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18話ー大きな転機

いつも通りの時間に工房にやってきた。

鍵を開けて、開店準備をしていた。

預かったPCが起動するか確かめてみた。


BIOSで止まってOSを読みに行かない感じだった。

取りあえず、電源を切って放電させて。

その後CMOS電池にアクセスしてそれを外して、電池ソケットの端子をドライバーでショートさせた。

そしたら、OSを読みに行くようにはなったが。

OSの読み込みが途中で止まるのだった。

仕方ないので、Boot用のディスクを確認する。

すると、古いマシンにしては珍しくSSDだった。

HDDも搭載していた。

SSDを外して、世栄玲奈の私物のPCでSSDの健康度を測ってみた。

案の定というか、もう寿命が来ていた。

HDDの方はまだピンピンしていそうだったが。


親しいわけでも無いから、取りあえずSSDとHDDを世栄玲奈の私物PCから外して受話器を取った。


依頼主の女性が昨日、書いた依頼票の電話番号を見て入れた。


女性の声で「もしもし」と聞こえていた。


世栄玲奈は「電子機器などの修理をしている世栄ですが、唐笠三奈さんのお電話で間違いないでしょうか?」と言う。

相手の女性は「唐笠です、直ったんですか?」と声弾まして言う。

世栄玲奈は重々しい声で「少し、相談したいことがあるので今日中にお店に来てもらえませんか?」と言った。

唐笠三奈も何かを察したようで「わかりました…、今から向かいます」と言って電話が切れた。


15分くらい経った時だった。

お店のドアが開いた。

「唐笠ですが、昨日依頼したPCは」と言って入ってきた。

世栄玲奈は「HDDの方はピンピンしているから、こっちのデータ無事そう」と言った上で、「問題はこっちのアプリやOSが入っていただろうSSD。寿命が来ているのでデータを取り出せるか微妙な所。BTOで新しいの組んでくれるならここで新しいPCにできる限りのデータを取り出して移行しちゃうけど」と言った。

唐笠三奈は悩んでいた。

世栄玲奈は「今即決するなら通常は13万リベルのモデルを、10万リベルにするけど?」と言った。

唐笠三奈は言う。「お金下ろしてきて良いですか?」

世栄玲奈は「それくらいなら待ちますよ」と言った。

唐笠三奈は再び、お店を出て行った。

5分くらいして、唐笠三奈は戻ってきた。

世栄玲奈は「いらっしゃい」と言った。

唐笠三奈は10万リベルを出して、「お願いします…」と言った。

世栄玲奈は「一応、HDDはそのまま付けちゃうけど、これも年代物だから、近いうちに取り替えた方が良いよ」と言った上で、寿命間近のSSDからデータを救い出す作業をし出した。


