16話
「……」
そのモニターに写っていたサイモンは通路の端に座り込み、『兵隊』達が朗報を持って来る事を期待して待っていた。
言葉は無い。ただただ無感動に壁を見つめている。
潮風でもあればまだ何らかの感情を覚えるのかもしれないが、生憎この船の通路は基本的に部屋に囲まれていて、当然ながら海沿いの部分以外では海を見る事も出来ない。
その場を海の上だと思わせない狙いがあるのであれば、これほど成功する例も珍しいだろう。何せ、船は揺れる気配すら無いのだ。
一体、この船は何の為に作られたのか。一応は客船を気取っているが、どうせ違うのだろう。
取り留めもない事を考えつつ、サイモンは座り込み続ける。そのままでは壁と一体化してしまいそうだ。しかし、彼に構う様子は無い。
『兵隊』達に指示を与えてから、彼は自分が動けない状態になった事を自覚する。本来ならばアールを探す事を再開したいのだが、万に一つも『ボス』が殺される事は無いと信じている為に体が動かないのだ。
ジェーンを見つける、ボスを見つける。どちらもが優先すべき事で、彼の中で揺れている。『ボス』はどんなに錯乱していようが、必ず甲板に向かうだろう。
彼がボスを探しているのは、半ば彼自身の義務感と忠誠心に依る物だ。放っておいても問題は無い。『兵隊』達に指示を出している以上、たった二人の人間を闇雲に探すよりは遙かに効率が良いだろう。
「……」
----何故だろうな、ボスを探さなくても……いや、ボスがもう色々片づけてくれている予感さえする。
『兵隊』達に任せる一方で、あくまでただの勘ではあるが、サイモンの頭には『ボス』が既に売人達と接触して何らかの友好的な行いをしているのではないか、という考えが浮かんで来ていた。
焦ってアールを探していた時とは大違いだ。『兵隊』達の報告を待つだけの時間を苛立ちで過ごすつもりは無いらしく、ひたすら黙り続けている。
じっとしていると、船の中で何が起きているのかが大ざっぱに理解出来る様な気がしたが、特に変わった物は無い。
銃声が近づいてくるならまだしも、ただ音がするだけであれば何の変哲も無い、ただの音だ。
退屈になったサイモンは、またひたすらにルービックキューブを回し始める。やはり面は絶対に合わない、偶然合いそうになる瞬間はあるが寸前で別のブロックが回る様に動かしている。
凄まじい動体視力と、素早すぎる手が無ければそうは行かない。ルービックキューブに視線が送られていない事が余計に際だって見えた。
「……スゴいね、ルービックキューブ、その道のプロより早そうだ」
それをいつから見ていたのか、唐突に感嘆の声がサイモンの耳へ届いて来た。
聞き覚えが有る様で無い声に、サイモンは思わず手の動きを止める。耳に届いた瞬間から人の心を弄ぶ様な不快感を覚えさせる声だ、眉を顰める所までも相手の狙い通りなのだろう。
嫌そうな反応に対して帰って来た楽しそうな笑顔が印象的だ。どこまでも、どんな状況でも笑い続ける類だ。どこか不気味でもその笑顔は目映い程に美しく、おぞましい。
「何の用だ?」
「え? いや、ふふ……それは凄いルービックキューブを見せてくれた人に賞賛の言葉を投げ付ける為、じゃ、駄目かな?」
静かなサイモンの問いに対して、答えは無駄に明るく、妙にわざとらしい口調だ。胡散臭いのと同時に自然にも感じられる事が奇妙で、中々に変わっている。
そんな印象を受ける女で、この船に乗っている可能性が高い者。該当する人間をサイモンは一人しか知らない。
「……確かお前」
「あはは、よしよし。君ね、Mr.スマイルだろう?」
サイモンの言葉を遮る様に、女は何やら出鱈目な事を言って来る。何を言っているのかの理解が遅れたサイモンは、思わずとぼけた声を上げていた。
「……はあ?」
「いあぁ、その服に手の仮面! 間違い無く君はMr.スマイルさ!」
言葉と共に向けられた視線が服や仮面に注がれている事に気づいて、サイモンは呻き声を上げそうになってしまう。確かにそれはMr.スマイルのコートであり、仮面だ。
彼がMr.スマイルなのかと聞かれればそれは絶対に有り得ないと返す所だが、今の彼はこの服を着てしまっている。傍目から見れば素顔を晒すMr.スマイルに見えなくも無いだろう。
纏っている雰囲気が全く違う事から別人だと見抜く者も居るだろうが、少なくとも女は違った様だ。
勘違いされては叶わない。朧気ながら女の情報を幾つか覚えていたサイモンは、彼女と敵対する事を防ぐ為に説明しようとする。
「待て、勘違いだ。この服は倉庫に……」
「問答無用! 人々を苦しめる邪知暴虐のMr.スマイルめ!」
