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当て馬お嬢様は今日も吠える!  作者: にゃんこの肉球
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25 白鳥 高貴 奮闘記 


25   


 こんにちは!初めましての方は、初めまして。それなりの方は、それなりに。

白鳥財閥の御曹司白鳥高貴です。

親友の黒沢勇気とは幼稚園に入る前からの親友です。


なんせ親同士が仲がいいので、お腹にいる頃からランチパーティだの、ママさんパーティだのとお腹越しに出会っていた相手だからです。

安寿莉奈ともそれに近い間がらだったのですが、幼稚園に入る頃くらいから、彼女は俺達に近づかなくなりました。

小学生になる頃には完全無視されてた状態でした。


 それなのに、夏休み入ってすぐ位の頃、勇気の家に遊びにいったら、蓮さんの家に行っていると言われたので、近くの蓮さんちにいったら、蓮さんと莉奈の家に行っているとのこと。

「??」

まあ、もうすぐ帰ってくるとのことだったので、妹の愛華ちゃんとお茶して待っていた。


 蓮さん家は、元黒沢当主が代々住んでいた家で、旧家だけど広い。昔からある本物の日本庭園があり、純和風な作りの家だ。

ちなみに、勇気の家は現社長が建てた洋風の家である。

俺の家も、北欧風が好きな母によって、洋式仕様。唯一茶室が和風なだけだ。


はぁ、落ち着くなー。


愛華ちゃんは絵が凄く上手い。お父様の血筋かねー。俺よりうまいんじゃね?

「そうだ、愛華ちゃん、その絵仕上がったら俺にくれね?」

「うん、いいよ。」

愛華ちゃんは、顔を上げニッコリ笑った。


 ふー これで、面倒な宿題の一個がこなせる。


愛華ちゃんは集中力もすごいようで、真剣に描いているので邪魔をせず、俺は縁側の椅子に腰かけてくつろいだ。


「高貴兄様。出来たよ。あげる。」

愛華ちゃんの声で、気が付き自分が寝ていたことを知った。

「お、おお。ありがとう。」

「!」

その絵を見て俺は愕然とした。


日本庭園の絵がきれいに描けてあるのは凄くいいのだが、その横に俺が椅子に座って寝ている所までキレーに再現してくれていた...。誰が見ても俺だと分かる仕上げになってる。


 ダメじゃん。俺の提出する絵に、俺が寝てる絵なんて、物理的に無理じゃん!代筆バレバレじゃねーか!


「ハハハ。俺まで描いてくれたんだ。ありがとう!」

自分でも笑顔が引きつってるのがわかるが仕方ない。こんな純粋な子騙してズルしようとした罰だ。受け入れねばなるまい。 ガックリ。


 その後、勇気達が帰って来て、食事の時間になったので、お呼ばれすることになった。

夕食も美味かったが、その後出されたシュークリームが格別に美味かった。

何処のお店の物かと聞いたら莉奈んちのお母様が作ったらしい。

これは是非、うちのシェフにも取得してもらいたい。


是非、泊まって行きなさいと進めてもらえたので、家に電話して、お泊りさせてもらいました。


「それがさ、びっくりだよ!あの莉奈が全然違ってるんだ。」

勇気がベットの上に座りせきたてる様に言った。

「ふーん。」


「おい。聞いてるのか?漫画読んでないで、聞けよ!」

「幼稚園のころから、あんま話してねーのに、興味ねーよ。」

「それについては、良く解らないけど、なんというか、そう、可愛くなってるというか。いや、明るくなったのが近いな。」

ちと、照れた様な感じだ。


 なんだ、こいつ。初恋か?アレに初恋ねぇー。確かに顔立ちは整ってるけど、そう、人形じゃん。フランス人形。ないわー!

でも、本気ならば、応援してやるけど。友達だし。


「一回会ってみたらわかるって!」

「?俺に会わせたいの?」


 意味わかんね。好きな相手に男会わせるって?何がしたいんだこいつ?


「うん。一回会ってみてくれよ。そうだ、シュークリーム美味かったろ?多分明日も食わせてもらえると思うぜ?」

「行く!」

思わずあの味が口の中に再現されて、答えてしまった。本能だ!仕方ない。


 次の日に莉奈と会った。うん、勇気お前は間違っていないわ。以前の様なとげとげしさは無く、人形ではなくなっていた。

それどころか、可愛くさえ見える。俺、目悪くなった?漫画の読みすぎ?

苺を残していたから、手伝ってやろうと思ったのに、泣いて怒られた。解せぬ!


