません。」

と言い放った。

さすが、王国一の剣の達人だ。


「しかし、ヘルメス、お前のクランズのメンバーはとんでもない方達ばかりだな。」

とバジルスは呆れてしまっていた。


たが、バジルスが本当に驚くのは、この後のゼリーの話を聞いた時であった。




ヴ「サウザンドラ伝説すごいです。」

ト「ところで、なんか、今回お題が出るとか言ってませんでした?」

ふはははは!そのとおり、お題がやって来ました。

マ「で、お題とは一体?」

それは、『君達の中の伝説』を教えてもらいましょうか?

ヴトンマッソ「えっ?私達の中の伝説?」

そうそう、今までに聞いたことがある伝説でもいいし、自分自身の伝説でもいいんで、教えてください。

ヴ「私はやっぱりチョッコ・クリムかな。」

ト「私は、ザビエラ様ですかね。」

マ「うーん、私はプラチナドラゴンズですかね。」

ヴト「うわーやらしいー!それよいしょし過ぎ。」

マ「そんなことないです。今から伝説が作られるんですから。」

まあ、それを言われたら頑張るしかないですね。と言うことで、適当に頑張ります。

ヴトンマッソ「適当かい!」


と言うことで次回もよろしく。

(*>∇<)ノ

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