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貴方の”I”を、もう一度。  作者: 青鷺 長閑
9/12

C’:Examination


 それから半年ほど後のことになる。


 外は最早秋という風情ではなく、雪こそ降らないが関東圏でも肌をつんざくような寒さがこたえる十一月。

 ゴールデンウィークのやるせなさもどこへやら、受験生という実感の湧かなかった誰も彼もが、そしてそのうちの一人であるところの自分さえもがセンター試験までいよいよ二ヶ月という時期に突入した。

 俺達の学校には特編制というものがあり、三年はこの時期になるとクラスを解体し、センターで受験する科目に応じて時間割を組み、ひたすらそれに向けて演習を繰り返すことになる。

 センター対策が一次特編としてセンターまであり、それ以降は完全に個々で独立して二次試験対策、二次特編の授業を受ける。

 もっとも、これらについての詳しい説明を聞いたのがつい最近のことであり、それまでは誰も知らなかったのだがね。

 だから他の学校と違い、三年は最後の期末試験も十月にあり、つまり教科書に沿ってやるようなそれらしい授業とも九月いっぱいでおさらば、ということだ。


 そして今は、その一次特編が始まってちょうど一週間。変わったことが一つ。


 この授業が始まってから、麗菜を見なくなった。


 当然、クラスが解体されたのだからこれまでより会う回数が減るのは仕方のないことだろう。しかし、俺が麗菜と共通で受けているはずの数学や英語にも姿を現さないのだ。

 メールはしたが返ってこない。電話にも出ない。俺が何かして嫌われたのならまだ分かるが、愛理も優希も連絡が取れないという。



 寒気がする。


 その寒気が外の冷たい空気によるものではないかも知れないと思い当たり、授業が終わった放課後、俺は麗菜の家に行ってみることにした。


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