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16話ー災難を運ぶ2

世栄玲奈は家の前で煙草を吸っていた。

いつもより味気なかった。

あっという間に1本を吸い終えて、2本目に火を付けた。

そこで世栄玲奈は目が覚めた。

硝子の灰皿の上では、煙草の火が消えていなくて吸い殻から小さい煙が出ていた。

世栄玲奈は火のくすぶってる煙草を灰皿にネジネジして、火を消した。

まだ姫路怜奈は寝ていそうなので、世栄玲奈は忍び足でノートPCの前まで行って、ノートPCの電源を入れた。

世栄玲奈はメールチェックをした後に、やかんに水を入れてお湯を沸かそうとした。

いつもはコーヒーだったが、今日は知り合いから紅茶をもらっていたのでそれを使うことにした。

トースターに2枚の食パンをセットした。

お湯が沸いたので、カップにお湯を入れて紅茶のティーパックをちゃぷちゃぷした。

それで紅茶は出来上がりだった。

一応、2杯作った。

もしかたら、姫路怜奈も飲むかもしれないから。

世栄玲奈はそっと溜め息を吐いた。

いつになったら、姫路怜奈の両親は戻ってくるのか…。

世栄玲奈は最悪のパターンを連想するようになった。

姫路怜奈の両親は死んでいるのではないか。

そしたら、一生この子の面倒を見るのか…。

いやいや、そんなことはない。

そう世栄玲奈は自分に言い聞かした。

そうこうしていると、姫路怜奈が起きて来た。

姫路怜奈は言う。「おはよ…」

世栄玲奈は言う。「おはよ。今日はゆっくり寝られた?」

姫路怜奈は言う。「眠れたわよ」

世栄玲奈にはそれが嘘だという事が分かった。

世栄玲奈は言う。「目の下にクマができているけど、本当は寝られなかったじゃ無い?目も腫れてるし、泣いていたでしょ?」

しっかりと、当てられてしまった姫路怜奈は泣き出した。

世栄玲奈は姫路怜奈を抱きしめた。

「当面は僕に甘えても良いからね?」と世栄玲奈は言った。

チンって音ともにトースターからパンが飛び出して、食パンが焼けたことを知らせた。

世栄玲奈はパンにバターを塗って、姫路怜奈に渡した。

それと紅茶をテーブルに置いて、「さぁ、朝ごはんを食べよ?」と世栄玲奈は言う。

二人は朝ごはんを食べて、世栄玲奈は出勤の準備をした。

世栄玲奈は姫路怜奈に言う。「今日はお留守番を頼んだから」

姫路怜奈は言う。「分かった」

世栄玲奈は「では、行ってきます」と言った。


世栄玲奈は地下鉄に乗って、仕事場まで行った。

仕事場の工房をいつの通りに開けた。

しばらくしたら、隣のパン屋の店主が世栄玲奈の工房に来た。

お客としてきたわけじゃないのはすぐに分かった。

パン屋の店主は言った。「姫路電材の娘さん、何か喋った?」

世栄玲奈は「うーん、姫路電材の主人なのか、その奥さんなのかは知らないけど…、魔法界へ行きたがっていた。そうですよ」と言う。

パン屋の店主は「それ以外は?」と聞いてきた。

世栄玲奈は「それ以外は特に何も…。姫路の方の怜奈が拒否をしたら、いきなり居なくなったみたいで…」と言った。

パン屋の店主は言う。「あの娘も可哀想ね。9歳で両親を亡くすなんて…」

世栄玲奈は「それはどういう意味ですか?まだ、死亡したなんて情報。僕はまだ掴んでませんよ?」と言う。

パン屋の店主は「今のは内緒ね?」と言って、そのまま工房から出て行った。

世栄玲奈は噂話を思い出した。

姫路電材が成長したのは、世栄玲奈の工房の隣にあるパン屋からお金を借りたから。

そんな話を何処かで聞いたことがあった。

世栄玲奈も戦争特需が終わって厳しいときに、隣のパン屋はしきりに「お金なら、いくらでも貸すわよ?」と迫ってきていたが、世栄玲奈はそのたびに丁重にお断りをしていた。

今はラジオ以外にも副業をしているから、借りる必要も無いのだが…。

姫路電材と隣のパン屋は金銭的トラブルがあったのかもしれない。

世栄玲奈はそう思うようになった。

世栄玲奈は発注の入っていたデスクトップPCの組み立てをして。

それを集荷してもらう。

宅配業者は思いのほか早く来たので、それ以降は暇だった。

世栄玲奈は新聞も読んでいたが、新聞は姫路電材の主人が行方不明とすら、書いていないし、ラジオをもテレビもそういった情報は流してはいなかった。

世栄玲奈の知り合いの軍人ですら、そういうことを確定情報として言う人、知っている人は居なかった。

世栄玲奈は秀島透に手紙を書いた。

内容を魔法で暗号化して。

きっと、魔法界勤務だから誰かが解読してくれると、期待したのだった。


世栄玲奈は帰り道、それを郵便ポストに投函してから地下鉄に乗った。



地下鉄を降りて、家に帰る前。

いつもの煙草に火を付けて。

それを吸い終えてから、家に帰った。

家に帰ると、寂しかったのか姫路怜奈は世栄玲奈に飛びついてきた。

世栄玲奈は言う。「今日はごめんね…」

姫路怜奈は言う。「大丈夫…」

姫路怜奈は思いのほか、物わかりの良い子供だった。

世栄玲奈は冷蔵庫から、適当に食材を取りだして夕飯の準備をした。

夕飯を作っている最中。

姫路怜奈は言う。「私も何か手伝うわ」

世栄玲奈は「別に大丈夫だから」と言って席に着くように促した。

世栄玲奈は夕飯を作った。

二人はそれ食べ終えて、姫路怜奈をお風呂に入れた後、自分もお風呂に入り寝る準備をした。


世栄玲奈は姫路怜奈を寝かし付けていたら、いつの間にか自分も寝ていた。


世栄玲奈は目が覚めた。

まだ目覚ましの前だった。

そっと布団から出て、また朝食の準備をした。


その頃、旧魔法界。

秀島透に封書が届いた。

中身は真っ白な便箋だった。

秀島透は流石に世栄玲奈もこんなイタズラはしないだろうと思って、たまたま近くに居た魔法界出身で魔法の使える妻のミナにその真っ白な便箋を渡した。


ミナは言う。「これは魔法が使える人じゃないと読めないわ」

秀島透は「それでなんて書いてあるんだい?」と言う。

ミナは「姫路圭介と姫路愛海の遺体をさがしてほしい。それはきっと魔法界と一般界の国境近くに埋まっているかもしれない。一般界にあるパン屋、カリムの店主は何かしらを隠している可能性がある」と書いてあった文字を魔法を使って読み上げた。

秀島透は自分のメモ帳にそれをメモした。


秀島透は姫路電材の情報を一般界で聞いたとき、パン屋カリムだけは何かが違い、この事件に関わっているかもしれないと、感じていたが確証がないので魔法界に戻って通常勤務へと戻っていたのだ。


