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特別編 クリスマス

『メリークリスマス!』

 今日は十二月二十五日。そう、クリスマスだ。そういうわけで俺、奈希、詩葉の三人は奈希の義両親宅でクリスマスパーティーをすることにした。

「うわー!すごい!奈希ちゃんのお母さんお父さんめっちゃ気合入ってるー!」

「詩葉ちゃん、どうぞ遠慮なく食べて行ってくれ!」

「ほら、楓雅くんと奈希も」

 そう言って義両親さんに寿司を握ってもらう。

「これ、すごい組み合わせだね」

 苦笑いでそう言う奈希だが、美味しそうに寿司を食べている。

「そりゃあクリスマスだし、ローストチキンは欠かせないよな?な、母さん」

「そうね~。気にしたら負けよ」

 ちなみにこの後はケーキも用意してくれているらしい。最高だ。

「こうして誰かとクリスマスを楽しむの初めてかもしれん、俺」

『え、ほんとに?』

 奈希と詩葉が同時にそう言う。

「本当だ」

「じゃあ今までなかった分、今日楽しまないとね!」

「そうそう。楓雅くん、今日は楽しもう?」

「二人の言う通りだな」

 本当に二人の言う通りだと思う。今日は思う存分楽しんでやるぞ!



 俺たちはその後、思う存分に寿司とチキンを食べ、最後に残るのはケーキだけとなった。

「よし、じゃあ切り分けるな」

 義父さんが、絶対にそれは使わないだろ、って言いたくなる出刃包丁でケーキに入刀する。

「ちょ、お義父さん!それ魚をさばくのに使うやつだよね!?」

 奈希が驚いて言った。

「ああ、そうだな」

「『ああ、そうだな』じゃないでしょ!ケーキ用のやつはなかったの?」

「あるにはあるけど、こっちの方が切りやすいと思って」

「まあ、もう切っちゃったしなんでもいっか」

「よし、じゃあみんなお皿に乗せていくからとっていってな」

 義父さんがそう言うと皿に乗せられたケーキを各自一つずつ持って行った。

「それじゃあいただきます!」

 席につくとすぐ、奈希がケーキを食べ始める。

「そんな焦って食べなくてもケーキは逃げて行かないぞ」

「うるさいなあ」

「ほら、ほっぺにくっついてるぞ」

 そう言って頬についたクリームを取ってやる。

「これくらいじゃ恥ずかしがらないもんねー」

 ドヤ顔でそう言われるが、別に恥ずかしがらせるためにしたわけではない。

「二人とも、すっかり兄妹してるねー」

「もう半年は経つからな」

「羨ましい」

「悪いもんじゃないけど言いもんでもないぞ」

「ちょっとそれどういうこと!これは後でお説教が必要だね……」

「それはできればやめてもらいたいな」



 その後も他愛もない会話を繰り返してクリスマスパーティーももう終わりといった頃になる。

「それじゃあ最後は、はい、私たちから楓雅くんへプレゼントよ」

 義両親さんから手のひらサイズの何かが入った袋を受け取る。

「え、そんな悪いですよ!」

「いいのいいの。いつも奈希がお世話になってるからね」

「それじゃあありがたくいただきます……」

 せっかくの好意を受け取らないのは失礼だろう、そう思った俺はそのプレゼントをありがたくいただいておくことにした。

「じゃあ私たちからも」

「これ、奈希ちゃんと私で選んだんだけど喜んでもらえるかな?」

 二人もまたさっきのより少し大きい袋を渡してくる。

「開けていいか?」

「もちろん!」

 二人がそう言うと俺は今受け取った袋を開封する。

「……マフラーか」

 紺色のチェック柄のマフラー。

「どう、気に入ってくれた?」

「一応、楓雅くんの好みに合わせたつもりなんだけど……」

「最高だ」

「ほんと?よかった~」

「楓雅の好みはばっちり把握してるからね!」

「ありがとうな二人とも」

「じゃあお返し期待しとくね」

 奈希はそう言い、詩葉は北の目でこちらを見つめてくる。

「分かった分かった。また今度ちゃんとお返しするから」

「ふふ、分かってるね」

「じゃあ、みんなプレゼンとも渡せたし今日はお開きにしましょうか!」

「うん!もう時間もだいぶだし、フェリーの時間も無くなっちゃう」

「じゃあ楓雅くん、奈希のことよろしくね。それと詩葉ちゃんも奈希のことよろしくね」

『はい!』

 そうして俺、詩葉、奈希一家とのクリスマスパーティーは幕を閉じた。



『来年もまた出来たらいいな』心の中で俺は呟いた。

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