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5話ー世栄玲奈と魔法界のお尋ね者

世栄玲奈はいつも通りの時間に店を開けた。

お店を開けてから5分くらいしてから、お客さんが入ってきた。

女性のお客さんだった。

世栄玲奈は「いらっしゃいませ」と言ってから、カウンターに座った。

その若い女性は「このラジオって直りますか?魔法ラジオは無理だって言って断られたのですが…」

世栄玲奈は笑って「無理だってはっきり言ってくれるお店はまだ良心的ですよ」と答える。

その若い女性は「それで、直せるんですか?」と訊いてきた。

世栄玲奈は「まぁ、僕に直せないラジオは無いですから。PCとか高度な機械になると直せない時もありますが…」と答えた。

その若い女性は「じゃあ、頼んでいいかしら?」と言う。

世栄玲奈は「魔法石の故障だと、1万リベル以上は確実に掛かってしまいますが?それでもよろしいですか?」

その若い女性は「問題ありません」と答えた。

世栄玲奈は「じゃあ、この修理依頼契約書をよく読んでからサインしてね?」と言ってその女性にペンを渡した。

すると、斗南華が菅原涼太との間に生まれた子供を連れてやってきた。

斗南華は「涼華。今からお母さん。の玲奈って人とお仕事のお話してくるから、ちょっとお利口さんして待っててね?」

菅原涼華は「わかった」と無邪気に答えた。

世栄玲奈は斗南華に「今日はなんの用ですか?」と言った。

斗南華は「魔法界の暗号ラジオは聞いている?」と訊ねた。

世栄玲奈は「最近は聞いていないですが…。それがどうしたのですが?」

斗南華は言う。「最近、魔法界の国王が暗殺されそうになったのだが…、その暗殺を企てた犯人が魔法を使えなかった所為で一般界の差し金では無いかと疑われてしまっているの。そしてその影響で魔法界の中で一般界平定理論なんてモノが出回っているから…。一般界を守るために協力してくれない?」

