LA LA LA LOVE SONG
「増員を呼べ!」
「はっ」
「配置、完了しました!」
円卓を囲む男たち。
「よし、回せ!メリーゴーランドを回せ!!」
隊長の掛け声を合図に、円卓上の駿馬らを囲む男たちが、見事な連携で回し出す。
もう誰にも止めることはできない。否、二度と止まることのないように、と意志を持って
自転する地球のように。
“Wanna Make Love Wanna Make Love Song, Hey Baby......“
男のうちの一人がこう呟いた。
その意味を尋ねる者など居なかった。喫茶店に流れる洋楽の流行曲を、文字通り”流れ行く“ように
聞き流す術を皆が身につけていたからに違いない。
「今日の天気です。曇りのち雨、午後からお出かけの方は傘を持ちましょう。」
雨、雨、雨。待ちに待った土砂降りの午後である。
昨日の任務を終え、今日は束の間の安息日。
彼女との約束を果たしに街へ繰り出すー。
「メリーゴーランド前で待つ」
果たし状かと思われる彼女からのメールを尻目に、少し大きめの傘を手に取る。
約1年半ぶりに会う本堂純子の姿を妄想する。
「あなたアフロヘアーじゃない!私、アフロ嫌いだって何回言ったら分かるの。もうまっぴらよ!」
そう言って別れた。
だが誤解しないで欲しい。彼女もアフロヘアーなのだ。
本音では、愛する人が髪型を自分の好きなスタイルにしたら、そりゃびっくりするだろうし、
その時の彼女は少し気が動転していたのかもしれない。
「でも そのままでいい お互い様だから」
なんとなく節をつけながら歌うようにひとりごち。
到着すると、彼女はベンチに腰掛けタバコに火をつけるところだった。
「Fuuuuuuuuっっっっ————」
「コホッ!ゴホッッ!それどうやって発音してんの!?」
本堂純子の吐き出す煙は、彼女がソプラノ歌手でもあるせいか、
膨大な肺活量のあまり、辺り一帯を覆い尽くしてしまうほどである。
自然と、溢れ出る涙の色も、灰色をしていた。
「なあ、マイケル。お前いつまであの仕事やるつもりなんだよ。」
純子は、手動のメリーゴーランドを回す仕事をあまり良く思っていない。
「純子、キスしない?」
「話聞いてんの?」
「甘いキスをさ。」
純子は何も言わずにマイケルの首根っこを鷲掴みにし、強引に身元へ引き寄せた。
マイケルの息の根は完全に止められてしまった。
「…………、、ハアハアハア!!死ぬかと思った。」
咄嗟のセルフ人工呼吸でなんとか生き延びた彼に
「キスするのに、言葉なんて一言もいらねえんだよ。雰囲気で持ち込むんだ。」
アドバイスをくれる純子。
でも、実はシャイな彼女は、素直になれないだけなのだ。
勇気を出してくれたマイケルに、応えんとする純子は
言葉に詰まりながら、「ら、…ら、ら……ラブソング歌います!」
言葉よりも本気な LA・LA…LOVE SONGの誕生だ。
Wanna Make Love Wanna Make Love Song, Hey Baby......




