七夜月の空と、白鳥のつばさ
夏至から十一の
夜を数えて
風にゆれる半夏
セレストブルーの
空に勇ましく
風を切る夏燕に
思いを馳せて
小径に見つけた
ブルーベリーの実は
碧い宝石のように
夕風を待ちながら
いつしか月色の
光をふりまくような
待宵草の花
七夜月の空へ
飛び立つ白鳥のように
半夏生の夜に
宙に浮かび上がる
北十字星
碧瑠璃の空へ
東から飛び立つ
はくちょう座の星
天の川の上を
気高く羽ばたいて
七夜月の空を
駆ける白鳥のように
くちばしに煌めく
アルビレオの星
オレンジと青の
寄り添う光が
行く先を照らしながら
地上では待宵草が
薄紅色に染まるとき
はくちょうの尾には
一等星の輝き
デネブは天の川の
光のしずくを
集めて宙を照らして
季節を越えるため
白鳥たちは
はてしない海を渡って
宙のはくちょうも
千四百光年の彼方から
はてしない星の海を
渡って舞い降りて
行く先が雲に隠れ
見えなくなる時も
あるけれど
その場所を信じて
向かう翼をはためかせ
一つずつ、一歩ずつ
進んでいくその先で
ふと立ち止まるときも
旅路は長いから
時に翼を休めながら
それがまた
次の羽ばたきへと
繋がると信じて
宙を吹きゆく
風は銀河鉄道の
汽笛のように
夢へと続く
レールはきっと
どこまでも
引いていけるから
繋がっているから
少しずつでも
彼方に見える夢ほど
心の宙に輝いて
七夜月の空を
遥かに渡っていく、
あの鳥のように
夏至の後、半夏という草が生え始める頃は一年のちょうど真ん中で、「半夏生」といわれます(今年は7月2日です)。今が収穫期のブルーベリーは、実の前に白い花が咲き、花言葉は「実りある人生」です。待宵草は、夕方に黄色い花が咲き、夜に紅みを増して橙色になります。
はくちょう座は、「北十字星」とも呼ばれ、天の川の真上にあります。「尾」を表す一等星のデネブは地球から約1400光年先にあり、「夏の大三角」の一つです。
また、「くちばし」を表すアルビレオは、オレンジと青の美しい二重星として有名で、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも登場します。日本へ飛来する白鳥は、約三千キロを旅するとされます。
七夜月は、七月のことです。季節を彩る星や草花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。