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E:Raven
少年はその少女のことが好きだった。
しかし少年は知っていた。
自らに向けられた彼女の視線。それは決して恋に発展することのない眼差しだと。
そしてその暖かくも冷ややかな眼差しに込められていたのは、羨望だったと。
あらゆることをそつなくこなす自分に対し、彼女は妬ましさ半分の、羨ましさを持っていた。
自分もこういう風になりたい。こういうことが出来るようになりたい。彼女はきっとそう思っているだろうと幼心にも少年は感づいていた。何が出来てもどうにもならない。自分に憧ればかりの視線を向けないでくれ。そう少年は思っていた。
少年がその最大の誤解を知るのは、十代後半に入ってからのこととなる。