話を聞く気など初めから無いとばかりにサイモンの言葉を止めさせて、女は声を張り上げる。それと同時に彼女は一瞬にしてサイモンとの間にあった距離を詰めて、目の前にまで飛び込んで来た。
脳裏に危険信号が凄まじい勢いで駆け抜けた事を自覚したサイモンは、勘に従って頭を床に付く距離まで素早く降ろす。すると殆ど同じタイミングで刃物がすぐ上を通る音が聞こえて、彼が寄りかかっていた壁に一筋の線を作り上げる。
抜き身の刀が彼女の手に握られている。表情や雰囲気の中には無い鬼気迫る物が刀からは感じられて、それはサイモンに命の危機を感じさせるには十分な物だ。
「だから、待てと言っているだろうが……!」
このままでは危険だ。そう判断したサイモンは座っている状態から女の足を素早く掴み、姿勢を崩させる為に無理矢理に引く。
一瞬、女がよろけた。常人には理解出来ないほんの僅かな物だが、サイモンには十分な時間が生まれる。だが、立ち上がる事による隙を作らない為にあえて動かない。
「女の子の足を引っ掴むなんてひどい! やっぱり君はMr.スマイルだ!」
足を掴まれた女はどこまでも楽しそうに文句を言うと、人の体重や力を無視して勢い良く姿勢を安定させた。
だが、それに合わせたサイモンは相手が姿勢を整える際に掛かった力を自分に受け流し、合わせる様に体を浮かせて立ち上がる。
顔が丁度、女の首筋の辺りに来る。すると再び頭の警告音が響き渡り、サイモンは全力で彼女の太股を蹴り込み、その勢いで飛ぶように距離を取る。
普通の人間を蹴っても壁を蹴ったのと同じくらいの衝撃は得られないのだが、彼女が普通とは程遠い事を知っている。遠慮無く蹴り込み、壁を蹴り込むのと同じ結果を得る事が出来た。
「いたっ、い、いったーい! おん、女の子の足を……うう、蹴るなんてひどいよぉ……」
サイモンが自分に対して距離を取った事を確認した女はより一層楽しそうに笑い、蹴られた太股を撫でながら舌っ足らずな声をあげている。誰がどう聞いても明らかな演技だ。
本当はサイモンの蹴りすら効いていないのではないかとすら思えてしまう。普通の人間なら骨折どころでは済まないというのに、平気で笑っているのだから。
「お前が女の子って呼べる様な真っ当な人間だとは思えない訳だが?」
「えー、いいじゃん。『女の子』って響き、たまらなく可愛いのに」
馬鹿にする気持ちを込めて女に話しかけると、女は心外だとばかりに頬を膨らませ、怜悧な外見とは全く合っていない態度になる。
だが、その奥にはどこまでも冷たい殺気の類が見え隠れしていた。脳裏の警告音が更に強くなった事を理解したサイモンはより一層強い警戒で女を見た。
やはり不気味だ。刀を手放す様子など欠片も見せず、何時の間にか刃がサイモンを斬れる位置に運ばれている。
「……俺を斬るか? それなら、そっちも相応の覚悟を決めて欲しいが」
警告を込めてサイモンが強烈な殺気を放つ。膝を屈してしまいそうになる圧倒的な物であり、抵抗する意志を打ち砕いてしまう程だ。
勿論、女に効果は無い。サイモンがそんな気配を放ったのは、単に「何時でも反撃が出来る」というサインだ。そもそも、これで退く様な相手であればサイモンはとっくに女を始末出来ている筈なのだ。
実際はそんな状態にはなっていない。二人とも互いの姿を見つめ合い、殺気の様な何かをぶつけあっている。
「ふ、ふふ……ちょっとした遊びのつもりだったけど、ちょっと本気でやりたくなっちゃったかも」
「俺は本気だ、元々な。だからその、何だ……死ね」
ただ睨むだけの行為に意味など無いと判断したサイモンは、その言葉と共に彼女に対して銃弾を放つ。だがそれは気休めだ、これで倒れる相手ではない。
サイモンの想像通り、銃弾は射線を一瞬にして見切られた事で避けられる。そう来ると分かっていた彼は驚きも無く、冷静に刀の有効範囲に飛び込んだ。
想像通り、女の持つ刀はサイモンの胴体を二つに分ける勢いで迫って来た。
一見自殺行為だが、そうではない。自分の体に近づいてきた刀を、彼は自分の着ているコート越しにあっさりと掴んだのだ。
「わぁ! 凄い! ってわっ、きゃ!」
「Mr.スマイルの服を着てなかったら、こんな無茶はしないさ!」
自分の獲物が捕まれた事になど気を回す事も無く、女が笑う。サイモンはその腹部に思い切り拳を叩き込もうとしたが、寸前で避けられてしまった。
どうしてそんな無茶が出来たのか、それは彼の言葉通り、今着ている服がMr.スマイルの物と同じだからだ。銃弾を通さない程に強固なコートともなれば、刀にも耐性があるのは当然の事と言えるだろう。
