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ようこそ!如月学校防衛隊へ!  作者: 黒波 海
3/3

文芸部 部室内で

成諒せいりょう高校、それがこの学校の名称である。

主になる高と呼ばれている。(そのまま略されない理由は説明しなくてもわかるだろう)

特に目立ったとこもないちょっとレベルは高いが全国どこにでもあるような進学校だ。

成諒せいりょうはここら辺の地域の名前だ。

そう、どこにも如月要素などないのである。

それなのになぜ如月高校防衛隊なのか…

謎すぎるのである。

これが僕の叫んでしまった理由だ。


「いきなり大声出すなや。びっくりするやろ…」


何故か呆れた声で返された。

呆れてたいのは僕の方だ。


「それで、なんで如月高校になったんですか?」


話を戻す。


「それはな…」


それは……


「ノリと気分や!」

「……」


ノリと気分、そんなのでこんな部活(?)を作ったのだろうか。

本当だったら僕が思っている以上にやばい人なのかもしれない。


「信じてないやろ。しゃーないな、本当の理由を言うか」


やはり今のは冗談だったみたいだ。

さすがに今の理由でこの部屋を乗っ取っているなら問題だ。

本当の理由はなんだろう。


「本当の理由はな、うちの名前が如月あかりやからだ!」

「だっ……」


やばい「だっさ!」と叫ぶとこだった。

うん、この人は僕の想像していた十倍はやばい人だったようだ。

自分の名前を部活名(?)につけるとは…

ノリと気分より酷いかもしれない。


「おい、いまださいって言おうとしてたやろ!」


やばいなんて言おうとしてたかバレてたらしい。

どうやって言い訳をしよう。


「だぁー、…だ、だ…大好きですよ。そのぉ、ネーミングセンス!」

「……」

「……」


あー、やらかしてしまった。

気まずい、すごく気まずい。

空気が凍るというのはこういうことを言うのか。

とりあえず謝ろう、うん、そうしよう。


「あのぉ、本当に、えっと、すみません、でした…」

「本当に悪いと思ってるんやな」

「はい、本心から」

「なら、もう馬鹿にしなんやな」

「はい、もう二度と」

「さっき馬鹿にしてたってこと認めてるぞ」

「あ」

「……まぁいいわうちは優しいから許したる」


よかった、この辺の常識というか考え方はまともだったようだ。


「その代わりにな…」


あ、交換条件があるのか。

これがまともな交換条件であることを願おう。

少しいやな予感がするが大丈夫だと信じる。


「この部活に強制入部や」

「いやです」

「即答かい!」


やはりいやな予感は間違ってなかったようだ。

僕がこの部活に入る?

そんなのいやに決まってるじゃないか。

この部活に入ったら普通の高校生活を送るという僕の目標は達成できなくなるだろう。

ここは断固拒否させてもらう。


「そんなん許すか!お前のクラスのやつに体育倉庫事件のこと言いふらしてもいいんか?」

「なんでそのことを⁈」


体育倉庫事件とは僕が中学生の頃起きた(僕が起こした)事件だ。

僕は中学で体育の係をしていたのだが(人気がなくてやらされていた)その仕事で体育館倉庫の片付けをしていたのだが……

うん、これ以上はやめとこう。

嫌な記憶がフラッシュバックしてくる。


「うちの情報網なめんなよ」


ドヤ顔で言われた。

本当にどうやって知ったのだろうか。


「どこで知ったんだよ」

「それは秘密や」


またもやドヤ顔で返された。

かなりいらっときたが耐える。

今はこの状況をどう打破するのかが大事だ。

体育倉庫事件のことを言いふらされても、この部活に入ったとしても僕は高校生活の目標を達成できないだろう。

打開策を考えないと…

そうやって僕がそうしていると、コンコンと入口の扉がノックされた。

誰だろう、先生とかだったらこの状況を変えれるかもしれない。

あかりが向かおうとするがその前に扉が開く。


「入るぞー」


この声は僕の知っている人の声だ。

それはさっきまで一緒にいた、和人の声だった。

これは助けてもらえるかもしれない。

和人はこの部室の様子を見て少し固まってから、爆笑し始めた。


「はぁはぁ、お、お前、な、なんで縛られてるんだよ。俺と離れてからそんな時間経ってないだろ。まじで何があった。面白すぎるだろ」

「そんなこと言ってないで、ちょうどいい助けてくれよ」

「助けてって言われてもなあ、何があったかわからないと助けてもいいのか分からないからなぁ」


ニヤニヤしている。

こいつ絶対にこの状況を楽しんでやがる。


「あ、カズやないか。何しにきたん?もしかして部活入ってくれるんか?」


そんなことを考えてたらあかりが話に入ってきた。

カズ…いつも上下赤い服を着ているあの芸人を思い出すがこの状況だと多分和人のことだろう。

この二人は知り合いなのだろうか。


「違えよ。好き好んでこんなとこ来るか。生徒会の仕事だ。この文芸部の去年の活動記録が出てないって事できたんだが……まさか守が縛られて、縛られ、ッ……」


ここまでいうとまた和人か笑い出した。

少し落ち着くのを待って和人に気になっていたことを聞く。


「和人とあかり、さん(?)は知り合いなのか?」

「あぁ、あか姉のことお前に話したことなかったな。高校入ればいつかは会うかと思っていたんだが、まさかこんな形であうとは…」


あか姉?和人に兄弟はいないはずなのだが、どういうことだろう。

その疑問は次の和人の一言で解けた。


「あか姉は俺のいとこでな、家が近いから会う機会も結構多いんだよ」

「そうやな、今はそうでもないが小学生くらいの頃はよくうちの家に遊びにき出たこともあったな。というか生徒会の仕事ってことは新入生代表か。小学生の頃は頭悪くてよくうちに勉強教わってたんやけどな」