秀島透は在川浩二大将にこういう手紙が魔法で暗号化された状態で来たことを伝えた。

在川浩二は妻の在川花海に真っ白な便箋を見せる。

そして、秀島透のメモ帳と比べさせた。

在川花海はメモ帳に相違点が無い事を、在川浩二に伝えた。

在川浩二は人手不足もあり迷った。

在川浩二は言う。「納得のいくまで調べてこい」

秀島透は言う。「ありがとうございます」

在川浩二は「ただし、一般界でいざこざを起こすなよ。あっちにはあっちのマナーやルール。法律があるから」と言った。

秀島透は「分かりました」と言って一般界へと列車に乗って向かった。

秀島透はまず、一般界の警察に捜索の協力を申し込んだ。

しかし、一般界の警察は「あの二人は魔法界へと亡命したんでしょ?」と言って取り合ってもらえない。

秀島透は「姫路圭介、姫路愛海共に魔法界への入国の記録はありません。その上、国境付近の町で捜索もしましたが、今日至るまで発見されていません」と事実を淡々と述べた。

それで一般界の警察は重い腰を上げて、一緒に捜索することになった。


世栄玲奈はいつも通りの時間にお店を開けた。


隣のパン屋は相変わらず、繁盛している様子だった。


世栄玲奈はつぶやく。「ラジオなんて、そうそう直すものじゃないからねぇ…」


お昼になった頃だった。

世栄玲奈がご飯を食べ終えてお店に戻ろうとしたときだった。


パン屋カリムの店主と警察が押し問答をしていたのだ。

良く会話を聞くと、登録をせずにお金を貸して利子を取っていたので検挙されるという話であった。

そして、カリムの店主そのまま、車両に乗せられた。

世栄玲奈はそのまま、工房に戻って見なかったことにした。



その頃、秀島透は一般界の警察署で捜索隊と一緒にどこを重点的に捜すとか、そういう話をしている時にパン屋カリムの店主が別件で逮捕された事を知った。




世栄玲奈は工房で調子の悪くなったデモ機の修理をしていた。

その時だった、電話が掛かってきた。

ハンダのコテ先をハンダでコーティングして、電源を切ってから電話に出た。

「お待たせいたしました。ラジオ修理工房の世栄です」と。

相手は秀島透だった。「あ、世栄さん、秀島です」

世栄玲奈は「手紙、読んでくれたんですね」と言う。

秀島透は「妻のミナに解読してもらったよ」と言った。

世栄玲奈は「それで、何か進展があったんですか?」と聞いた。

秀島透は「まだ、そこまで進展は無いですね…。ごめんなさい。遺体すら見つかっていないですし…」と正直に答えた。

世栄玲奈は「そうですか…、ではまた進展があったら掛けてきてください」と言って電話を切った。



世栄玲奈はデモ機を完全な状態にした。

お店を閉める時間になったので、戸締まりをした上でお店を閉めて地下鉄に乗って帰った。

地下鉄を降りてから商店に行って、夕飯の材料を買ってから帰った。

世栄玲奈は「ただいま」と言って家に入った。

姫路怜奈は「おかえりなさい」と言って出迎えてくれた。

世栄玲奈はそのままキッチンへ行って夕飯をつくる。


つくった夕飯は焼きそばだった。


二人はそれを食べ終えて、お風呂に入った。

お風呂で姫路怜奈は言う。

「お姉さんは、なんで一人なの?」

世栄玲奈は「僕も良い相手が居れば良いのだけれどね」と言った。


姫路怜奈はお風呂を出たら、髪を乾かしてすぐに寝た。

世栄玲奈は煙草を吸いながら、文章の作成などのやることがあったのでそのままPCを開いて作業をした。

作業を終えたら、もう真夜中というか早朝というかみたいな時間だった。

世栄玲奈はとりあえず、ソファーで仮眠を取ることにした。


朝が来た。

あんまり眠れた気がしないが、そのまま姫路怜奈を連れて工房へと行った。

鍵を開けて、開店準備をした。


開店準備を一通り終えて、カウンターに座ったときだった。

電話が鳴り出す。

