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Prologue:Sea to my heart.
よく「天は二物を与えない」と言われるが、天は俺に一物も与えてくれなかった。
それは今、高校生活最後の一年を迎えるにあたって改めて感じたことだった。本当に、それは勉強に限ったことじゃなくて、何に関してもそう。
秀でた所が、いくら探しても見つからなくて、あったとしてもそれはきっと自分に対する欺瞞で、他人に認めて貰えなければただの臆病な自尊心であるだけで、でもそんな自分を素直に評価する他人などこの世には居なくて、結局それらのサイクルに翻弄されて、気付けば脳裏で神おろし。
全ての能力値-ステータス-が平均のキャラばかりが集結したRPGなんてつまらないだろう? 殆どの値が限りなくゼロに近くても、たった一つ値がずば抜けていたら、ソイツの方が使えると思うだろう? 俺もそう思う。
だから俺は、どんな方法であれ自分をイチからやり直したかったのさ。