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おしゃべり

 七月二十七日 朝


「寝ちまってたか……」

 どうやらあの後、俺たちは話し疲れていつの間にか寝ていたみたいだ。

「にしても、こいつ……」

 外だってのにベッタリだ。

「離れねえ……」

 なんでこいつはこんなに腕にしがみついてんだ。別に逃げないってのに。

 これは起こすべきなのか?いや、でもこんなに気持ちよさそうに寝てるのを起こすのもな……

 そうだ。

「今のうちにこの顔、頭に焼き付けてやろう」

 奈希がこんなにだらしなく寝ている姿、滅多に見れないからな。

「……」

 今ふと思ったんだが、その……でかいのが…当たってる。

「でかい……」

 改めて見ると、でかいな……何がとは言わないが。


 むにゅっ


「……っっっ!!!」

 動くな奈希……!その…いろいろと当たってしまう!

「ふうがぁ〜すきだよぉ〜」

 だから動くなって……!寝ながらもっと抱きついてくんな!

「えへへ〜」

 なんで笑ってんだこいつ……!

 一体何の夢を見ているんだよ……!

 いや、それより起こさないと。いつまでもこのままだと人が来た時に気まずすぎる。

「おい、奈希。もう朝だぞ」

「んぇ〜?」

「ほら、寝ぼけてないで目覚ませ」

「ん〜もうちょっとこのまま〜」

「はぁ、ちょっとだけな」

「えへへ〜、楓雅のにおい〜」

 恥ずかしい。

「もういいだろ。ほら、起きろ」

「仕方ないなぁ〜」

「恥ずかしくて死にそうだ」

「恥ずかしいの?」

「そりゃあ、まあ」

「私も」

「じゃあすんなよ」

「甘えたい時もあるじゃん?」

 そうは言っても外でするもんじゃないだろ、と言いたいが正直、最高だ。

「そうだけど」

「あと、これはたまたまだし?」

「たまたまで腕に抱きついて寝る奴がいるかよ」

「ここにいるよ」

「そうだったな」

「寝心地よかったよ」

「そりゃよかった」

「またお願いしてもいい?」

「外じゃなかったらいいぞ」

 まあ、悪い気はしないしな。いやむしろ最高。

「えへへ、やった♪」

「で、今日はどうする?」

「うーん、何する?」

「夏休みだし時間はたんまりあるしなぁ」

「逆に時間がありすぎるとそれはそれで困るよね」

「そうだな」

「今日は家でゆっくりする?」

「話したいこともいっぱいあるし、そうするか」

「だね.家だと人目を気にせずに話せるし」

「展望台からだと俺の家のほうが近いけど、どうする?」

「じゃあ、楓雅の家にしよ!」

「了解。じゃあ帰るか」

「ずっとここにいても、することないしね」

 しばらく話した後、俺の家に向かった。



「ねぇ、思ったんだけど」

「どうしたんだ?」

「これって、おうちデートってやつ?」

「そうだけど、今まで何回も来てるだろ」

「でも彼女として来るのは初めてだよ」

「……そう言われたら意識しちゃうだろ」

 せっかく意識せずに帰ってこれたのにそんなこと言われたら意識するしかなくなるだろ。

「も~そんな恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」

「いや、恥ずかしいだろ」

「顔真っ赤だもんね~」

「……言うな」

「あはは、ごめんごめん」

「ほら、とりあえずリビング行っといてくれ」

「はいはーい」

 とりあえず俺は着替えをすることにした。結局昨日はシャワーも浴びれずにあの展望台にいたからな。

「そういえば、奈希も着替えいるかな」

 真夏の夜にべったりくっついて寝ていたら汗もかくだろう。実際、俺もそれが嫌で着替えている。

「奈希、よかったらこれ使えよ」

 そう言って俺が渡したのはまだ新品のパジャマだ。よくある青色のシンプルなやつ。

「え、いいの?」

「新品だし気にしなくていいぞ」

「それじゃあ、ありがたく借りさせていただきます」

「おう。あっちで着替えてこい」

「はーい」

 数分して奈希が戻ってくる。

「楓雅ありがと~.汗でぐっしょりだったから助かったよー」

「まあ、真夏にあんなべったりくっついて寝てたらそうなるよな」

「次からはちゃんと家で、だね」

「暑いからやめとけ」

「えーけち」

「けちじゃない」

「え~いいじゃん」

「別にいいけど、ほどほどにな」

 ほどほど、ほどほどならいいんだ。

「……楓雅って結構エッチだよね」

「え、な、急になんだよ!」

「私が寝てるときずっと胸見てたでしょ」

 何でバレてんだよ……お前寝てたろ。

「いや、別に」

「あ、嘘ついてる顔してる!図星なんだ~」

「あ、そうなんだ?見ちゃったんだ?」

「お前、もしかして適当に言ったのか?」

「そうだよ?」

「……はめられた」

余計なことを口走ってしまった……

「まー別に楓雅にならそういう目で見られてもいいけどね?」

「いやダメだろ。倫理観的に」

「ん~たしかに。一応兄妹だしね?」

 そう、俺たちは付き合ったと言っても兄妹なのである。

「でも、いつまでも兄妹だから~って言ってても解決しないよな」

「それもそうだよね」

「そういえば奈希の義両親はここに来た理由とか知っているのか?」

「もちろん知っているよ。むしろ送り出されるときに『楓雅くんと一緒に住むときは言いなさいね~』って言われたぐらいだし」

「ちょ、ちょっとまて。俺は奈希とこれから一緒に住むことになるのか?」

「え?そうじゃないの?兄妹なんだし一緒に住むものかと」

「いや、まあそうなんだけど…一応俺たち恋人同士ってことになってるから……」

「じゃあなおさら一緒に住んだほうがいいでしょ。お互いにとって良いことしかないよ?」

「そうだけど……」

「とりあえず私の義両親に今度会っとく?」

「まあ、それはありだな」

「なら明日にでも行く?」

「急すぎないか?」

「私は別に行けるけど」

「俺も別に行けるけど」

「なら行こっか」

「一緒に住むとかどうこうはまた明日、奈希の義両親と会ったときに話すか」

「だね~」

「ということで今日は楓雅といちゃいちゃします!」

 そう言うと奈希は俺の膝の上に座ってきた。

「はいはい……」

 心なしか、兄妹だと打ち明けられてから奈希がかなり甘えてくるようになった気がする。まあ、いいけどな。

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