それを理解していたサイモンは迷う事無く女の攻撃範囲に飛び込む事が出来たのだ。
----ああ、これは確かに。こんな凄い物を着ていたら、誰だって自分の思い通りに何かをしてみたくなるだろうな。
異常に軽い服のお陰か、動きは鈍るどころか更に鋭く、素早くなっている。
何か不思議な力でも働いているのではないかと疑ってしまう程だ。あのエドワースがどうしてMr.スマイルになり、暴走したのかを、この時のサイモンはある程度理解する事が出来た。
「ふふん、君がMr.スマイルの癖に何を言ってるんだい」
「違う、俺はMr.スマイルなんかじゃない。一緒にするなよ」
「ほら、日常的に、そして当たり前の様に不自然な事をしていると、いずれそれが自然になるのさ。君がMr.スマイルだったからって私は驚かない。むしろ殺された方が裏切り者だった、って可能性を見るね」
あくまでもサイモンの事をMr.スマイルだと扱う姿に、サイモンは苛立つ。『ボス』の組織を無茶苦茶にし、平気な顔で生きている存在と一緒にされるなど、彼にとっては人生最大の汚点と呼べるだろう。
いや、仮に殺された者達が裏切り者だったなら、サイモンは迷わずMr.スマイルと同じ事をしたのだが。
それでも、だからこそ、その汚点を吹き飛ばす、厳密には、『自分をMr.スマイル扱いしたゴミ野郎を黙らせる』という意志が、サイモンの中で芽生えていた。
その気持ちが定まれば、早い。サイモンと女が動かなかったのは、たった数秒にも満たない時間だけだった。
先に動いたのはサイモンだ。刀が動かない様に全力で掴みながら、女の足を思い切り踏み付ける。
余りに凄まじい勢いから来る一撃は確かな重みを持っていたらしく、女の口から呻き声が漏れるのが聞こえて来る。
それが隙ではないとサイモンは分かっている。勘違いして攻撃すれば返り討ちにあってしまうだろう。しかし、そこで彼はあえて空いた拳を振るって女に向けた。
「あはっ……! それはぁ、無意味なんだよね!」
想像通り、女の顔に残酷で余裕のある色が含まれた。
足が踏まれた事など痛くも痒くも無いと言わんばかりの冷静な体捌きで拳を掠る程度の位置に瞬間的に逃れ、お返しとばかりに踏まれていない方の足でサイモンの残った片足を踏みつける。
痛みに声が上がる事は無い、いや、何やら彼女は手加減をしているのか、大した痛みは感じられなかった。
----こいつどうして……っしまった!
そこに一瞬だけ疑問を浮かべてしまったサイモンに、隙が生まれる。致命的だ。
その証拠に、いつの間にかサイモンが掴んでいた筈の刀は女の手で自由に動いていて、今まさに彼の首を落とそうと接近してきている。
余りに早すぎて、首を守る事も出来ない。Mr.スマイルの服の強度に頼ろうと無意識的に判断したサイモンは、本人も意識しない自然な動きで----懇親の頭突きを決めていた。
「あが……っ! ……ぅ!!! うぐ……うう……」
刀が首に接触する寸前で止まり、いつの間にか付けられていた仮面が女の額に追突する。
銃弾も通さない強固な素材で出来ているのだ、それを思い切り叩きつければ、人間の頭などたやすく陥没してしまうに違いない。実際にそうならなかったのは、彼女が彼女であるが故なのだろう。
「いた、い……これ、これちょっと……凄く痛いな……」
それでも痛いのか、女はしゃがみこんで顔を両手で覆う。庇護欲をかき立てる様な雰囲気を放っているが、どうせそれは演技だ。サイモンは気にしない。
追撃に頭を蹴り上げようかとも思ったが、止めておく事にする。彼女が何を考えているのかなどサイモンは知らないが、ともかく彼は目の前の女と戦う気は無かった。
「……俺がMr.スマイルじゃないって、分かってただろお前」
女を見下ろす形で、サイモンはそんな事を言う。そう感じた理由は感嘆だ、所々、冗談と嘘臭さが彼女の動きに混じり込んでいて、なおかつサイモンは一つの傷も負わなかったのである。
それは、自分が攻撃を避けたからというだけではないと、サイモンは気づいていた。
そして何より、サイモンは知っている。目の前の女がどこの組織に所属する、誰なのかを。
「ぃ、痛ぁ……くぅぅ…………あ、バレた?」
今まで感じていた痛みなどまるで無かったかの様に、女、いやエィストは悪戯っぽくも友好的な笑みをサイモンに向けていた。
+
「こんな所で会うなんて奇遇かな? やあサイモン、初めまして、で良いよね? ちなみに今の私はエィストじゃなくてカナエだからよろしく」
