30 高垣 徹 報告メモ
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高垣徹です。警視総監の息子で認識いただいていると思います。
ランドセル事件で莉奈と出会って、父に聞いたところ、安寿財閥のご令嬢だとわかりびっくりしました。
あれ以来、僕は筋トレ、ランニングを欠かさずやっています。あんなか弱い女の子に助けてもらうだけの男ではだめだと思ったからです。
やはり、毎日只トレーニングするだけでは、辛いので、莉奈の家周辺を走ることにしました。
それだと、偶然会えることもあるだろうし、励みになるので。
その日も夕方走っていると、怪しい男が家の周りにいました。
莉奈の家は塀で囲まれており、頑張っても2階部分しかみえないのですが、その男はその2階部分をじっと見て、ため息を付いているのです。
僕がじっとみているとそれに気付き慌てて踵を返し帰っていきました。
次の日も同じ時間にそいつはそこにいました。
特に何かするという感じではなかったのですが、気になります。
しばらく、そんなことが時々あった、ある日。
コンビニに莉奈と中学生くらいの男子が入っていくのを見かけました。僕も飲み物が欲しかったので入りました。
僕は飲み物を手に莉奈達の会話を少し離れたところから聞き耳をたてていました。
どうやら、兄さんのようです。
そして、兄妹げんかが勃発しかけた時、なんと、その男が仲裁に入ったのです。
知り合いだったのか。しかも先生など言われてる。
結構、親し気に彼女達と話をしていました。
アレくらいの年齢の女の子は、年上の男の人に憧れを抱く事が多いと、姉で知っていたので、そうなのかと思うと胸がチクチクしました。
走り過ぎたか?それとも、不整脈?
莉奈に抱き着こうとしたので、咄嗟に身体が動いたけど、兄さんのほうが早かった。
その後、彼は眠ってしまい、彼の携帯を彼女が代わりに出たけど、生ゴミを持つような仕草で持っていたので、彼女にその気はないように思えた。安心した。
しかし、あんな先生で莉奈は本当に大丈夫なのか心配だ。
その夜、父に白鳥学園の事について聞いてみました。かなりガードが固く、変な教師など雇うことはないだろうと言っていました。
僕も編入させてほしいと言ったら、簡単に入れるとこじゃないと一笑された。
キャンドル制作講習の前夜、珍しく父が早く帰宅し一緒に夕食を取っていたら、けたたましく父の携帯が鳴り、父があわてて、仕事に戻っていきました。
なにやら、事件が起こったらしいが、翌日の新聞にも特に載っていなかった。大物がかかわっている事件ほど、闇に葬られることが多いのだ。
キャンドル制作講習は楽しかった。莉奈がいて、一緒に作れたので、張り切って作った。至高の一作だった。
「随分印象が変わられましたわね。」
と言われた。コンビニでは気が付いてくれなかったけど、覚えていなかったわけではなかったことに心浮かれた。
そして、出来上がった僕の作品を見て驚いていた。これなら、奴らに一矢むくいてやることが出来そうだ。ビビらせてやりたいのだ。
しかし、事件は起きてしまった。教室に突然入ってきた男、佐川幸助というらしいが、僕を父との交渉材料にしようとしたのだ。
莉奈がまた僕をかばってくれた。果敢に犯人に立ち向かう姿は、物凄くかっこよかった。
途中意味不明な事を言って火をつけようとしたので錯乱したのかと、ビビってちょびっと洩らしそうになったけど、持っているのはろうそくなのを思い出して踏みとどまった。やばかった。
横を見ると涙目で失禁している男の子がいた。気の毒に...。
でも、そんな彼女の渾身の説得に犯人が折れ、犯行を断念してくれて事無きを得ました。
助けに来てくれた父は、彼女にいたく感謝し、褒め称えました。
すると、彼女は何故か顔を真っ赤にし、鼻血を出して倒れてしまった。
本当はすごく怖いのを我慢していたのだろうと父は言っていた。すごい子だ。
しかし、僕の渾身の作品はげんこつと交換に取り上げられてしまった。ガッデム!
帰りに莉奈の家に送り届ける事になった。
車の中、僕の膝で眠る彼女は何故だか、「邪神に...。魔王に殺される。」など意味不明な事を言っていた。
彼女の様なお嬢様が、国民的RPGなどするはずがないし、彼女なりに色々悩みがあるのかもしれない。
彼女の家はすごかった。外装は知っていたけど、中までは見えなかったからだ。庭に噴水や、バラ園まである。
出迎えてくださった女優さんの様なお母さんは、意外と気さくで優しい人だった。
その後、帰ってきた父は僕の部屋重点に家宅捜索みたいなことを始めた。
「?何してるのですか?」
僕が訊ねるとシッと一指し指を立て口に当てる。
色々探し回った結果、僕のランドセルから、盗聴器が発見された。いつつけられたのか全く分からない。
それを見つけた父はしばらく考えていた。
そして、僕を向き直ると、頭をなでた。
「?」
「少し交渉してみるよ。怖い思いさせて悪かったな。」
意味が良く解らないが、父に頭を撫でられるのは凄く久しぶりだったので嬉しかった。




