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七百年の眠り

七百年の眠りR2

作者: リィズ・ブランディシュカ



 世界を守る。


 そのために私は眠り続けなければならない。


 私は、強い力を持った聖女で、結界を張ることができるから。





 この世界は、常に強い瘴気に満ち溢れている。


 このままだと普通の人間は生活できないだろう。


 だから、聖女が結界をはって、人々を守らなければならない。


 しかし、聖女は眠り続けなければならないので、普通の人のようには生活できない。


 親しい人と同じ時を過ごす事ができないのだ。


 私はその、眠りの聖女に選ばれた。




 

 しかし、私はそれでもよかった。


 大切な人を守ることができるのだから。


 百年。


 二百年。


 三百年の眠りだって平気だった。


 しかし、四百年の眠りの時に異変が起きた。


 人の気配が少なくなったのだ。


 私は眠りながらでもある程度、人の世の事が分かる。


 それくらい力の強い聖女だった。


 だから、なぜか人が減っていることに気づけたのだ。


 私は狼狽した。


 人がいなくなってしまったら、私が眠り続ける意味がないからだ。


 何度も起きたいと思ったが、起きてしまったら人は瘴気の影響を受けて生活できなくなってしまうだろう。


 ジレンマにさいなまれながら、五百年が過ぎた。






 その頃になると、人の気配が極端に少なくなり。


 数えられるくらいの気配しかなくなっていた。


 私はそれでも起きるのを我慢した。


 人の力はきっと、強い。


 何か滅びの危機を迎えていても、乗り越えてくれると信じて。






 そして六百年。


 七百年が過ぎた。


 私はもはや人の気配を調べようとは思わなかった。


 自分がやっていることが無意味に思えるのが怖かったからだ。


 でもそんな眠りは無常にも妨げられる。


『生存者ヲ発見シマシタ』


『生キ残リノ保護ヲ開始シマス』


 ああ、どうして彼らは私を眠ったままにしてくれなかったのだろう。



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