顔を覆っていた両手を下げて、今までの全てが嘘だったかの様にカナエが立ち上がって笑っている。額に何かがぶつかった痕跡は存在しない。
つい今しがた二人は戦闘を行っていた筈だが、彼女はそれがまるで記憶から抜け落ちてしまったかの様に、戦っていた時と同じ明るい表情で腕を出してくる。
それが握手をしたがっているのだと気づくのに、サイモンは少々の時間を要してしまう。
殺し合い一歩手前、いや殆ど悪感情しか無い殺し合いそのものをやっておいて、次の瞬間には仲良く握手だ。どうも、思考がずれた女性に思えた。
「どう考えても俺がここに居ると知った上で来ただろお前……まあいい、サイモン・グルーパーだ」
しかし、相手の手加減を知るが故に自分が殺されかけた訳ではないと分かっているサイモンは、少々の不満を消し去って握手に応じる。
たった今名乗ったファーストネームは本当だが、ファミリーネームは完全に嘘だ。昔見た映画か何かの悪役の名前で、自分と偶然名前が同じだった為にとっさにそれを使ってしまったのだ。
何故嘘を言ってしまったのかは分からない。ただ、彼女に本名を告げたくない。そう思う自分が居るのも確かだ。そして、そんな理由も分からない感情から来る行動はあっさりと看破された。
「ふふん、嘘はいけないね。君の顔は知ってるよ、サイモン・ノースウッドだったかな?」
「……どこで、その名前を?」
カナエの口から出てきた名前に、思わずサイモンは目を細くする。それは、懐かしい物。付き従うボスを見つけた瞬間に名乗る事を止めた、昔の自分の名前である。
もう何年も名乗っていないそれは、長らく聞いていなかった物としては余りにも親しみを感じてしまう呼ばれ方であり、呼んだ者がカナエである事を少し残念に思う。
「ふふっ、ずっと昔に捨てて以来使ってない君の本当のファミリーネームさ。ああ、ちなみにウチのボスから聞き出した」
そんなサイモンの反応を知ってか知らでか、得意げな様子でカナエは説明する。
サイモンの頭の奥が、彼女のボスであり、この船の上ではケビンという偽名を使っている男に自らの名前を教えた事を記憶していた事もあって、サイモンは納得する。
同時に安堵も浮かんだ。超常的な、理解できない『何か』によって名前を調べられた訳では無い様だ。そんな非常識な物を少しでも警戒した自分が馬鹿らしくなる。
カナエが胡散臭い笑みを浮かべていても、サイモンはその言葉を信じているのだ。
ともあれ、余り良い気がしなかったのも事実である。どうも、大事な物を汚された様な気持ちになってしまう。
「……何でも知っているんだな」
「君こそ随分色々知ってそうだね、誰かの何かを知っているのかな?」
少しだけ不満そうなサイモンの声に対して、彼女の返事はどこか抽象的な物だ。意味不明を言い換えても良い。
眉を顰めたサイモンに気づいた様で、カナエは半ば取り繕うかの様に言葉を続ける。もしかすると、冗談か何かのつもりだったのかもしれない。
「あの……そもそも、何で君らがこの船に乗ってるんだい? 君のボス……ああ、今はアール・スペンサーさんだね、あの人にしたって、どうしてまた」
話題を転換して来た姿を見て、サイモンは一度自分の頭の中にある思考を消し去る事を決める。自分の名前、過去。そんな物に引きずられる程、彼が今の立場に賭ける思いは弱くない。
「何、簡単だ。この手紙だよ」
少し迷ったが、サイモンは懐から一枚の手紙を取り出す事を決める。海の向こうの組織から届き、Mr.スマイルの居場所を示す内容で彼らを船に誘った物である。
迷いが生まれた理由は単純な物で、目の前の女に見せるのは躊躇われるのだ。情報を与えれば、何をしでかすかも分からない。
しかし、結局手紙を見せる事になった。懐から出した紙はいつの間にかカナエの手の中にあり、じっと読み進められているのだ。
そこから十数秒もすれば、カナエは手紙から視線を外し、何やら関心した様な雰囲気を漂わせてその場でクスクスと笑い、手紙をサイモンに返す。
「返すよ、それにしても……意外だね。君の所にも来たんだ、コレ」
笑顔で紙を手渡しながら告げられた言葉に、サイモンは言葉の意味が数秒だけ分からずに目を丸くする。
だが、次の瞬間には大まかな意味を理解した彼は、今までよりもずっと低く、背筋が凍る様な声でカナエに聞き返した。
「……何?」
「ん、そんなにピリピリしないでよ。実は内のボスの所にもこの船に誘う手紙が届いててね、ご丁寧にチケットまで付けられていたんだ」
サイモンの恐ろしい様子に少しだけ気圧された様に後ずさった彼女は、しかし享楽的な物以外の感情は微かにも見せずに説明する。