世栄玲奈の尽力もあり、設定やアプリの9割は復元が出来た。

一部、SSD残っていたデータも6割は救出が出来た。


世栄玲奈は唐笠三奈の為にセットアップしたPCを箱に入れた。

そして、唐笠三奈に渡した。


世栄玲奈は「SSDのデータは4-5割は復元できたけど、後は無理だった。すまない」と言った。

その上で、世栄玲奈は「ディスクの健康度を見る無料のアプリがあるから、それで健康度を確認しながら使うと、この様なことは減らせると思います」と釘を刺した。


唐笠三奈は「それってどこで…」っと言う。

世栄玲奈は梱包したPCを再び箱から取りだしてPCを起動させた。

ディスクの健康度を見る無料アプリを入れて、それをステータスバーに常駐させた。

そして、再び電源を落として梱包をし直した。


唐笠三奈は「10万リベルですよね?」と言う。

世栄玲奈は「10万リベルです」と答える。

唐笠三奈は1万リベル札を10枚出して、世栄玲奈に渡す。

世栄玲奈は1枚ずつ数えて10枚ある事を確認して「ちょうどですね」と言った。

唐笠三奈は「また、困ったことがあれば聞いて良いかしら?」と言う。

世栄玲奈は「まぁ、場合によってはお金を取りますけどね?」と言った。

唐笠三奈は「分かったわ、ありがとう」と言ってお店から出ていた。

世栄玲奈は「またのお越しをお待ちしております」と言って見送った。

世栄玲奈は雲行きを見た。

曇っていた。

しかし、気温がこの時期にしては高いので降っても雨だろう。

昨日までの青空が嘘みたいであった。

世栄玲奈はお湯を沸かして、インスタントコーヒーを淹れた。

それを飲みながら、軽く事務作業をこなしていた。

お店のドアが開いた。

世栄玲奈は事務作業を中断して、誰が入って来たかを見た。

斗南華だった。

世栄玲奈は言う。「今日はラジオの修理ですか?」

斗南華は「菅原涼太の実家に帰省したときに紅茶を貰ったからおすそ分けしに来たの」と答える。

世栄玲奈は「ありがとうね。でもお店に砂糖は無いが」と言う。

斗南華はそう言われることを見越してか「砂糖もちゃんと持ってきたわ」と言った。

世栄玲奈は「ありがとう。コーヒー飲んでく?お湯を沸かすから待ってて」と言って、電気ケトルのスイッチを入れた。

斗南華は「ありがとう、でも今日はやめておこうかな?」と言った。

世栄玲奈は電気ケトルのスイッチを切って言う。「この後、予定でもあるの?」

斗南華は「まぁ、新聞のコラム欄に載せて貰う原稿を今日までに仕上げて送らないとダメだから…」と言う。

世栄玲奈は「なるほどね。じゃ、頑張ってね。またコーヒーでも飲める余裕があるときは一緒に飲まない?」と言って、斗南華を見送った。



結局これ以降、閉店まで人が来なかった。

世栄玲奈は斗南華から貰った紅茶を家へと持って帰る。

紅茶はたまに飲む程度だった。

一般界育ちの姫路怜奈が居れば、飲んだかもしれないが…。

まぁ、自分で全部飲むつもりではあるが。

家の棚に紅茶をしまって、日記を付けてお風呂に入って眠りにつく。



目が覚めた。

嫌な夢を見た。

下山ヘラと結婚して、下山ヘラがウェディングドレスで自分がタキシードだった。

世栄玲奈はため息を深々と吐いて。

「いやになるね…」と言って布団から這い上がる。

今日は紅茶を淹れる為にお湯を沸かした。

カップにお湯を入れてティーパック上下させた。

良い色になったので、ティーパックを上げて砂糖を入れた。

ゆっくりと紅茶を飲み。

焼き上がったパンを食べる。

ノートPCでメールチェックをして。

それを鞄に入れて地下鉄の駅へと向った。

いつもの駅で降りて、工房へ向った。

裏口の鍵を開けて、いつも通りお店を開けた。

お店の前を人は通るがなかなか中まで入ってくれなかった。


最近は魔法で暗号化されたラジオ放送を採用する局が魔法界側でも減りつつあった。

理由は、多くの人が聞けるように…。

というのは建前で、放送設備に備わる巨大魔法石の交換費用が馬鹿みたいに高い上に、受信機にも小型の魔法石がいる上に、それを定期的に交換しなくてはならない。

そのため、魔法ラジオ受信機の修理だけでは食べていけないのでPCのBTOも承るようになっていた。

しかも最近、大きな転機があった。

魔法界の声放送が時間帯によっては暗号化されていない平文放送で内容を放送するようになったのだ。

そのため、たださえ一般界では聴取者の少ない魔法界の声放送が一部でやめたのだから、一般界での魔法ラジオの受信機の需要は減る一方だった。


世栄玲奈はそろそろPCに一本化して、魔法石の原料であるルビーは在庫限りにしていた。


世栄玲奈は大きなあくびをした。


お店のドアが開いた。


世栄玲奈は「いらっしゃい」と言い立ち上がった。


男の人が立っていた。

世栄玲奈は「なにか用ですか?」そう言った。

その男性は「ラジオを直せますか?」と言った。

世栄玲奈は「今更、ラジオとは珍しいですね。まぁ僕に直せないラジオは無いんで」と言って鼻を鳴らした。

男性は泥だらけになったラジオ見せて、「コレを直して欲しい」と言った。

世栄玲奈は「魔法ラジオの受信機ですね。ただ、コレほぼ新品になっちゃいますよ。ここまで汚損や破損が激しいと…。買うよりは微妙に安い程度の値段で直せはしますが…」と答える。