世栄玲奈は「僕に出来ることだったら何だってしますよ」と言った。

斗南華は「おー?心強い」と言って「明日の閉店後、お店の前で待っているから」と言った。

そして、斗南華は「終わったよ~。静かに待てて偉かったね」と菅原涼華を褒めた。

菅原涼華は「えへへ~」と、はにかんだ。

斗南華は世栄玲奈に「そういうことだから」と言ってお店を後にした。


お客の若い女性は世栄玲奈が話している間にサインを書き終えたようだった。

世栄玲奈は「サインありがとうございます。明日の昼には直っていると思うので、それ以降に取りに来て下さい」と言った。

その若い女性は「ありがとうございます」と言って、お店を立ち去った。

世栄玲奈は依頼品のラジオをバラして驚いた。

ダイヤ型の魔法石が入ったかつての高級機であったからだ。

そして、ラジオの魔法石に魔力が残っているかを調べてみる。

案の定、古いラジオということもあって完全に抜けてしまっていた。

古い魔法石を抜き取り新しいダイヤ型の魔法石に魔法を込めて、蓋を閉めた。

そして動作を確認した。

しっかりと魔法界の暗号ラジオを受信出来るようになった。

世栄玲奈は若い女性の依頼主へと電話を掛けた。

「依頼されたラジオ。予定より早く直りましたよ」と世栄玲奈は言う。

その若い女性は「ありがとうございます。修理費はいくらですか?」と訊いてきた。

世栄玲奈は「魔法石の故障だったので、1万リベルですね」と答えた。

その若い女性は「分かりました。ありがとうございます。今日の夕方取りに行きます」と言った。

世栄玲奈は「わかりました。では待っています」と言って受話器を置いた。


夕方から、ラジオをすぐ出せる引き出しにしまって店番をしているが夜になっても、ラジオを直して欲しいと言った若い女性は来なかった。

モノは既に直っていた。

閉店時間も近いときだった。

斗南華が店に来た。

世栄玲奈の表情を見て斗南華は言う。「浮かない顔をしてるけどなんかあった?」

世栄玲奈は「依頼主の女性が今日の夕方にお店に直ったラジオを取りに来ると言ったが、今になっても来ていないんだよね…。何か嫌な予感がする」と言った。

斗南華は「取りっぱぐれるという事かな?」と言う。

世栄玲奈は「1台くらいは取りっぱぐれてもいいけど…。もっとなんか違う感じで嫌な予感がする」と言った。

斗南華は「依頼主の念が残ったモノ無い?ちょっと探索してみるわ…」と言う。

世栄玲奈は「あんまり部外者には見せてはいけないけど…、これが依頼票の原本」と言って斗南華に依頼票を渡した。

小豆島南海と綺麗な字で書かれていた。

斗南華は言う。「これは本名で書いているわね…だけど、この子。帰り道で事故に遭って既に死んでいるわ…」

世栄玲奈は「そんな…家族は?このラジオを返さないと…」

斗南華は「返さない方がいいわ。この子、家族とは疎遠だから…」


次の日、世栄玲奈は無意識に喪服を着ていた。

その姿を斗南華に見られていた。

斗南華は「まぁ、頑張れよ…」と言いそのままどこかへ行った。

世栄玲奈は小豆島南海の葬儀会場に居た。

依頼されたラジオを持って。

しかし、親族だと思わしき人は皆険悪な顔をしていたので渡せなかった。


次の日、ラジオは棚にしまっていつも通りお店を開けた。


世栄玲奈は依頼されたラジオはお墓にお供えしないと思ったのだ。

そんな中、また一人お客が来た。

古めのノートPCの修理の依頼だった。

その女性は言う。「何もしてないのに壊れました。データを取り敢えず救って欲しいのですが…」

世栄玲奈は「起動しない原因がハードディスクの故障だったら、データは救えませんが…それでも依頼しますか?」と言う。

その女性は「はい、私じゃ何処が壊れているのか分からないので…」

世栄玲奈は「じゃあ、この修理依頼契約書(PC用)にサインしてね?」と言った。

その女性はスラスラとサインをした。

世栄玲奈はお店の奥に行って、ノートPCの現状を見た。

案の定というか、ハードディスクの故障だった。

世栄玲奈はお店の表に戻って依頼主の女性に言う。「症状的にハードディスクの故障なので、データは諦めた方が良いかと…」

依頼主の女性は「そうですか…」と言い残念そうな顔した。

世栄玲奈は「腕利きの復元業者を紹介しておきます」と言って、住所と電話番号と紹介状を書いた。

その女性は「ありがとうございます!!!」と言ってノートPCを持ってお店を飛び出していった。

世栄玲奈は溜め息を吐いて、カウンターにもたれ掛かった。

お店のドアが開く音がしたので、世栄玲奈は姿勢を正した。

入ってきたのは斗南華だった。

世栄玲奈は言う。「なんだ華か…」と言った。

斗南華は「なんだって何よ?」と言う。

世栄玲奈は「華なら姿勢を正す必要も無いかって思って…」と言ってカウンターにもたれ掛かった。

斗南華は言う。「私との約束。覚えてる?」

世栄玲奈はハッとして姿勢を正す。「ごめんなさい…お店を休んでから、そのまま家で寝てました」

斗南華は「じゃあ、営業時間内だけど今話すね。魔法界の国王を暗殺したのは魔法界に住む魔法を使えない人だったらしいわ。それでもその事を秘匿して、一般界平定論を国王は唱えてるの。だから、事態はどんどん緊迫しているわ…。この前だって魔導航空部隊と一般界の戦闘機部隊の小競り合いが起きたらしいし…先に領空を侵犯したのは魔導航空部隊の方なんだけど…」と悲しそうな顔をした。

