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ファーストデート ■イルミネーション

■イルミネーションデート(12月はじめくらい)


■会社員年上彼氏×年下彼女


途中で視点かわります。


「お待たせしました!」


「いや、私も今来たところですから」


「すみません…ちょっと遅れてしまって…」


「そんな言うほど遅れていないですよ?では行きましょうか」





 やっぱり今日の彼も素敵。

 品の良いコートにダークブルーのマフラー。手袋も同じ色で合わせてあってとても素敵。



 そんな彼に見合う女子に、なれてるのかなぁ。



 










 23歳の私と、33歳の彼。


 仕事上では問題にならない年齢差も、プライベートでは噛み合わないことが多々あると知った。

 好きな歌手、よく見るテレビ番組、好みの料理。



 唯一共通の趣味が読書だった。



 私が昼休みに続きが気になって読んでいた推理小説を、彼が目に留めてくれたのだ。




「へぇ、君もそういうの読むんですね」




 それから私たちは密かにお付き合いを始めた。














「今日はとっておきの場所…ということでしたが、どこへ行くんでしょうか」


「あの、いま駅前のあたりでイルミネーションやってるじゃないですか。それを見たくて」


「へぇ…やっぱり女の子はそういうのが好きなんですねぇ」



 にこにこしながら言う彼。


 微妙に引っかかる言い方ではあるけれど、まぁ嫌がられてないだけマシ、なのかな?




「点灯時間までもうちょっとあるので、それまで駅ビルに行きたいです」


「ああ、そういえば大きい本屋さんも入ってましたね」


「あの作家さんの新刊買いたいかも…」


「いいですね。あったら買って一緒に読みましょうか」




 そんなことを話しながらゆっくり歩く。


 ふふ、本屋さんだって。その言い方さえかわいいなぁ。


 















 



 彼と入った駅ビルの書店は規模が大きいもので、買った本を読みながらお茶したり軽食もとれるところだった。


「せっかくですからゆっくりしていきましょうか」という彼の言葉にうなずき、私たちは目的だった本ともう一冊、気になった作家さんの本も購入した。




 おいしいコーヒーと、温かいサンドイッチ。向かいに座っているのは大好きな彼。




 あれ?もしかしなくても、これって初デート?




 初デートがこんな…縁側でお茶してるかんじの空気感でいいの?




 一瞬我に返ったけれど、ふと顔を上げると彼も私の方を見ていて二人してびっくりしてしまった。


 お互い真っ赤になって本を見て、またそうっと顔を上げては目が合って。



「あの、すみませんなんだか…」


「いえ私の方こそ…」


「…なんだか、ドキドキしますね」



 ふわっと笑った彼の言葉に、一気に私の鼓動も早くなった。


 うん。これは間違いなくドキドキだ。


 


 本を読んでいるだけなのに、こんなにドキドキできるなんて。


 彼と一緒って、こんなに素敵なことなんだとわかった。















*****














「ここじゃないんですか?」


「はい!実は向こうに穴場があるんです!」


 元気よく私の手を引いてくれる彼女。


 

 子犬のような、と言ったらきっと彼女に怒られてしまうんでしょう。

 そんな姿も見てみたいと思うのは、恋人の欲目でしょうか。



 

 マフラーを巻いているにも関わらずふわふわと踊る彼女の髪を見ながら一緒に早歩きする。

 足の長さの違う私が早歩きになるということは、彼女はほぼ走っている状態なのではないだろうか。



 そんなことを考えた瞬間、前に引っ張られていた真下に引っ張られ、同時に「きゃっ…」というかわいらしい声が聞こえる。

 咄嗟に彼女の手を引き寄せ、ついでとばかりに腰から抱き込んでみる。


「大丈夫でしたか?」


「はっ、はい!…あの、この体勢ちょっと…」


 頬を赤らめた彼女が小さく抵抗してくる。相変わらずかわいらしい人だ。


「転びそうになった恋人を助けて差し上げたつもりなのですが…」


「いえ!あの!助けていただいたのはとてもありがたいんですが…その…恥ずかしいです…」



 あまりいじわるをしては嫌われてしまいますね。

 このくらいにしておきましょうと考え、彼女を解放する。


 ほっとした表情の彼女。やはりこの子はふんわりとした笑顔が似合いますね。














 彼女曰く穴場のスポットは、その名に恥じぬ穴場っぷりだった。


 なぜかファストフードの屋台が出ているのに、そこまで人が多くない。

 迷子になる心配がない程度の混み具合だ。


「ここ、なんでこんなに穴場状態なんですか?」


「単純にここに屋台出てるって知らない人が多いみたいです。駅からも離れてますし」


「ああなるほど…」


「あと、イルミネーションが駅前に比べて落ち着いたかんじでしょう?これ、一般の人の作品なんです」



 言われてよく見てみると、ひとつひとつ作品ごとにブースが区切られていると気付く。

 暗くて見えにくいが作品名と個人名や団体名のプレートもあるようだ。





「イベントでお好きなイルミネーションに投票してくださいっていうのがあるんです。1週間くらいの期間なんですが」


「それで名前が書いてあるんですね」


「ええ。たぶん駅前から足を延ばしてくださいっていう願いもあってのことだと思うんですが…」



 投票期間が過ぎてしまえば、実際はここまでわざわざ足を運ぶ人も少ないようだ。


 たしかに駅前に比べればイルミネーション自体もまばらに配置されているし、休憩できる場所も少ない。

 きっとそれぞれの展示を味わえるようにとの配慮なのだろうが、少し寂しい感じがすることは否めない。






「でも、私はこのくらい静かな方が好きですね」


 綺麗なイルミネーションを見ながらきらきら目を輝かせるあなたも好きですが、と付け足してみる。


 またそんなこと言って!と言われることさえ愛おしい。




「そういえば、さっきサンドイッチしか食べなかったのは…」


「はい。ここでなにか食べようかなぁと思ったので!」


「めずらしく小食だなと思っていたのですが」


「えっ…いつも私、そんなに食べてますか…」



 見えない耳としっぽが垂れ下がったかわいい彼女。「冗談です」と言えば「よかったぁ」と笑顔になってくれる。

 言葉を素直に受け取ってくれるのは嬉しいことですね。

 昔から交流のある方からは「お前の顔で冗談言われても冗談に聞こえん」と言われたことが数知れないので。









*****









 彼女おすすめだというケバブや、不思議な形のピザなど気になるものを一緒に食べていたらいつの間にかお腹も心も満たされていた。


 気付けば隣を歩く彼女は言葉少なくなっており、歩くスピードもかなりゆっくりになっている。





 どうしようかな。



 サンタさんのプレゼントにしてはちょっと早いんだけれども。







「あのっ…私、今日」


 そう切り出してくれた彼女の口を自分の口でふさぐ。


 驚いたように目を見開いていた彼女だったが、口づけが深くなるとすぐに目を閉じてしまった。


 君のきらきら輝く瞳も大好きなんですが。






「今日、この後のご予定はありますか?」


「いえ…なにもないです」


 ふわふわした表情の彼女が答える。かわいらしい、僕だけの彼女。



「では、よろしければ私の家においでくださいませんか?」


「いっ、いいんですか?だってクリスマスまで待ってって…」


「そのつもりだったんですが」




 あんまりあなたが私を夢中にさせるので。


 サンタがあなたに早くプレゼントを贈りたくなってしまったようです。





 さあ。


 あなたは左の薬指に、私からの愛を受け取ってくださるのでしょうか。



 

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