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水無月蔵光の冒険譚  作者: 銀龍院 鈴星
第五章 甦る正義の血脈
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第127話 怪物を追跡せよ!

ヒドラの追跡や、それに付随する作戦が蔵光や他のメンバーによって計画されます。


第127話 怪物を追跡せよ!

怪物ヒドラの出現により、ヴェレリアント領の街ジョリアが壊滅していた。


黒龍でないためか、水無月一族が動いた形跡はなかった。

蔵光としては、黒龍でなくとも人間に危害を加える魔物の存在は見逃すことはできない。

何としてでも探し出して討伐しなければ、いつ、また同じ様な被害が発生するかわからない。

何とか食い止めたいところだが、前回の被害以来、どこにも出現したという形跡や情報はなく、ヒドラの捜索は困難と思われた。


「とにかく、ヘルメスの実家の屋敷に行って、情報を集めよう。」

と蔵光は、マソパッドにも出ていない情報を求めてヘルメスの実家へ行くことを提案した。

「そうだな、まずは、地元の者達からの事情聴取や聞き取りだな。」

と誠三郎が言うと、ヘルメスも、

「そうですね、ここにいても、有力な情報は得られないと思いますし。」

とその提案に賛成した。


「あと、マソパッドで負の魔素の噴出状況の確認と、あと、日にちは経過しているけど、付近の森の中を捜索して、どこかにヒドラの形跡があればをそれを追跡していこう。」

と蔵光が言うと、ゼリーが、

(あるじ)ぃ、それって、全部ヘルメスが言うセリフとちゃうんか?」

「あっ!そうだね。ヘルメスがリーダーだからね。じゃヘルメス!」

と蔵光がヘルメスに作戦の実行指揮を促す。

「いや、私もそれで構わないと判断する!その作戦で行こう。」

「ありがとう。」

蔵光が礼を言う。

「では、メンバーの選出として、負の魔素の確認と回収はマソパッドが扱え、魔素に耐性のあるトンキとザビエラさん!あと、大きな『魔素口』であれば蔵光さんに報告して、後程封印を!」

とヘルメスが指揮を執る。

「わかった。」

「了解した。」

二人の魔族の者達が応える。


「ヒドラの形跡を発見、追跡は…」

と途中までヘルメスが言いかけると、オルビアに近付いて、

「『遡視(さくし)』が使えるオルビア」

と小さく耳打ちする。97

このオルビアの能力は蔵光とリーダーのヘルメスしか、今のところ知らない。

未来だけでなく、過去を(さかのぼ)って視ることが出来る特殊な能力である。

形跡の発見や追跡には持って来いの能力である。


「あと、オルビアと一緒に行ってもらうのはゼリーとギルガ!」

「どやさ!」

「わかった。」

これは、もし、ヒドラと遭遇しても、ゼリーであれば、直ぐ様オルビアを体内の空間に収納し、大体のブレス攻撃を無効化できるからであるのと、ギルガであればヒドラよりも上位種であるので大体の攻撃は回避出来るであろうと判断したからだ。


「蔵光さんとヴィスコは私と実家に来て下さい。蔵光さんにはお父様を紹介します。」

「わかった。」

「うん。」

蔵光とヴィスコも返事をする。


「あと、これは私の独断なのですが、誠三郎様、少しお願いが…」

ヘルメスは誠三郎に近付き頭を下げる。


「スプレイドの事か?」

誠三郎も直ぐにピンときたようである。

「ええ、これはあなた様にしか頼めないかと思いまして…」

「わかった、少し調べてこよう。それなら、ちょっとだけトンキにマソパッドで連絡を取らせてもらえないか?」

「えっと、何の連絡でしょうか?」

「スプレイド領にいる元私の部下に合流してスプレイド領入りをする。」

「あ、なるほど、わかりました。」

「あと、ヒダカを貸してもらえないか?」

「ヒダカさんですか?」

「ああ、あの速度と力は使える。力を上手く使いこなせれば最強の『忍』になれる素質は十分にある。」

と誠三郎が言うと、隣で聞いていたヒダカが、

「『忍』というものがどういったものかは知らんが、私の能力が必要ならば使ってくれ。」

ヒダカは、プラチナドラゴンズの宿願を知ってからは、何とかこのクランズで功績を挙げたいと思っていた。

だが、この任務はそのヒダカの思いとは真逆の任務である。

「ヒダカ、『忍』とは主君に仕え、人知れず、影の中で命を賭けてその使命を果たす者達の事を言う。『(こころ)』の上に『(やいば)』を置きて、いつ、どこで、虫けらの様に命尽きるとも、誰も恨まず、誰も憎まず、後悔もしない、そういう『(おとこ)』の生き様のような仕事だ。出来ないと言うのであれば、断って貰っても構わない。」

誠三郎はヒダカを試していた。

「影の中で命を賭けて…『心』の上に『刃』を置いて…『漢』の生き様…」

ヒダカの心の琴線にそれらの言葉が響く。

ヒダカはそれまで、一人で生きてきた。

どのような死に方をするかもわからなかった。

ただ、漠然と、一生を過ごして、生を終える。

そんな自分を想像していた。


影に生きて影に散る。

人知れず任務をこなし、野良犬の様に惨めに死ぬことも辞さない。

誇り高き死を望んでいた自分とは真逆の死に様だ。

だが、まさか、その様な者達が実際に存在し、世界を裏から支えている。

そんな仕事があるとは思っても見なかった。

自分の中にある熱い何かが弾けた。


「誠三郎!ぜひ、やらせてくれ!」

ヒダカに迷いは無かった。

「やるのであれば、今後、ヒダカは私の配下に入ることになる。それで納得するのであれば、私の事を『お(かしら)』と呼ぶ様に。」

「わ、わかった、お、お頭!」

「あ、あと、ヒダカは私の部下になるから、私には普段から敬語で喋るように。」

「な、何でだ?!」

さすがにプライドが高いヒダカに、人間に敬語を使えというのは酷だったかと思われたが、誠三郎の『忍』理論がヒダカを(ひざまず)かせた。

「『忍』とは、忍び難きを忍び、耐え難きを耐える事から始まる。これから潜入するスプレイド領の中でも目立たないようにするためにも、様々な人間に変装もしなければならない。そんな時に、身分に見合ったしゃべり方が出来なくては一流の『忍』とは言えない。」