世栄玲奈は「一般界側の犠牲者は?」と斗南華に聞く。

斗南華は「まだ出てないわ…」と答えた。

世栄玲奈は「自軍に犠牲者や物的損害が出るまで、待った方が得策だと僕は思う。でないと、相手に大義名分を与えてしまうから」と言った。

斗南華は「そうね…。今動くのは私も得策じゃ無いと思ってるわ…」と言った。

世栄玲奈は「一般界の国防部と繋がっている、華さんとしては最近の動向はどう感じる?」と言ってみた。

斗南華は「一般界としては魔法界側は挑発をしてくるが、どうやったら刺激せずに事を収められるか模索しているところね…」と答えた。

世栄玲奈は「そうだね…。最近、魔法界の暴走が激しくなっている感じがあるから…、国王が暗殺されてから特に…。魔法を使えない市民を圧政で押さえて付けてきた癖して…」と言った。

斗南華は「私達は元々いわゆる特権階級であって、特権階級が政権を握って一般人を虐げる、それでも特権階級で利益を享受する人の方が多いから一般人を見捨ててでも特権を維持しようとする…。いずれ革命が起きるだろうねぇ…」と言ってコーヒーをすすった。

斗南華は言う。「煙草、吸わないの?」

世栄玲奈は「仕事場では吸わないよ。機械に灰が入った壊れるし…」と答えた。

そして、閉店の時間になった。

店のシャッター閉めて、裏口の戸の鍵を掛けた。

そして、世栄玲奈は煙草を吸いたいのを我慢して家に帰った。

家に帰れば、ノートPCを開いて隣に灰皿を置いて、ネットサーフィンしながら煙草を吸える。


世栄玲奈は家に着いた。

形式的に「ただいま…] と言ってパソコンを開いた。

そして、灰皿を用意してポケットから煙草の箱を出して、煙草を一本取りだした。

ライターで火を付ける。

すーーーーーっと吸って、そのまま煙を吐き出した。

色々な情報はあるが、オークションサイトで古い魔法ラジオを買おうと探していた。





その頃、魔法界の奥地。

??「これじゃ爆弾は出来るけど、魔物は作れないわ!!最低でも3000ラクスの魔力が込められてないと1000ラクスでは話にならないわ!!!」

使用人は言う。「お嬢様、1000ラクスでも魔法ラジオでは強力な魔力が込められている方なのですが…」

「この死神のクエン様が言うんだから工場に特注で作らせなさいよ」と死神のクエンは言う。

使用人は「お嬢様、お言葉ですが魔法界ではお尋ね者のお嬢様なので、一般界の人に頼んでみるのはどうでしょう?」

死神のクエンは「一般界に魔法が使える人材が居るわけないじゃない。あそこは魔法を使えない人を抱え込んで分離独立したのよ?」と疑心暗鬼な様子だった。

使用人は「あてはあります。この私にお任せあれ」と言う。


死神のクエンは一般界の土を踏んでいた。

使用人と一緒に。



世栄玲奈はいつも通りにお店を開けた。


二人の女性がお店にやってきた。

一人は子供、もう一人は保護者だろうか?大人だった。

その明らかに子供に見える女性が言う。「魔法ラジオを直して欲しいの」

世栄玲奈は「魔法石の故障だと1万リベル程度は掛かるけどいいかな?」と言う。

保護者と思しき女性は「問題ありません」と言う。

世栄玲奈は「じゃあ、この修理依頼契約書にサインしてね?」と言った。

子供に見える女性の方がアラベル・クエンとサインをした。


世栄玲奈はお店の奥に行って、早速ラジオ直すために分解を始めた。

通常使用ではあり得ないくらいたくさん魔力を消費して、魔法石が枯れていた…。

世栄玲奈は疑問には思いながら、枯れた魔法石を取り外して新しい魔法石を嵌めて魔力を装填した。

世栄玲奈は店頭に戻って、アラベル・クエンに言う。

「受信テストしますか?」

アラベル・クエンは「しないわ。せっかくの魔法が減っちゃうもの」と答えた。

世栄玲奈は「魔法石単体の故障だったので、1万リベルですね」と言う。

お金は大人の保護者と思しき女性が出した。

しわくちゃの1万リベル紙幣を。

世栄玲奈は「またのお越しお待ちしています」と言って二人を見送った。


世栄玲奈はなんかモヤモヤを感じた。

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