世栄玲奈は電話に出た。「はい、もしもし」

「世栄さん。カリムの店主が吐きました。姫路圭介と姫路愛海を殺して埋めたことを」と電話口の相手は言う。

世栄玲奈は「どちらさまですか?」と冷静に聞き直した。

すると、電話口の相手は「秀島です。秀島透です。興奮のあまり名乗るのを忘れてしまいました…」と言った。

世栄玲奈は「あぁ、秀島さんね。じゃあ、もう一回、最初に慌てて言ったことを、言い直してもらって良いかな?メモを取るから」と言った。

秀島透はゆっくりと「パン屋カリムの店主が姫路圭介と姫路愛海を殺して埋めたことを、取り調べの最中に認めました」そう言う。

世栄玲奈は「そうですか…と言うことは、これからどうしましょう…」と頭を抱えた。

秀島透は言う。「これで僕の任務は終わったので、明後日辺りには魔法界に帰ります」

世栄玲奈は言う。「透さんって、向こうに子供っていましたっけ?」

秀島透は「いませんけど…」と答えた。

世栄玲奈は「じゃあ、今日の閉店後に話があるのでラジオの修理工房まで来て欲しい」と言った。

秀島透は「今日は、帰還のための準備で忙しいのですが、それでも絶対ですか?」と言う。

世栄玲奈は「ここまで、突き止めたのに中途半端で帰るなんて、許しませんから…」と言う。

秀島透は「分かりました…。行けるように努力はします」と言った。


世栄玲奈は溜め息を吐いた。

姫路怜奈は言う。「どうしたのおねーちゃん?」

世栄玲奈は言う。「何でもない」


その頃、秀島透は妻のミナに電話で事情を話していた。

知り合いが預かっている、子供を引き取る可能性があるという話を。

ミナは思いのほか、快諾をしてくれた。


秀島透は工房の閉店後にちゃんと、世栄玲奈の工房に来た。

世栄玲奈は言う。「金銭的な面も含めて、僕には子供を育てられない」

秀島透は意地悪に「それでどうして欲しいと?」と聞き返した。

世栄玲奈は言う。「姫路怜奈をそっちで引き取って欲しい…。この通りだ」

秀島透は言う。「怜奈ちゃんには了承を取ってあるんですか?」

世栄玲奈は「いいえ、まだだ…」と答えた。

姫路怜奈は裏で聞いていた。

秀島透はバックヤードの方を見て手招きをした。

そこにいる姫路怜奈が見えたのだろう。

姫路怜奈はバックヤードから飛び出してきた。

秀島透は真剣な目で姫路怜奈に聞いた。

「姫路さんはどっちについて行きたい?」

姫路怜奈はゆっくりと口を開いた。

「世栄のおねーちゃん」と

世栄玲奈は困り果てた。

そして、世栄玲奈は言う。

「将来、怜奈が大きくなったときに大学とかには行かして上げられないし、ご飯も今まで以上に質素で良いなら良いけど…。あと既に僕の財力では無理を重ねていたんだよね。だから、これ以上僕の近くにいないで欲しい。迷惑なんだよ」

世栄玲奈は涙をこらえて、あえて姫路怜奈を冷たく突き放した。


姫路怜奈は泣きながら、「世栄のおねーちゃんのバカバカ。もう知らない。秀島透について行くから」と言った。

秀島透は言う。「本当にこれで良かったんですか?」

世栄玲奈は「あぁ」と言って、そのまま奥へと入っていた。

泣いている所を秀島透と姫路怜奈に見せないようにするために。

秀島透はそれを察してか、姫路怜奈に「じゃあ、問題も片付いたし、行こうか」と言い、そのまま姫路怜奈を連れて役所へ行き、戸籍の変更や出国のための手続きだったりをし出した。


世栄玲奈は裏で一人泣いていた。

一通り涙が涸れた所で、世栄玲奈工房の鍵を閉めて、地下鉄

のホームへと向かった。

もう、最終電車間近の時間だった。

そして、最寄りの駅から歩いて家に向かった。

星々は今日も綺麗だった。

家に着いてからは懺悔のように日記を書き連ねていった。

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