「いつの頃の話だよ。ところで本当にこれ、どういう状況なんだ?というかせめて縛るのはやめてやれよ」


その一言のおかげで僕はとりあえず椅子から解放された。

椅子から解放されるなどという表現はもう二度と使わないだろう。

だが、僕の荷物が人質に取られているから逃げることはできない。

まぁ、荷物が取られてなくても逃げれる気はしないのだけど。

そしてこの状況になるまでの流れを和人に話した。

なんでそんなことを聞くのか分からないが何か考えがあるのだろう。


「あか姉が守を捕まえた理由は部員獲得のためってことでいいよな?」


それは当たり前だろう。

少し強引でやりすぎなだが、部員を集める以外の理由で僕を捕まえる意味がわからない。


「そうやな。普段だったらここまで強引にやることはないんやけどな、部員獲得しないと廃部になりそうだからな」

「部員もたりてないのかこの部活。しょうがないか、あか姉がいるといろいろ巻き込まれるからな、好き好んでこの部活に入るやつなんていないよな」


成諒高校では部員が5人以下の部活は廃部になってしまう。

年度の最初に6人揃っていれば一年は途中で辞める人たちがいても続けられるのだが、次の年度の部活体験週間の終わりまでに部員を集めないといけないのだ。(同窓会というものは存在しない)

という説明を部活体験の説明で聞いたのを思い出した。


「話をまとめると守はこの部活に入りたくない。あか姉は部員を獲得したいってことだな。じゃあちょうどいいあそこに山になってるボードゲームとかでもやって決めればいいんじゃね」


和人の提案はいいかもしれない。

あのままさっきまでの状況が続いてたら僕は押し切られていただほう。

だが、ボードゲームという平等なルールなら勝ち目は十分にある。


「それでいいよ」

「それ面白そうやな。その決め方なら文句もないわ」


よかった、あかりも乗り気のようだ。

あとはどんなボードゲームになるかだ。

相手がルールを熟知しているようなゲームだったら勝つのは難しいだろう。


「じゃあ続きは明日にするか、そろそろ下校時間だしな」

「そうだね」


そう言って帰りの準備をしようとするが、その時


「あ、あの!そのゲーム、わ、私も参加させてください!」


と後ろから声がかかった。

その声は部室の隅の方でずっと拷問を受けていた新入生の女子だのものだった。

こっちへ向かって来る。

自分のことで手一杯で完全に忘れていた。

この人も僕と同じように無理やり部員にされそうになっていたんだろう。

気弱そうな見た目だがよく上級生二人の拷問に耐えていたものだ。

新入生がこっちに向かってきたことによって上級生の二人もこちらへきた。

クールそうな先輩となんなのかよくわからないが独特な雰囲気を持つ先輩だった。

その二人もこちらの話の内容は聞こえていたようで文句はないようだ。

そしてこの場は解散となった。


帰り道、僕は部室で会った流れで和人と一緒に帰っていた。


「そういえば、生徒会の仕事で来たらしいけどそれは大丈夫なの?」

「ああ、そのことな。別に今日中に終わらせないといけない仕事でもなかったから大丈夫だ。そもそも活動記録が一日くらいで出るわけないからな」

「気になってたんだけど活動記録が出てないなら部活廃部にならないのか?」

「それも部員獲得と同じで部活体験週間終わるまでだしとけば問題ない。活動なくても適当に提出だけしてる部活とかもあるからこれで部活がなくなることはほとんどないけどな」


それでいいのかこの学校…

だいぶ杜撰だぞ。


「話変わるけどさ、あかりさんが体育倉庫事件のこと知ってたんだけど、それ教えたのって、お前じゃないよな」

「あいつにさんとかつけなくてもいいぞ。事件のことだが俺がお前の秘密をハーゲン〇ッツ三つくらいで話すはずないだろ」

「おい、それ絶対お前言ったやつだろ」

「冗談だよ。あいつの情報網すげぇからな。俺も弱味何個か握られてたりするぞ。あと、あれからはわからないが普通に頭もいいんだよ。新入生の顔と名前、あとはちょっとした基本情報くらいなら全部知ってるらしいぞ。去年の主席もあいつだったからな。生徒会はめんどくさいとかで断ったらしいけどな」


まじか、あの人が主席。意外というかなんと言えばいいのか分からないがすごく釈然としない。

でもいとこ二人が二年続けて主席とはすごいな。


「意外だよな。俺もあいつが年上だから勉強教えてもらえてるだけで同年代の中でも頭いいとは思ってなかったからな。で、明日のゲームどうするんだよ」


いきなり話変えてきたな。


「どうするも何もできることをやるだけだよ」

「あいつのことだから変なルールとか入れて来ると思うぞ。気をつけとけよ」

「気をつけてどうにかなることだったらいいんだけどね」

「あぁ、そうだな」


そのあとは生徒会のこととかを話しながら帰った。(僕が主に聞いているだけだが)


明日は僕の高校生活がかかったゲームが行われる。

どうなるか分からないが全力を尽くす、それが僕にできることだ。

結果は明日に分かるだろう。

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