君と私と花と
教室の角の花瓶。
水を替えてるのは一体誰なんだろうと気になった。
いつも綺麗な花を咲かせてる花瓶に目をやる人は少ない、私だってそうだ、気付いたのは昨日の朝。
いつも通り遅刻ギリギリで教室に滑り込んだ時にふと視界の端に写ったのだ
薄紫の華が。
何だこの華、見たことない。
友達にあの花はなんて言う花なんだ、と聞いても
「え?あ、花なんてあったんだ」
まずそこからだった
誰が置いたのだろう
水はいつも変えているのか
これは、なんていう華なんだろう
気になってしまったのだ。
今日は人一倍早く教室に来た。遅刻常習犯の私にしちゃよくできたもんだと思う。適当に朝を食べてきた。いつも朝ごはんをダラダラ食べていたので母親もびっくりしてた。
呑気に母親の表情を思い出して笑いそうになる
と、同時に教室の扉が開く
「…え」
扉の先にいたのは同じクラスの人間だった。煤竹色の肩までかかった髪の毛、前髪で顔が隠れている。名前は知らん。いつも隅っこで窓を見てるやつだった。
「お、おはよ」
声をかける
「おはよう…」
彼女は机に鞄を置き、花瓶に近づいていく
「それ、水換えてるの君なの?」
声をかけるとビクッと肩が弾んでいた
「そ、そうよ、なに、文句あるの」
ないが?
「いや、昨日から気になってたんだよね、それ、なんて花?」
「アガパンサス。南アフリカに原種がある花よ。」
「ほー。綺麗な花だねぇ」
そう言って彼女を見ると少し怪訝そうな顔をしていた
なんだ、何がおかしい
「花の綺麗さがわかるのね」
「いやわかるが。」
「普段遅刻ばかりしているくせに」
「な、なんだ君、私が嫌いなのか」
嫌味を言われて思わず問いかけてしまう
彼女はその問いかけに笑って応えた
「えぇ、そうよ。羨ましくて嫌いよ」
花も一緒に笑ってるような気がした。
これが私と彼女と花の出会い。




