表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都市伝説少女  作者: 7zu7
2/3

第2失「絆創立志」

本作品は多々グロテスク、ミステリアスな文章が入っています。

話の内容が深いこともあり、理解しづらい部分もあるとは思いますので

できるだけ心臓の弱い方はお控えください。

……

………


「あ~!うるさい!!」

さっきから気付いてはいたのだけれどあえて、気付かないふりをして

寝過ごそうと思った計画が台無しだ。

僕は目覚まし時計が大嫌いで、子供のころから忌み嫌っている。

僕に何の罪があるというのか知らないが、否が応でもたたき起こす。

それが目覚まし時計。

僕はいつものように目覚まし時計の電池を抜き、再び眠りにつこうとする。

だが、一度起きてしまってはなかなか睡魔はやってこない。

僕は布団から出て、大きな欠伸を日の出とともにした。

なぜかは知らないが、この魍魁町は朝が早く住人の人たちは5時に出勤や

登校をしているのだ。全く僕には理解できない。

朝ぐらいゆっくり寝たいものじゃないだろうか?そんな疑問を胸に寝巻を脱いで制服に腕を通す。

新しい制服は昭和を感じさせるほどの年季が入っていた。

「…使い古しかな…?」

様々な疑問符を抱きながら、1階に小走りで降りていく。

もう鈴菜とお父さんは朝食を済ませたようで、テーブルの上に置手紙があった。

読んでみると、もう二人は家を出ていて僕一人で行きなさいという内容だった。

家族ながらに薄情者だ。鈴菜はともかく、お父さんは一生軽蔑してやる。

僕はレンジで温められていた、トーストを口に押し込み牛乳で一気に流し込む。

こんなことをしてると鈴菜に注意されそうだが、急ぎなのでそんなことは関係ない。

転入初日ほど緊張するときはそうそうないのだ。そして、時間もないのだ。

僕は昨日用意した物を一通り確認すると、急いで家を飛び出した。

近くの隣人に「おはよう。見ない子ね?」などと、いわれるので軽い理由をつけて

相槌で返した。チラッと窓を見ると、後方から僕と同じに走ってくる女の子が見えた。

時計を見ながらスピードを緩めずに、突っ走ってくる少女。遅刻寸前なのだろうか

いやに焦っている。加速してくる彼女の足。僕は避けようとしたが、一瞬遅かったらしく

少女のぶつかるのと同時に前へ転倒した。

「うわっ…!」

「うッ…!!」

少女のほうは僕がクッションになったのか、軽い声を出してすぐに立ち上がった。

僕のほうとしてはいきなりの出来事に、体がついていけず

熱い衝撃が鼻と口に広がる。

「あたた…ちょ!きみ大丈夫!?」

大丈夫なわけがない。真正面コンクリートに転倒したのだ。

さっきから鉄分が顔から出ていくのがわかる。

僕は鼻と口をそっと押さえ、立ち上がり少女の全体を確認する。

目立った外傷はなかったようだ。それだけで心の緊張の糸が緩まる。

「大丈夫。それより僕は急ぐから…君も急いでたんじゃないの?」

鼻血を垂らしながらいう男のセリフじゃない。

少々後悔しながら彼女を見ると、それも聞いてない様子で服を焦った様子で漁っている。

「えとえと…ハンカチか絆創膏か何かないかな~…

これでもない…ちがうちがう!う~~~~…」

半ベソをかきながら探しまわる。これじゃ僕が悪いみたいで

罪悪感が心を締める。野次馬が「何あの男子。女の子泣かすなんてサイテー」とまで言い始める。

免罪をくらった人の気持ちは多分こうだろう。だんだん、周りもざわつき

人盛りができていた。僕もこれじゃあ立場なんかないので、その場をすぐに走って逃げた。

もうすぐ多分チャイムが鳴ってしまう。予令も過ぎれば僕もおしまいだ。

僕の運動神経を甘く見るなよ。何せ僕は運動会でいつもリレーに出ていたのだから。

昼休みのバトンパスも欠かさずに出ていた僕が、こんなところで屈するわけにはいかない。

息切れなのも忘れてひたすら走り続ける。途中、何人かの生徒と出くわした。

皆遅刻なのをわからないのか…?とりあえず校門前まで来た僕は息を整えおぼついた足取りで

下駄箱に靴を揃える。これでもう歩いても、大丈夫だろう。さっきの緊張感とはまた別の緊張感が

押し寄せてくる。

「今日は忙しいなぁ…はぁ…。」

ため息を漏らした後にほっぺをたたく。少しは心に気合が入っただろう。

教室の前まで来ると一人の少女が立ちつくしていた。

まさか僕以外にも転入生がいたのか。そんな偶然あるはずがない。僕が少女の顔をずっと見ていると

ちらりとこちらを見て、すぐに視線を逸らした。

なんなんだ?人見知りなのか?僕から視線を外した後は教室のドアだけを

見続けている。そんなに僕がつまらなそうな人間だからって、酷すぎはしないか…。

そんな事を思っていると、先生がドアを開き手招きをしたので入れということなのだろう。

まずい。急いでたせいで自己紹介も何も考えてない。

一方少女のほうは、凛とした態度で澄ましている。

「ハイ!じゃぁ、二人とも自己紹介お願いしまーす!」

体育教師か何か知らないが元気な声で、僕達を促す。

レディファーストなんて言葉が世の中には存在するが、こういう場合は

僕のほうから先に言ったほうがいいだろう。生徒のみんなもざわざわと、待っている。

「え~…と、僕の名前は神下卓。すぐるっていう字は卓球の卓の字です。

どうぞ、これから…よ、よろしくお願いします…」

最後はちょっとカミカミになってしまったけど僕としては上出来だ。

先生の拍手とともに皆も、歓迎の色を浮かべてくれる。

さて、次は彼女のほうだ。一体どんな自己紹介なのだろうか。

「私の名前は黒志木 薺(くろしき なずな)。以上です。」

教室内は一瞬静かになった後、どよめきとともに拍手があがる。

だが、それもよそよそしくて僕は好きじゃなかった。

彼女の何がいけなかったんだろう。ただ、言葉を選ぶのが下手だっただけじゃないか。

先生に指定された席に着いた後も、僕はその態度に疑いを持ったままで

相変わらず澄ました様子の黒志木さん。

何か僕には不審物を感じた―――――――――――――――――――――――。

ベタな展開を回避すべく頑張りました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