その内容はサイモンにとっても他人事ではなく、むしろ何よりも強い警戒と殺気を持って対応しなければならない話だ。僅かに懐かしい気持ちになりつつも、それ以上に強烈な感情が込み上がって来る。
「……奴等め」
様々な感情が織り交ぜられた、地の底から響く様な声が口から漏れる。それだけで周囲の体感温度は一気に下がり、震える程の存在感が現れる。
しかし、カナエの反応は涼しげな物だ。確かに人を気絶させかねない程の凶悪な雰囲気だが、彼女にとっては、『その程度の事』なのだろう。緩く暖かい笑みは一切崩れていない。
「私のボスと君のボス、ついでに君が命賭けて追い出したんだったかな。ああ、でもあそこのボスの顔は最後まで確認出来なかったとか何とか」
「その通り、大きく見れば勝ちはしたが、その点に関しては勝ち逃げされたよ。使い終わった部下を切り捨てるから、影も捕まらん。だが成る程、奴がそっちにも……」
十数年前に戦った組織の事を思い出したサイモンは、苦虫を噛み潰した様な顔をする。
当時の彼は総力を上げてあの組織を叩き潰そうとして結果だけで言うなら成功したが、最後まで組織のトップを攻める事は出来なかったのだ。
顔すら知らない者の存在はサイモンや、アールやケビンの心に確かに残り、今も完全な『敵』として認識されている。
今度は逃がさない。内心で、サイモンはそんな思考を浮かべた。
「…………さて、今回も勝ち逃げされそうだが」
「何か言ったのか?」
「あれ? ん? ううん、何でもないよ」
その感情を読み取ったかの様にカナエが小さく呟いた。だが、サイモンの耳に届く前に四散する。
彼女自身も自分が何を言っているのか理解していないらしく、少し首を傾げている。まるで何か別な生き物が声を発したかの様だ。
「ふふっ、やっぱり君にとってもあの組織は敵なんだね」
「当たり前だ、死んでも曲げないぞ」
カナエの目はサイモンの様子を楽しそうに眺めている。
しかし、彼女にはもっと重要な用事があるのだ。監視カメラに写った彼を追いかけたのは、ただサイモンに会いたかった訳ではない。
「……ま、その人の事は君らで探って欲しいな。そうじゃなく、ちょっと相談があって」
楽しそうにしながらも、少し残念そうに話題を切り替える。サイモンの存在感はその組織の名前を聞いた時から変わらず強烈な物だが、気に留めない。
そんな様子の中には何処か、少しだけ急いでいる雰囲気が認められる。誰かが遣ってくる前に、考えを纏めたい。そういう風に考えている事が、何となく伝わって来る。
「うん、それでね。ジェーンちゃんの事なんだ」
サイモンが何となく聞く姿勢に入ると、その瞬間を待っていたかの様にカナエは話を始める。
内容は、ジェーンに関係する物だった。それも、どうやってジェーンをこの船から脱出させて、なおかつプランク達に納得させるかを考えだそうとしている様だ。
計画の内容も、ある程度は定まっている。かなり無謀な物で、恐らくそんな事が実行出来るのは彼女くらいに違いない。
その中には、今の所絶対に実現出来ない物もあった。
「うーん、君のボスとも話したんだけどね。爆発物が足りないんだ、心当たり……ある?」
何やらサイモンの顔を見つめたかと思うとカナエは微笑みを共にして、尋ねて来た。どうやら船を爆破する必要があるらしく、そんな物を探している様だ。
心当たりがあるかと聞かれれば、有る。大有りだ。有りすぎる程に、有る。思わず冷や汗を垂らしたサイモンの手が、無意識の内にコートの懐に忍ばせた棒状の物体に触れる。
それが爆弾の起爆装置である事を、彼は知っている。
『兵隊』達に持たされていた爆弾を起爆させる物だ。これを起動させるのには鍵が必要らしいが、それでも爆薬は爆薬である。
恐らく、船を沈めるのにも十分な量だろう。そんな物が存在する事をカナエに教える、どう考えても危険極まる行為だ。
彼女の目には一切の嘘が見られないが、それでも、である。
----……初めから知っていて聞いた、訳じゃないよな?」
内心の焦りを隠しながら、サイモンはそう考える。知っていて聞いて来たのだと考えれば、彼女が接触した理由も理解出来るのだ。
「……? 何か分かるの?」
「いや、心当たりは無いな」
もしそうなのだとしたら白々しい。そう思いながら、きょとんとした顔のカナエに嘘を吐く。この船の安全の為にも、彼女に知られる訳には行かないのだ。
無意識的に起爆装置を握り締めながら、サイモンはそう考えていた。
「んー……そっか、君ならば、と思ったんだけど……」
それを見破る事が出来なかったのか、カナエは彼の返事にあからさまに落胆した様子になり、残念そうに溜息を吐く。