ロス旅行中、ダンスパーティのパートナーを選ぶのに困っていたら、勇気が『莉奈を誘ってみようぜ』と持ち掛けてきた。

「なんで?」

「いっつも、取り巻き連中に行く手はばかれるじゃん?あいつなら、格上の家柄いないだろうし、みんな遠慮するんじゃね?」


「確かに!じゃ、勝負だな。」

「おう!なに賭ける?」

「負けた方が莉奈のアドレス入手すること。方法は問わず。本人に聞くもよし、他の経由でもよし。」

「了解。てか、携帯持ってるの?」

「わかんね。でもpcならあるだろ。」

「なる。」


「じゃ、こっちも飽きたし帰るか。確か莉奈の誕生日も近かったはず。」

「了解。土産品なににすっかな。」

二人で適当にモールに行った。


 翌日日本に帰ってきた。


 結果は両者敗退。あの兄様は只者じゃない。大人しく諦めるしかなかった。


 ダンスパーティでは、予想通り足止めをくらい、飯すら食えない状態だった。

ダンスタイムでは、一人一人の相手をし、ほとほと疲れ果てた。もう行きたくない!

勇気が別れ際、「こんな家族を巻き込んでの社交って意味あるのか?」と聞いてきた。

「?」

何言ってるのかと思った。今まで普通にしてきた行為。


「俺は、当主になって、この過剰とも言える社交会を変えたいんだ。お前はどう思う?」

「...。」

「幼い頃からの人前に出て、社交を学ぶという行為は無駄ではないとは思うけど、もう少し回数を減らしてもいいと思うんだ。」

「...。」


俺は何も言えなかった。父や祖父その前の代から続いている風習、当たり前だと思って育てられていて疑いもしなかった。変える事が正しいのか変えない事が正しいのか、俺には判断つかなかったのだ。


取り敢えず、こいつは俺以上に色々考えているんだと分かった。凄い奴だ。負けてはいられない。

俺も只の馬鹿ではないのだ。そうだ、今年の自由課題は、哲学についてだ。『賢者は歴史に学ぶ』(オットー・フォン・ビスマルク著一節)だ。


 サファリパーク前半はいたって順調で楽しかった。莉奈のとんでも衣装は悪目立ちして、周りの一般人が、超有名人のお忍びかと見て見ぬ振りする忖度をしていたが、本人はいたって通常運転だった。面白い奴だ。


ゴリラコーナーでは、勇気のプチ知識に対抗して、最近の成果を出してみたが、莉奈にからかわれた。くう!


 事件は、現場で起こってる!ではないが、ライオンコーナーでの一件は頂けない。莉奈は自分のマタタビが引き起こした事件だと思ってるがそうではないのだ。


 とりあえず、安全を期して莉奈は覆面パトカーに警備させながら早々に帰した。できれば、ホワイトタイガーの子供とのふれあいとかさせてやりたかったが、身の安全が第一だ。


 莉奈を帰した後、俺達はお父様に連絡してから、警察に協力を要請した。

包装されたマタタビであこまで反応するのは異常だからだ。

恐らく莉奈以外の男連中は気付いていただろう。襲ってくるライオンの一部が通常状態では無い事が。


 襲ってきたライオンは保護して、薬物検査をしてもらった。

結果は思っていたとおり、少量の興奮剤が検出された。マタタビによる成分とは別ものだ。

それと乗っていたバス。今日の為に手配した特別貸切バスだ。それからも、メスライオンが発情期に出すフェロモン成分が検出されたのだ。

これは偶然のものではない。意図的に計画された犯行計画だ。俺ら3人を狙った犯行か、そのうちの誰かか。


 捜査の結果、犯人はわかった。今日特別に雇い入れたバイトの一人だった。バケツを持ってきた青年だ。肉に興奮剤を浸み込ませたのだろう。だが、残念ながら、俺らがライオンコーナーを離れた後、行方がわからなくなった。履歴書はすべて偽証。動物園の管理者さえも誰の紹介だったかも不明だった。


今、俺達が無事なのは、実は莉奈のおかげだったのだ。


 昔、爺ちゃんが莉奈んちの事を教えてくれた。何でも、莉奈んちは隠密稼業の長が隠れ蓑にしていた事業が成功して大きくなった財閥だって言っていた。その影響か安寿家は代々不思議な力をもってるらしいと、だから、反感を買うような事は控えるように言われた事を思い出した。


 あの緊迫した雰囲気の中、咄嗟の機転でマタタビを使ってその場を収めた手腕は認めざるを得ないだろう。彼女の護衛の住田も果敢にライオンに立ち向かう度胸はさすがである。


 莉奈、大分落ち込んでいたから教えてやりたいが、犯人の動機と標的も不明だし、なんらかの組織が加担してる可能性が高いから、口止めされてるんだよなー。捜査は実行中なので、本当の事実が解ったらおしえてやらねば。

最近の莉奈は本当に面白い凄い奴だ。俺も負けてはいられない。とりあえずは哲学から!頑張るぞ!







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