その男性は少し考え込んだ上で、「外装は綺麗にするだけに出来ませんか?」

世栄玲奈は「分かりました。保証は出来ませんが、内部のプラなどのに破損が無い場合は極力洗浄して使うようにしますね」と言った。

世栄玲奈は「1万9千リベルくらい掛かってしまうけど、直すかい?」と聞く。

男性は「直します。それで直るなら安いものさ」と答えた。

世栄玲奈はラジオ用の修理契約書を束から、ちぎって持ってきて1枚渡す。

「よく読んでからサインを」と世栄玲奈は言う。

男性はサインをした。

世栄玲奈は「えぇ…倉島榮次でだいじょぶですか?」と聞く。

男性は「あぁ、ごめんよ。倉敷榮次です」と答える。

世栄玲奈は「分かりました」と言い、自分のメモ帳に倉敷榮次と書いた。

倉敷榮次は「僕の字、そんなに達筆ですか?」と聞く。

世栄玲奈は「そうですね。私が見た字でここまで崩されて居るのははじめて見ました」と言った。

倉敷榮次は「いつ頃に直りそうですか?」と聞いてきた。

世栄玲奈は「オーバーホールが必要だから、2-3日は掛かる。まぁラジオ修理の依頼もPCのBTOの依頼も今は無いから、まぁ2-3日で出来るとは思う」と答えた。

倉敷榮次は「直ったら電話を貰えますか?」と言う。

世栄玲奈は「はい、直りましたら…、、、電話番号も口頭で聞いて良いですか?」と言った。

世栄玲奈は口頭で聞いて、それを自分のメモ帳の倉敷榮次の下に書いた。


世栄玲奈は倉敷榮次が帰ったの所を見計らってから裏へ行き、ラジオを手慣れた手つきで分解を始める。


かなり基板が汚れていた。

基板を無水エタノールで洗いつつ、テスターで基板に異常が無いかなどを調べた。

その後、外装を水で綺麗に洗った。

ルビー魔法石も水で綺麗に洗った。

そして、基板や外装などを乾燥のため陰干しをした。

閉店の時間になったので、世栄玲奈はお店の鍵を閉めて、家に帰る準備をした。

工房の外で煙草を一本吸ってから、駅へと向かった。

家に着いてから、日記帳に日記を付けてからお風呂に入って髪を乾かしてから、そのまま寝た。

朝、いつも通りに起きて仕事場へ向かう。

最近、変えた新しい煙草屋へと向かい、いつもの煙草を買ってから仕事場へと向かった。

工房の鍵を開ける。

昨日の陰干しを乾いているだろうか?

入り口の鍵を開けた後、工房の奥へと行って修復作業を続けた。

取りあえず、乾いていたので仮組みをして電池を入れた。

一番、壊れやすい魔法ラジオを放送も普通に受信が出来た。

あまり部品を変えて欲しく無さそうな言いぶりだったので、世栄玲奈は予防修理として、同調回路と魔法石は新しいモノに変えたが、それ以外はそのままにした。

そして、本来は持ち主には返さないが古い魔法石と同調回路を袋に入れて渡すことにした。

仮組みだったのをしっかり組み直して、ネジも止めた。

そして、ちょうど昼ぐらいになっていたので受話器を取って電話を掛けた。

相手は「はい、もしもし」と言った。

世栄玲奈は「ラジオなどの修理をしている世栄ですが、倉敷榮次さんお電話で間違いないですか?」と言った。

倉敷榮次は「直ったんですか?」と声を弾まして言った。

世栄玲奈は「えぇ、直りましたよ。1万3千リベルで直りました」と言った。

倉敷榮次は「わかりました、1万3千リベルで良いんですね?」と言う。

世栄玲奈は「はい、1万3千リベルです」と言った。

倉敷榮次は「ありがとうございます。今日の夕方に取りに行きますね?」と言った。

世栄玲奈は「では、お待ちしております」と言って電話を切った。

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