だが、次の瞬間には刀を構えて奇妙な殺気を放ち、サイモンを、いやサイモンの背後を見つめていた。
「……何だ?」
釣られて、サイモンも自分の背後を見る。そこに居る人間を見て、すぐに彼女の反応を理解する事が出来た。『兵隊』の一人だ。虚ろな目でこちらに近づいて来る姿は、確かに警戒に値する。
銃を構えているのもその一因と言えるだろう。見ず知らずの、それも抜き身の刃物を持つカナエを警戒するのは当然なのだが、現状のサイモンにとっては邪魔でしかない。
カナエから溢れる『何か』がどんどんと濃くなっていく事が分かる。『兵隊』も、放っておけば引き金を引きそうだ。
見覚えのある『兵隊』に与えた役目を覚えていたサイモンは、二人の間に入った。
「撃つな、エィ……カナエだったか、お前も止めろ」
両者の間に居るサイモンは冷徹な口調で二人の動きを止める。元々、意志の無い『兵隊』はあっさりと従い、銃を降ろす。
問題はカナエだ。そう考えてサイモンは彼女を見るが、どうやら大凡の事情を察したらしく、いつの間にか刀を降ろして二人を楽しそうに見つめていた。
「で……ジェーンを見つけたか? ボスを見つけたか?」
無意味な戦闘を回避出来た事に少々の安堵を覚えながら、サイモンは『兵隊』達に尋ねた。先程任務を与えたのと同じ個体だ。報告に戻って来た事くらい分かる。
サイモンの声を聞いた『兵隊』は、静かに彼に近寄って来た。意志を失っていても声帯を取り除いた訳ではない、声で報告をする事くらいは出来る。
すぐ側に間で近づいてきた『兵隊』は、カナエにすら聞こえない声で報告をする。何の意志も感じさせない抑揚の無い声だ。
ただ事実だけを述べるのだから、その方が意味は良く伝わるのだが。
「……そうか、ご苦労。じゃあ失せろ」
情報を全て受け取ったサイモンは労いの言葉をかけたかと思うと、すぐに邪魔な障害物でも見る様な目を『兵隊』に向けて、その場から立ち去らせる。
理性のある人間ならば、どうしても不快に思ってしまうだろう。しかし相手は意志の無い機械同然の存在だ、サイモンの言葉にも遠慮が無い。
実際、そんな事を言われた『兵隊』は何の不満も見せる事無く一度頷いて、すぐにその場から立ち去って行った。
「どんな事を聞いたのかな? 教えて貰えるなら、聞いておきたいが」
消えていった者を見る事も無く、カナエはサイモンの方にだけ目を向けている。彼女にとっても『兵隊』はどうでも良い存在なのだろう。
目の前の奇妙な女と気が合ってしまった様な気がして、サイモンは自分の人間性を深く疑いたくなった。尤も、一つの組織のたった一人の人間に自分を含めた何もかもを生け贄にしてしまえるサイモンもまた、人の事を言える程に立派ではない。
「……」
「ねーねー、どうしたの? どんな情報を聞いたの?」
実はその事に関して自覚のあるサイモンは、カナエの声を無視する様に口を閉ざす。彼の頭の中では『兵隊』からの情報が整理されて、どうするべきなのかが考えられ続けている。
そんな風に対策を考えて、サイモンの思考は思わず苛立つ。情報が確かで有れば一人では難しい可能性のある内容だ、手助けが必要なのだ。
目の前の女に、思わず目が行っている。確かに、知っている限りでは有数の実力者だ。人格を別にすれば、これほど頼りになる存在も無い。
彼女が全力で船上に於いての出来事に対処すれば、そもそもサイモンが動く必要も無いだろう。そう、実際にはサイモンは動いているのだ、本気ではない事の証である。
そんな存在に情報を渡し、他者を巻き込んでも良い物かを真剣に悩むのと同時に、何やら恐ろしい存在の動きを制限出来るのではないか、という淡い期待も浮かんでいる。
こちらの意図が分かっていないのか、カナエは何も分かっていない顔で首を傾げている。それを見たサイモンは、話す事を決めた。
「……ああ分かった。今聞いた事を教えてやるから、手伝ってくれ」
言った側から、カナエの目が深夜の猫の様に輝く。少々の不気味さと神秘的な雰囲気を同時に持ち合わせたそれは、彼女自身の笑顔で纏められてどこか安定している様に見えた。
「本当!? うんうん、私に出来る事であれば何でも手伝うよ!」
いつの間にかカナエはサイモンの手を両手で握り絞め、期待に胸を膨らませている事がよく分かる表情を向けている。
両手を振って大げさに喜びをアピールする姿はまるで子供の様だ。挙動の全てにどこか不自然な、微妙な違和感----言葉にするなら、『演技の様な動き』が無ければ、本当に頭の中まで幼子の様な物なのではないか、とすら思えるだろう。
