エピローグ
次の日、私も含めた受験者たちは会場に呼ばれた。
事件も発生し、今年の試験は中止となったようだ。
肩に乗るシルフィも興味がないのか、寝てしまっている。
試験官ハイマンが正面に立ち、大声を放った。
「貴様ら! 今年の試験は中止だ! 今後は、王都の警備を固めるため、戦力強化に努める!」
ため息交じりの会場で、私も三人の友達と顔を合わせる。
「貴様らも知っている通り、来年の受験資格は、既に剥奪している! 貴様らが来年、試験を受験することは禁止する!」
ため息どころか、うなだれる者まで現れた。
「まぁ、仕方ないよね」
私の言葉に同意する三人は、声を合わせる。
「だよね~……」
しかし、予想だにしなかった言葉が耳に飛び込んだ。
「よって! 貴様らは全員、合格だ!」
一瞬、会場内が静まり返る。
一か所で聞こえていたコソコソ話は徐々に広がっていく。
ハイマンが拍手をしだすと、会場はあっという間に歓声に包まれた。
「お前たち、今まで厳しくして悪かったな! これまでの試験で諦めて身投げした者、二次試験で担架で運ばれた者、みな元気にしている。案ずるな」
会場が再び、大歓声に包まれた。
三人の友達に別れを告げ、私は故郷へと戻る馬車に乗っていた。
隣にちょこんと座るシルフィが立ち上がり、私の膝の上に寝転んだ。
「アナ~、僕もうダメだよ~……」
「あら、どうしたの?」
「チョコレート不足で、動けないよ~」
「屋敷に戻ったら、まずはスイーツパーティーを開いてもらいましょう!」
「チョコパーティーだって!?」
それは言ってない。
「まぁ、そういうことにしましょうか」
故郷へと戻った私たちは、チョコパーティーで幸せをたらふく味わった。
そして、兄の墓で手を合わせた――。
「シルフィ、どうしてあの時、お兄ちゃんは私のことを襲ってきたんだろう……?」
「ん~、兄妹愛?」
「なんか深いこと言って、誤魔化そうとしてない……?」
「はは! バレた? 僕には分かりっこないさ! 僕に分かるのは、チョコはこの世で一番美味しいってことと……」
「美味しいってことと?」
「僕はアナのことが、大好きってことくらいさ!」
その後、世間では弓を武器として使う人が増えたとかなんとか――。
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