「な!なるほど、それは最もなことだ、あ、いや、ことで、ん?ことですな。」

「あははは、まずは、少しずつ慣れていこうか。」

「わ、わかっ、わかりました。」

ということでヒダカが『忍』の修行に入ることになった。


「あのお、私はどうすれば?」

マッソルがどうすればいいかオロオロとしている。

「あ、忘れてた。」

「えー!ひどすぎるよ姉御!」

「ハハハハ、冗談だよ、マッソルにはちょっと用事を頼みたいんだけど?」

「ほっ、なんだ、私にも仕事があるんじゃないですか。」

とマッソルは胸を撫で下ろす。


マッソルにはとりあえず、ヘルメスと蔵光と一緒にヴェレリアントの屋敷に一緒に向かいハッサンと接触させることとした。

ハッサンとマッソルは既に、メトナプトラにいるときに一緒に行動していたので、顔もわかっていて、気心も知れているので、今後のヴェレリアント領内での行動をしやすくするために、ハッサンにも声をかける事にしたのだ。


とりあえず、魔導バスの運転は運転手ゴーレムに任せて、メンバーの皆はバスを降りて、それぞれの任務のために散らばって行った。


ヘルメスが、蔵光に礼を言う。

「この前も言ったんだけど、実力的に見ても、このクランズのリーダーは蔵光さんなのに、私なんかが、リーダーやらせてもらって本当にいいのかなとか、ちょっと悪いなって思ってしまって…」88

「そんなこと気にしなくてもいいよ!本当にヘルメスがリーダーで助かっているんだから。」

と蔵光が言う。

「そうだよ、ヘルメスは皆から選ばれてリーダーをしているんだから、もう少し自信を持って頑張って欲しいな。それに現在は、リーダーになった最初の時と違って、魔力値がもう普通の人間のレベルを遥かに越えた存在になっているんだし、リーダーとしても申し分無いくらいだと思うよ、だからもっと自信を持って、堂々とした態度で過ごして欲しいくらいよ。」

とヴィスコも普段からヘルメスに対して思っていることを伝える。


「二人ともありがとう。」

ヘルメスは二人に礼を言う。

魔導バスは、ヴェレリアント領の森の中を走っていく。

だが、ジョリアの街を出て、サリドナへ向かう道も相変わらず、管理が行き届いておらず、雑草も延び放題で、前に進むことを拒む。


「でも、これだけ荒れていれば、誰かが道を整備していてもおかしくはないはずなのに、何故手付かずなのかな?サリドナからユブノ砦港に行く人もいるはずなのに…」

とヴィスコが疑問を呈した。


すると、そこに、タイミング良くトンキから『水蓮花 通信+位置探査version』で連絡が入る。

これは、ヨーグにて、プラチナドラゴンズを結成したときに活躍した物であり、ゼリーの通信魔法のひとつで、ゼリーの体の一部を少し大きめのコイン大に切り離して、皮膜の様に薄く引き伸ばしたものを耳などに張り付けて使用する物で、遠隔地同士との会話などが出来る通信魔法とそれぞれの位置が分かるGPSの様な魔法が付与されたという代物だ。


「ヴィスコ、そのバスの運転席には、エージさんが取り付けた『据え付け型マソパッド』の端末が付いているので、もしジパングルを使いたい時は、それも使えるぞ。」

とトンキが説明する。

『水蓮花』は本人が話を聞かれたくない状況にある場合とか、個別間において話をする場合、本人が通信を遮断している場合以外は24時間フルタイム稼働しているので、恐らく、さっきの話を聞いていたのであろう。


「わかった、ありがとう、確認してみる。」

とヴィスコは応えた。


ここで少し超高機動型魔導バス『プラチナスカイドラグナー』の仕様を説明するが、バスの運転席は前部の右側にあり、左側には助手席が設けられていた。

その助手席に『据え付け型マソパッド』が取り付けてあった。

ちなみに、バスの車体の左側面の真ん中辺りに出入口扉があるのだが、そこから車内に入ると、玄関のたたきのようなスペースがあり、正面は壁のようになっていて、そこから一旦、左右にそれぞれ延びた階段を上がって行かなければならないような仕組みになっている。

階段を左に上がると運転席の方へ行けるようになっていて、右に上がると普通の観光バスの様な席が設けられている場所に出る。

なので、車内のパッと見は、観光バスなのだが、後部座席の途中から拡張された空間が広がっているという訳なのだ。


ヴィスコは先程の疑問について調べることとした。

マ「ふー危ない危ない、姉御に忘れられるところだったよ。」

ト「いや、ああ見えて姉御は色々考えているからな。」

マ「確かに、それは言える。あれは、まだ、トンキが仲間になって…」

ちょっとストーップ!それって、何か面白そうなエピソードがありそうなんで…その話の続きをする場合は本編でしましょう。

マ「そうっすか。わかりました。」

ト「ですよね。まあ、姉御のエピソードは結構ありますからね。また、話しましょう。」

それで、お願いします。


それでは次回もよろしく!(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪

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