受付のお姉さん
病院に行ったら ものすごい美人の受付のお姉さんが居ました。大きな白いマスクをしてバサバサの長い睫毛、あの白いマスクの下には何か秘密があったりして⋯⋯
そんなことをボンヤリ考えて生まれたお話です。
ぜひ楽しんでいってください。
受付のお姉さん
その病院の受付のお姉さんは
完全な八頭身、股下89センチ
モデルのようなスタイル
白いブラウスに紺色のベスト
タイトなスカートにハイヒール
どこにも贅肉なんて無い完璧なスタイルで
長いツヤツヤの綺麗な髪を後ろで1つに束ねて
白いマスクの上には長い睫毛に大きな瞳
ものすごい綺麗なお姉さんが受付をやってる病院がある、と隣の隣のさらに隣の町まで噂が拡まっていました。
本当に来院する患者さんが 受付のお姉さんをみると
一瞬固まる程の美しさでした。
おじいさんも おとうさんも お兄さんも 男の子も
おばあさんもおかあさんも お姉さんも 女の子も
あまりの美しさに、みんな一瞬固まって
口をポカーンと開けて 見惚れてしまうのです。
受付のお姉さんが院内を歩けば 皆振り返り、
診察してる先生も 聴診器の手を止めて口をポカーンです。
受付のお姉さんの噂のお陰で 病院は大繁盛、
隣の隣のさらに隣の町から 患者さんがやってきました。
年頃のお兄さん達は皆 お姉さんとお友達になりたくてウズウズしています。
今日も何人もの勇者達が お姉さんに挑んでは 丁寧にお断りを受けて撃沈していました。
お誘いを断る姿もそれはそれは優雅で美しく 皆その仕草にうっとり見とれていました。
仕事を終えると受付のお姉さんは コートに身を包み
カツンカツンとヒールを鳴らして 颯爽と帰って行きました。
町を歩いても まるでモーセが海を割ったかのように 人の波が割れ、その中を受付のお姉さんは颯爽と歩いて行くのです。
人の波からは ざわざわと声が聞こえてきます。
「芸能人の、石源さとみさんじゃないの?」
「石源さとみだ!」
「絶対本物だよー!!」
受付のお姉さんは うふふ と笑って カツンカツンと去って行きました。
家に帰ると 受付のお姉さんは ハイヒールを脱ぎ、バッグを椅子の背にかけて 冷蔵庫から出したスパークリングウォーターを一口飲んでソファに座りました。
リモコンに手を伸ばしてテレビを点け、しばらくゴロゴロと一休憩。
それから「んーーー っ」と伸びをして立ち上がりベストのボタンを外し、スカートも ブラウスも脱いで 下着姿になりました。
それから背中の首の辺りに
片手を上から、片手を下から、
手を伸ばして
「チャック」
を摘まむと器用にツ、ツ、ツーーーっとチャックを下ろしました。
ブラジャーじゃありません、背中にチャックが付いていたのです。
受付のお姉さんの背中のチャックが開いて 中からちょっとポッチャリのお姉さんが頭を出しました。
ポッチャリのお姉さんはそのままズルズルっと「受付のお姉さん」を脱いで ハンガーにかけると ジャージに着替えてゴロゴロとテレビを見ました。
遡る事1年前の事です。
ポッチャリのお姉さんが通信販売で買った 加圧下着の最新型 「石源さとみ モデル」
広告には、「着るだけで 体の各部分に4D立体構造で24時間360度圧倒的な超加圧力、憧れのボディラインをサポート」と書かれていました。
着るだけで痩せられるのかな?と半信半疑でポチッとしたのですが、いざ商品が届いてみると 「人間の抜け殻」みたいな全身スーツの着ぐるみが入っていました。
どう考えても着れないサイズだわ、
と思ったのですが
中の納品書には「動画を参考に頑張って着てみてください」とご丁寧に動画のアドレスまで書いてありました。
それから着るのに30分 。
汗だくになって 爪も剥がれそうになりながら なんとか加圧下着を着て鏡を見ると
そこには
「石源さとみ」が立っていました。
身長も15センチ高くなり 8頭身の超絶美人が鏡に写っていました。
「え、ええええええええ、」
それから ポッチャリのお姉さんは毎日加圧下着を着て過ごしました。
最初の内は 自分の感触としても着ぐるみ感満載だったのに
人間って慣れるもので2日目にはこの加圧下着にもすっかり慣れて、この姿を誰かに見せたくなりました。
石源さとみのサイズに合う下着も洋服も靴も全部揃え 鏡の前でニッコリ笑って見ました。
あまりの美しさに 自分で口がポカーンと開きました。
ポカーンと口をあけた顔を見て ああこれじゃダメだわ、と、
それから鏡に向かって うふふと優雅に笑って ウインクしてみました。
お姉さんは鏡の中の自分を見て あまりの魅力的な笑顔に気絶しそうになりました。
それからお姉さんは 誰も自分の事を知らない町に引っ越して病院の受付で働きはじめたのです。
優雅な歩き方 身のこなし 華のある笑い方 、全てこの加圧下着、と言うか 加圧着ぐるみを着てから完璧に身に付けました。
お姉さんは着ぐるみを着て大きな「自信」を手に入れたのです。
今だったら芸能界にでもスカウトされそうです。
でも受付のお姉さんは病院のお仕事が気に入っていました。
ある日 受付のお姉さんは とても素敵な男性と知り合いました。
病院にリハビリ用の機器やコルセットなどを 紹介している会社の社長さんです。
若く端正な顔立ちの礼儀正しい「紳士」の社長さんに、受付のお姉さんはすっかりシビレてふにゃふにゃになってしまい、受付のお姉さんの方から話しかけました。
「あの、あのあのあの、お茶、ご一緒しませんか?」
社長さんもすっかり 受付のお姉さんを気に入り2人は恋に落ちました。
絶世の美女に 端正な超イケメン。
道行く人が全員振り返って2度見 どころか3度見する 美男美女カップルの出来上がりです。
一緒に美術館に出かけ様々な感性に触れ、
一緒に映画を見てはハラハラドキドキ、
毎日が楽しくてキラキラと輝いていました。
2人は心から相手を想い愛し 交際は順調に続き2ヶ月が過ぎました。
そして超高層ビルの最上階のホテルの部屋
2人 初めての夜⋯⋯ 。
「お願い 灯りを消して」
受付のお姉さんは言いました。
窓から差し込む月明かりの下で
「私、言わなきゃならない事があるの⋯⋯ 」
「嫌いにならないでね」
そう言って受付のお姉さんは
ポロリと涙を流しました。
社長さんは
とても愛おしい気持ちになって言いました。
「どんな秘密でも 嫌いになんかならないよ」
決心したお姉さんは背中のチャッックに指をかけ
一気にズルリと「石源さとみ」を脱ぎました。
それを見た社長さんは 優しく優しく微笑んで
「僕にも 言わなきゃならない事があるんだ」
そう言って自分の背中のチャックに手をかけました。
読んで頂きありがとうございました。
おふたりの お子さん用の加圧下着をオチにしようか迷いましたがシンプルに。
また遊びに来てくださいネ
ありがとうございました。