自分の判断が正解だったのか、不正解だったのか。早くも後悔し始めたサイモンだったが、今更引く気も無く、静かに得た情報の一部をカナエに告げた。
「お前の所の映画馬鹿とジェーンを、引き離したいんだ」
+
「まあ、確かにプランクさんは酷い人ですよ、部下の命も自分の命もゴミみたいに扱えるし、どんなに良い奴でも死んだ人間に哀悼を示す事なんてしない」
「ほう……随分、部下に嫌われているんだな」
一方、カナエと離れて船員達を先導していたアールは、彼らの話すプランクの評判に耳を傾けていた。
何故こんな事になったのかと言えば、単純に暇だったのだ。彼が全力で走れば目的地はすぐ到達出来るのだが、今は一人ではない。船員や売人達に合わせていれば、今の様な動きになってしまうのだ。
そんな事をしていれば、当然の事ながら時間がかかる。そもそも早く行ったとしても、船が来ていないだろう。
つまりは、時間が生まれたのだ。時間的な余裕が生まれたアールは彼自身が新聞記者に扮して見たプランクの印象と間違っていないかと、プランクの部下達から聞いて見る事にしていた。
「いや、別に嫌ってませんよ? ただ冷血な人ってだけで……」
「冷血ってのもおかしいけどな、あの人、どうでも良いって思ってるだけだろ」
「いや、腕時計とか好きな人だし、全部が全部って訳じゃないんじゃないか?」
「それより……カナエに惚れたって本当なのかな。いや、正直な、さっきのまともに喋ってる時よりは笑ってる時の方がマシだったぞ」
「違いない。でも、ボスってあんな面食いだったっけ? 組織的に使えるか使えないかで評価する人だった様な……」
聞いてみると、彼らは口々にプランクの話を始めた。主に喋っているのは売人達と船長と呼ばれた男で、他の船員達はあまりプランクの事を知らない様だ。
どうやら彼が受けた印象と実際のプランクは殆ど変わらないらしく、人の命を低く見る姿勢を持っている事は全員が認識している。
今後の展開次第では友好を結ぶかもしれない相手の事を、直接の部下達ですら否定的な、まるで恐ろしい物か何かを扱うかの様に語っている。少々、不安になるのも仕方無い事だ。
冷血、無感動、腕時計、カナエに恋をしたって本気なんだろうか。
彼らの話を総合してみれば、大体がそんな所だろう。最後の話になった時はアールも思わず冷や汗を流したが、今回の話には関係が無いので気にしない事を決めている。
ともかく、プランクという人間の少なくとも表面的な精神性は部下達の話によってある程度理解する事が出来た。
少なくとも、自分や『元相棒』とは違う部類の人間だ。友人としては恐ろしい程近寄り難い人物だが、打算的な同盟関係を結ぶ相手としてはかなり信じられるだろう。
そう考えたアールは少しだけ息を吐いて、今までの話を聞いた感想を告げる。
「…………そんな冷血な奴に付いていって、よく今まで生きてきたな」
まったくだ。横で話を聞いていた船員達は歩きながらもそんな顔をしている。だが、当事者である売人と船長の反応は全く違う物だった。
彼らが浮かべていたのは不満ではなく、むしろプランクのそんな部分を受け入れて、その上で付き従っているという意志が見えてくる物だったのだ。
アールは少し戸惑って、彼らの顔をよく見てみる。すると、彼が表情から受けた印象を裏付ける様に彼らはプランクに対して肯定的な声を上げた。
「……『それ』が重要なんです、我々達にとってはね。何せ、あの人は世の中や人の命なんてどうでも良いと思ってるのに、組織を強くする事は必死でやる人だ」
最初に口を開いたのは船長だ。頼りになる人間を扱う目で遠く、恐らくはプランクの姿を見ているのだろう。初めて聞こえた肯定的な言葉に、アールは耳を傾ける事にする。
「部下が殺されたからって、怒らない。報復は部下が納得しないからやるだけで、本人はやる気がないんだよなぁ。さっきも俺達の命は銃弾一発の単価を遙かに下回るとか言ってたし」
「そりゃ確かに、冷血ですよ。情でも金でも動かないんだから。でもね、組織全体から見れば、部下が殺されたとか、そんな『小さな事』に囚われないあの人は、凄く頼りになるんです」
一人の人間としては受け入れ難い類の様だが、組織人としては頼りになる。彼らはそんな事を言っていた。歩きながら語るその姿にはプランクに対して忠誠を誓っている様には思えない。だが、彼を信じているのは間違いない。
敬意や尊敬と呼ぶ物ではないが、少なくとも好意的ではある様だ。それならば良いかとアールは考える一方で、一つ、彼らの言葉から心に響いた物がある事を自覚する。
「部下が殺された事が、小さい、か……成る程な」
「あ、いや。別にそれが良い事って訳じゃないんですけどね」
「分かってる。だが……ちょっとな」
小さな呟きを耳聡く聞き取った売人の一人が慌てて声をかけてきたが、それに対してアールは少し思い詰めた顔で返事をするだけで、それ以上は何も言わない。
もしかすると、不快に思われてしまったのか。売人達の顔が青ざめるが、実際にはそうではない。ただ、アールは自分自身とプランクを比べたのだ。
彼は、殺された部下達の報復をする為に船に乗り込んだ。憎悪と憤怒で頭が一杯で、サイモンやジェーンの事を何とか気にかける余裕が出来たのは船で『兵隊』達が暴れ出した辺りからである。
対して、プランクも売人を何人か間違いなく殺されているだろうに、怒る事もしなかったと言う。恐らく、組織全体の事しか見ていないからなのだろうが、アールが受け取ったのはそれとは違う印象だ。
「……なるほど、な」
----生きている奴へ、目を向けるべきだったか。
頭の中でそう考えて、アールは心から自分に苛立ちを覚えた。部下が殺されてからまず一番にやるべき事は報復でも復讐でも無く----生きている者を見る事なのだ、と。
例えよく知る幹部達が殆ど殺されてしまったとしても、サイモンは生きている、ジェーンは生きている。彼らの部下である者達、例えばパトリックも生きている。幹部達の遺族も居るだろう。
それらから目を背けて、一体どうしてこんな船に乗ってしまったのだろうか。そもそも、サイモンはどうしてMr.スマイルがこの船に乗る事を知っていたのだろうか。
サイモンが意図的に隠している、つい今しがたエィストに見せた紙に対する疑問と共に、自分を情けなく思う気持ちが凄まじい勢いで湧き出てくる。
「怒りの勢いに身を任せすぎた結果が、この様か……」
アールは思わず思考を口から漏らしてしまう。その間も周辺を警戒し、どの方向からの奇襲でも同行する者達に一切の被害が行かない様に対応できる立ち位置から移動しない辺りは、流石と言えた。
周囲の船員や売人はそんな彼の姿を見て頼りになると思っているのだろうが、彼自身はそうは思っていない。この船に乗っている間で一番情けない状態にあると考えている程だ。
プランクの様に冷血で居る自信は無くとも、もう少し怒りを静める努力をするべきだった。そうしていれば、ジェーンの凶行を事前に気づく事が出来た筈なのだ。
それが出来なかった自分を省みて、アールはとても情けない気持ちになっていた。
「あの、そろそろ到着しますよ」
少し俯いたアールに向かって、船員の一人が声をかける。彼らが目指す船の裏側まで、後少しとなっているのだ。
「……ああ、そうだな」
静かに、内心の感情を覆い隠す様にアールは返事をする。彼らがあの船室を出発してからもう暫く経っていた。目的地がすぐ側にあるのも当然と言えるだろう。
となると問題はエィストが呼んだ者達が到着しているかなのだが、その点をアールは心配していなかった。人格はともかく、彼らは少数であっても恐ろしい程に有能なのだ。
エィストからの連絡が入ったその瞬間には船を借りて出発していてもおかしくは無い。物理的に不可能な距離であっても無視出来てしまいそうだ。
それを知らない船員達の一部は不安そうだったが、アールが微塵も疑っていない事を感じてそれを引っ込めている。
「あいつの部下には変人が多いが、尋常じゃない。半端じゃない……恐らく、もう到着しているぞ」
船員達が不安を引っ込めてもその感情を受け取ったのか、アールが安心させる様な、どこか懐かしそうで穏やかな口調で告げる。
それを聞いた者達は、目の前に居る男と話に出てきた人物、カナエの本当のボスとが浅からぬ関係だった事を察して、探りを入れたくなってしまった。
しかし、売人達にせよ船員達にせよ、それ以上を聞く事はしない。深く聞けば、何か途方も無い物に巻き込まれる。そんな風に感じられるのだ。
「……? どうした、俺に聞きたい事でもあるのか?」
「あ、いえ……何でも無いです」
そのまま、口を閉じた船員達にアールが不審そうな目を向けたが、彼らは遠慮がちに声量を下げて来る。余計に怪しいが、何となく彼らの思考を察したアールはそれ以上を聞く事は無かった。
彼らが船の裏側に到着するまで、後少し。
『グルーパー』 映画『ダイ・ハード』から。アラン・リックマン演じる敵『ハンス・グルーパー』。中々ユーモラスで良い。あ、『ダイ・ハード3』の方にモロ『サイモン・グルーパー』が居ますが、意識していた様なしていなかった様な、今となっては分かりません。




